今日はとある高校のステージでした。
正直、どうなることかと思いました。茶髪は当たり前、アーミー服にヘッドホンをつけてiPodを聞き続けて体育館で他者を威嚇する者。同級生のズックをボールのようにバスケットコートに入れようとする者。着崩した私服と制服の入り交じった集団。挨拶の先生の話は全く聞かない。ざわざわ、自分勝手のばらばら集団。
これは一言で言うと「荒れ果てた高校」です。
案の定アメージング・グレイスが終わるとピュピュー、と口笛。はやし立てる者、そしてすでに勝手に話し続ける者。これまでどれほどこういった高校生に出逢い、落ち込んできたか・・・。
しかし今日は賭けに出てみました。
「なあ、みんな。今日は説教にきたんじゃない、みんなと世界が巡れたらいいと思ってここに来たんだ。
僕が君らの頃には、周りにいるすべての大人が敵に思えていたよ。だからそんな大人の言うことなんて、絶対に聴くものかと跳ねまくっていた。
でも、少なくとも今日は音楽のステージと世界巡りだ。だから、“俺は聴きたくない”と思う人は、今から10秒待つからここから出て行ってくれていいよ。教室に帰ってもらっていい。なぜならべちゃクチャ話すと、まじめに聞きたい人に迷惑がかかるからだ。聴く気がないのなら“寝る”ってのはいいと思うよ。自分で判断したんだからね。人に迷惑はかからないしね。
さあ、今から10秒だ。」
しかし誰も出ては行きませんでした。
「わかった。じゃあみんなは聴くという気持ちを持ってくれているんだな。これは僕との約束事だ。ここからはお互い理解し合って仲良くステージつくっていこうや」
すると、会場は水を打ったように静まりかえりました。その静寂が最後まで持続したんです。
途中で感動した僕は思わず、
「なあ、みんなすごいな~ちゃんと聴いてくれているじゃないか。でもね、それは誰かに“聴け!”って命令されたんじゃないぞ。みんな一人一人が自分の意志で“聴く”って思ってその約束を果たしているんだ。自分自身で“聴くこと”を選択しているんだよ。それってすごいことじゃないか。最後まで一緒にがんばろう!」
そしてフィナーレを迎えました。
「なあみんな、みんなの学校は“荒れてる”って言われてるよ。でも全然荒れてないじゃないか。この1時間40分、ちゃんと聴けたよね。僕との約束も見事に果たしたよね。それはすごいことだと思う。だからもう勝手な人に“荒れてる”なんて言わせるなよ。
人間の基本は優しさと素直さだと思う。その二つが今日はちゃんと僕に伝わってきたよ。みんなはちゃんとそれを持っているじゃないか。
時には声の大きいやつとか、態度のでかいやつが“強い”って思うこともあるかもしれないけど、それは違うと思う。本当に強い人は優しさと素直さを持っている人だよ。だからみんな、今心の中に持てているその優しさと素直さをもっともっと大きくして、最強の人間になってくれ」
最後は拍手で彼らと別れました。
正直、ドキドキしながら語っていました。相手は高校生、どんなリアクションがあるか読めない世代です。でも、真正面からぶつかり、そして「約束の概念」で立ち向かえばちゃんと気持ちをつないでくれる正直な世代でもあるんだ、と思いました。
プルメリアさんが来てくれていたので、プルさんから感想もらえるとうれしいな~。
桑山紀彦
先生 ありがとうございます。
私の子供たちではないけれど、高校生の皆は信頼できる大人がいること教えてもらえたと思います。
お疲れさまでした。とある高校のみんながんばっている大人はちゃんといます。みんなの力を大人に見せてください。
桑山さん、優子さん、
昨日はステージに参加させていただいてありがとうございました。
5ヶ月ぶりのステージと、初めてステージを観る友人ご夫妻がどのように感じてくださるか?初めての都立高校、私もドキドキの緊張感がありました。
10秒待つという桑山さんの問いかけに誰一人退場する生徒が無く、それからは静かに聴き入ってくれたことにホッとして緊張が緩んでいきました。
ステージは桑山さんと観ている者が共に創り上げるものだとつくづく感じました。何千回やっても同じステージはけして無い。だからこそできる限りその場に居たいと思いました。
