音楽ワークショップ4日目

ついに音楽ワークショップ、最終日(3日目)です。

のっけから歌の練習に入っていきましたが、思いの外音程が取れているし、リズムやテンポもまあまあ守られています。

これは行けると思いました。

でも基本的にはゴムボールのようなパレスチナの男の子たちです。ちょっと目を離せばどこに飛んでいくか全くわかりません。まずは個人練習を重ねてグループみんなで歌い、今度はパートごとに分けてそれぞれの音程と歌詞、テンポを整えていきました。

それこそ、ほとんどのアラビア語の意味がわからず、ただひたすら「曲を仕上げる」という視点で関わっていた僕は、その詩の内容に深く触れたとき言葉を失いました。

子どもたちが日々直面している世界の残酷さ。そして希望の薄さ。

私たちのスタッフであるマイも、ハッサンもエリーニも、その現実の中で生きていること。だからこの詩の内容であっても、それを受容し、肯定し、発展させ、歌い上げていく。

まさにここに「パレスチナ自治区ヨルダン川西岸地区のトラウマ」がありました。

実際に子どもたちが歌っている作品は日本に帰る最中に編集し、YouTubeにアップしますので、少し時間を下さい。

まずは、その詩の内容をご覧頂きたいと思います。

~マイのグループ~

題名「僕は難民キャンプの子」

彼らは僕の兄を投獄し、伯父を殺した

僕から彼らを引き離し、奪っていった

伯父の運ばれた病院へ行ったけれど さよならも言えなかった

さよならは漂う涙のみ 後は墓にほほをこするだけ

彼らは僕の兄を投獄し、伯父を殺した

僕から彼らを引き離し、奪っていった

言葉もかけられず ただうばわれていくだけ

伯父の面影は もう墓の中にしかない

彼らは僕の兄を投獄し、伯父を殺した

明日、僕は強くなる 学べば心は解き放たれる

パレスチナの国がつくられ 互いを思いやるときが来るだろう

母は僕の誇り 父はいつも僕を支えてくれる

難民キャンプに住むものは 家族の力で強くなる

 

~ハッサンのグループ~

題名「カランディア難民キャンプ」

僕たちの難民キャンプの入り口に たくさんの兵士がいる

殉教者の投げた石が、彼らに向けられた

兵士たちは彼を打ちのめし、ほとばしる血が大地に流れた

殉教のものに別れを告げた 彼は今ではもう墓の中

殉教のものに哀しさはない 彼らと共にキャンプを守り、石を投げる

エルサレムこそ命 殉教のものは命を僕たちに託した

僕たちの難民キャンプの入り口に たくさんの兵士がいる

殉教者の投げた石が、彼らに向けられた

兵士たちは彼を打ちのめし、ほとばしる血が大地に流れた

殉教のものに別れを告げた 彼は今ではもう墓の中

僕は必ず医者になる 人の心を癒やすため

そして刑務所の者たちを 再び自由にしなければ

全てのものが幸せを感じるとき 僕たちの国ができあがる

僕たちの難民キャンプの入り口に たくさんの兵士がいる

殉教者の投げた石が、彼らに向けられた

僕たちの難民キャンプの入り口 それはカランディアの入り口

カランディアは挑み続ける カランディアは立ち上がる!

 

皆さんはどんな印象をお持ちでしょうか。

桑山紀彦

音楽ワークショップ4日目」への1件のフィードバック

  1. 理不尽な迫害が絶えない過酷な社会を見て育った筈なのに、子供たちの詩に「報復」や「憎しみ」などを表す言葉が無いのが驚異的です。
    そして、幸せを求める心意気を持っている健気さに芯の強さを感じます。
    是非、日本の子供たち(大人も含めて)早く聴かせて下さい、

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