弾丸アカギ

うちの事務局長、明ちゃんの携帯に飛び込んできたこの留守録。
「あぎちゃん、あぎちゃんのかばん！をわたしがもっちょる！！」
　それは、いつもステージの手伝いに来てくれる赤木さんからの電話。
　かばんがないことに気づいた明ちゃんよりも、自分がその鞄を持っていることに気づいた赤木さんの方がさぞびっくりしたことでしょう。新横浜駅での出来事でした。
　今日は3年目の横浜市PTA連絡協議会の研修会でのステージでした。
　500人を超える横浜の皆さんが今年は3番で呼んでくださいました。
　明日は静岡の中学校2校の公演があるので、そのまま余裕で静岡入りを目指した僕たちは、今回も物販売を激しく手伝ってくれる八王子市民で山口県人の赤木さんと新横浜駅で別れるはずでした。
　ところが新横浜での乗り換えに手間取り、改札口でピンポンなりまくり。どうやっても桑山だけ通れません。ICで乗ろうとしたのがうまくいかず、急遽切符を買って乗ることに。余裕だったはずが、新幹線発車1分前の改札通過。とにかく持つものを持って逃げるようにホームへ走りこみました。
そして、数分後あの電話がかかってきました。
「いってらっしゃ～い」
　と僕たちを見送ったその瞬間、
「あれ、わたしがあきちゃんのかばんを持ったままじゃ～」
　と気づいたのです。赤木さんはチケットを買いに行って戻ってきたあきちゃんの重要かばんを持ってあげていたんですね。そしてそのまま、そのかばんを持ったまま見送ったというわけです。
そして気づいた時の、そのあまりの剣幕に
「どうぞそのまま通ってください！」
　と新横浜の杓子定規な駅員さんに素直に言わせて、駆け上がったホームには、既に新幹線の姿はなし。
　そこで、この留守録の録音となったのです。
底抜けの明るさと、自身もPTA会長時代に「地球のステージ」を呼んで大成功だった事を機に、全国のステージに手伝いに来てくれている赤木さんは、少々おっちょこちょいです。でも、心の底から人がいいんです。
　いや～何度聞いても、心の底から笑える～。
　結局明ちゃんが三島で降りて、後続新幹線で来た赤木さんからバックを受け取り、そのままその新幹線で明ちゃんは静岡入り、赤木さんは2分で折り返しの新幹線に飛び乗って、無事八王子に着きました。
　桑山はというと、予定通り静岡に新幹線で着いたのはいいのですが、なんと荷物６つを一人で運ぶ羽目に。ギター2本、バイオリン、キャリーケースにプロジェクター、そしてお土産が入った紙袋。この荷物を抱えて静岡駅を歩く姿は、まさに「ちんどんや」そのものでした。
こうして余裕の静岡入りのはずが、3人が3人とも珍道中になってしまいました。
　しかし、ふと気づいたら新幹線に乗った友達のかばんを自分が持っていると知った時の驚きとはどんなものでしょうか。
　赤木さんは裏表のない、本当に素直な人なので、心の底からびっくりしたことでしょう。これに懲りず、これからもお手伝いお願いします～
桑山紀彦