いつも面と向き合うことなく逃げている大人にがっかりし、うんざりしているのが今の高校生かもしれません。
その苛立ちを服装や態度、茶化しという拙い方法でしか表現できないのかも。
初めて会ったばかりでも、同じ土俵に立って、真剣に面と向かってくれた大人に、生徒達は本来持っている素直さと優しさをしっかりと表現してくれました。大人だから、先生だから、人生経験が長いんだからと上からものを言う大人には辟易しているのでしょう。
「君達はちゃんとできているよ」と認めてくれて背中を押してくれる桑山さんには素直に心を開いてくれましたね。
私も含めてその場に居た大人は、自分自身を振り返ったことでしょう。
「本当は優しく素直になりたいんだよ」という純粋な子ども達のメッセージが聞こえるような気がしました。
1時間40分の短い時間でそばに居る大人をこれだけ感動させてくれた子ども達がとても愛しくなりました。
私の隣でずっと涙を拭いていた友人は、初めて目にしたステージの素晴らしさと、桑山さんの生きる姿勢と多彩な才能、一生懸命に聴いてくれた生徒達に感動していました。
思わず、退場する生徒達に「一生懸命に聴いてくれてありがとう、ありがとう。」と涙声で頭を下げていました。
彼女もまた、優しさと素直さを持った素敵な大人でした。
桑山さん、
素晴らしい感動のステージをありがとうございました。
ご使命に預かりましたが、あの感動を充分に表せなくてもどかしいです。
誤字、失礼しました。
使命ではなくて、指名でした。
記事を読んで、我が息子の母校の現状を知りびっくりするやら、有り難いやら。
「地球のステージ」のことを知っていて、学校に呼んでくださった先生がいたことは、救いです。
桑山さんとの出会いがきっと生徒たちの心に残ることでしょう。有難うございました。
訪問を断られて劇的なシーンに立ち会えなくて残念でした・・・。
3月13日(土)大口町でのコンサートで拝見しました。2年ぶりでしたが、とても感動しました。私も桑山さんのように、自己開示ができるようになりたいです。
桑山さんや地域振興課平岡様、スタッフの皆様のご配慮により、「浅野彰さんを救う会」のメンバーとして、募金活動をお許しいただきました。おかげさまで、22725円も集まりました。募金をしてくださったり、励ましてくださった方にも、この場をおかりしてお礼申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
その後、笠松町での公演があるとお聞きしたので、笠松の友達にメールしました。地球のステージで、人と人とのふれあいや、優しさを目の当たりにし、感謝しています。
映画の上映も、大口町で観られる事を信じています。
ほんとうにありがとうございました。
桑山さん
あなたはやはり素晴らしい教師いや育成指導者ですね。
高校生は最も多感な時期。どんな生徒だって大きな波小さな波を乗り越え、水をかぶりながら成長していくと私は考えています。
上からの指示ではなく、隣からそっと寄り添っての声かけ、実は彼らを安定させるのは上からではなく、横並びの視線から理解が生まれ、協調がそして、教育がある種生まれていくと思います。(上からも必要ですが)
教師の言うことを頭から飲み込み、指示通りに動き、感情を表さなくなるより、めちゃくちゃだけど、話せば良いヤツ、他を考えられるヤツいっぱいいますね。
他を思いやる心を醸成し、どう社会につなげていくかが私たちの今置かれている大きな仕事ではないでしょうか。
私も今年度最後の授業を迎え、振り返りの中で、生徒にキーワードを提示しました。
これからの社会に向けては「地球環境と国際協調(力)」「共生と協働」を伝え。
これからの人生に向けては「であい と つながり」「素直な心と表現」を伝えました。
私もあなたと出逢って大きく授業を変えました。きっと高校生たちも何かが心の中で動き出したはずです。顔が上を向いたはずです。
この国の未来を創る仕事ですね。ありがとう。そしてともに頑張りましょう。
札幌は今日も雪が舞っています。