栄光の大垣北高等学校

今年も、3年目の岐阜県立大垣北高等学校のステージがありました。
 今年はもちろんステージの3番。5部作の中でもっとも「深い」と言われている作品に、大垣北高のみんなは何を感じてくれたでしょうか。
 大垣北高校はもう自分の母校のような感じで、前の日は眠れませんでしたね。わくわくドキドキ。校舎が見えてくると、本当にまるで母校に帰ったような気持ちになるのは、北高校の先生や生徒さんがとっても身近で、かつ我が岐阜県の高校だということもあるに違いありません。
 やっぱりなんだかんだいって同県人の高校生と接することは嬉しいものです。
 そして、大垣北高の場合は公演終了後に必ず「懇談会」があるのです。
大垣北2010年-1
懇談会の様子。たくさんの高校生が集まってくれました。
 任意で参加したい生徒さんが部屋に集まり座談会をするんです。今年は昨年の倍以上の生徒さんが集まってくれました。
 そんな中に、昨年2年生で参加してくれた女生徒さんがいました。彼女が言いました。
「私は昨年桑山さんに質問しました。昨年までの私は医者になりたいと思っていた。だけどそれってただカッコいいとか、そんな気持ちで目指しているような気がしていたので、“そんな気持ちでいいのか”と桑山さんに問うたら、桑山さんは”それでなぜいけないのか。カッコいい自分になりたいという気持ちを大切にしていいと思う”という答えでした。
 それを聞いて、私はすごく楽になった。
 そうか、そう思ってもいいんだ、と思えたら逆に気持ちが素直になってきて、医者にならなくてもいいんじゃないかという気持ちが芽生えてきました。だから今は逆に“これになりたい”というものがなくなってしまいました。
 でもそれは決して後戻りしたのではなく、純粋に自分のことを考えられるようになって、いまは“世界のいろんな人と出逢いたい”ということが目標になりました。それは漠然としているけど、自分は、とにかくそれを目指していこうと思えるようになったんです」
 日本の高校生がこんな事を考えてくれています。なんて純粋な、なんてまっすぐな気持ちなんでしょうか。
 そのままでいい。「医者」という職業の目標ではなく、「こんな自分になりたい」という自己存在の目標を意識しながら日々歩もうとしている彼女に、心から敬意を感じました。
 その後もどんどん大垣北高校からメールが来ています。
 そんな中、一つ掲載の許可をもらったものがありますので、紹介させて下さい。
 2年生の生徒さんからのものです。
「 今日の地球のステージと座談会に出た北高の生徒です。
 座談会には二回目だったんですけど、去年、自分の小ささを思い、変わりたい!なんて思いながら結局口だけになっている自分にようやくつけが回ってきました。
 感想にも書いたのですが、夢だけ大きく語って内容が全く伴っていないのです。なりたい自分を夢見て何もしてない、結局あきらめるってことになっていくだろう自分が悔しくてたまりません。今日のみんなの思いを聞いてグッと胸に応えました。そして、余計に涙が出ました。桑山さんの言葉一つ一つに実は何度も涙がでました。
 地球のステージでもそうです。
 私と同じ十六歳の女の子が、地に埋もれた人を自分のお父さんだと認めるシーン、そして空から見ていてくれてるという前向きな言葉。唖然としました。私はお父さんがいなくなったら絶対立ち直れないです。精神もすり切れたような状態だったんじゃないかなと思います。彼女は十分大人だなと思いました。
 私は幸か不幸か、偶然紛争のない世界で、お父さんとお母さんに育てられた子どもです。
 こうしてみると自分の身勝手さにいらだちを通り越して情けなさでいっぱいです。
 自分のこれからのことが(ケニアに暮らすマサイ族の)ジョエルさん達に影響を与えてるなんて思っても見ませんでした。
 本当に、自分のことを振り替えられる良い機会になりました。
 いっぱいいっぱい感謝しています。そして涙を誘うような語りができるのもとても尊敬しています。
 そうやって思った子は私以外にもたくさんいました。
 是非、また北高で講演をしてください!!
 卒業しても見にきたいです!
 今日は本当にありがとうございました。」
 この高校生たちに明るい未来を。そして努力によってみんなの夢は必ず叶うのだとはっきりと伝えられる社会を築いていく事は、私たちの責任です。
大垣北2010年ー2
また来年、4番で還るからね!
桑山紀彦

コメントを残す

あなたのメールアドレスは公開されません。必須項目には印がついています *