僕はよく餅を焼きます。
どこにでもあるお醤油に、料理用の砂糖を少し入れて甘くします。それに、例えば今日などはお鏡餅を適当な薄さに切って漬け、トースターで焼きます。

お醤油でゴテゴテになったトースター
それこそ最低5回、多いと8回くらい何度も何度も醤油にしたしてお醤油餅を作っていきます。おかげで家のトースターは焦げた醤油がこびりついて大変。もう食パンなんか焼こうものなら「醤油パン」になって出てくること確実です。
ここまで時間かけて醤油餅を作るのにはわけがあります。
それは、気持ちが弱くなって故郷へ帰りたい気持ちが高まっているから。そんな時は夏でも醤油餅を焼きます。
我が故郷飛騨高山は小さい頃から街角で「みたらし団子」を売っていました。小学校の頃はなんと5円でしたね。今は最低でも70円はします。そのみたらし団子は何回も何回も甘塩醤油を塗っては焼き、塗っては焼きを最低5回は繰り返して香ばしい団子にしていくものです。
世の中の「みたらし団子」はその多くが液状の醤油ダレにつかっているものですが、飛騨高山のものは完全に乾いています。しかも表面は適度に焦げて香ばしくなった醤油がしみこんでいますから、もうたまりません。シンプルな味なのにすべてが「故郷の味」なのです。
それを僕は無意識の中で餅に代えて家の中で焼いているんだと思います。
だから、醤油餅を一人せっせと何度も醤油を塗りながら焼いている時は、気持ちが弱くなって故郷へ戻ろうとしている時。
だから、その焼き上がった餅を食べると元気が出ます。
おもちの餅米、あとは醤油と砂糖があれば心が故郷に還り、またしっとりと気持ちに締まりを得ることができる。故郷の味とは、いやお袋の味とは偉大なものです。
今日も飛騨高山は積雪80cm。明日も容赦なく降るようです。
桑山紀彦
飛騨高山のB級グルメは、みたらしだんご、五平餅、飛騨牛串焼き、中華そば…
飛騨高山のみたらしだんごは、一般的なみたらしとは違って、甘い醤油だれではなく、醤油味で香ばしい。
もち米と醤油の焦げた匂いがたまらなく食欲をそそります。
我が家のお袋の味はなんでしょう…
いつも食べてると有り難味がわからないかもしれません。汗
甘塩醤油の餅はきっととても温かい味なんですね。