イスラエル軍からの入域許可

毎日のように電話しているイスラエル軍管轄、エレズ検問所のコントロール室、通称CLA。
 さすがに毎日のように
 「まだ許可はでないのか」
 と聞いてくる日本人の医師の名前は下級兵士の中で知れ渡り、最近はすまなそうに
 「ごめんね。まだ許可でてないんだよ。明日には降りるかもね・・・。」
 と兵士に慰められることしきり。
 そして今日も懲りずに電話をしました。
 「もしもし、あ、オリアン?」 
 「おう、ノリヒコか?」(既に兵士の中で、そう呼ばれまくっています)
 「ハハハ、今日も電話かけちゃったよ」
 「ハハハ、ノリヒコ、今日は良いニュースがあるぞ」
 「え?今なんて言った?」
 「ふふん、良いニュースだよ!」 
 「え。まさか!」
 「そうだよ、エレズ通過の許可が下りたんだよ!」
 「うっそ~、やった~!ありがとう、オリアン!」
 「いや、オレの力じゃないよ、ノリヒコの粘り勝ちだよ」
 「そうかなあ、ずっと待ってたからね~!」
 「おめでとう、良かったな」
 「ありがとう、オリアン!」
 「どういたしまして・・・」
 とても不思議な会話です。
 パレスチナ人を応援しようと、ガザ地区に入ろうとする医師を、いつの間にかイスラエル軍兵士のオリアンたちは応援してくれていたんです。
 これが人間なんだな、そう思いました。
 イスラエル軍兵士のオリアンにしてみれば、本来は桑山など「厄介な存在」なんです。
 でも、いつの間にか電話を通じて仲よくなり、いつの間にか僕を応援してくれるようになっていたのです。
 桑山がパレスチナ人を応援するために入るとしても、毎日毎日「今日は許可でているかなあ」と電話してくる人間を応援してくれるようになるんですね。
 改めて、パレスチナ紛争がごく一部の政治家や権力者によって続けられているに過ぎないことが見えてきます。
 だって、現場の兵士は人間らしく、ガザ地区に入ろうと努力する桑山を応援してくれていました。
 いろいろ聞いてみるとJICAの成瀬さんが現地のガリリー共同体の学長に依頼したお話が、国防省のお偉いさんに通じた事が直接の許可取得理由のようです。
 いろんな人に支えられて、ここまできました。
 8月1日に日本を発ち、2日にガザに入ってダルウィーッシュと子どもたちに絵を描いてもらってきます。
 子どもたちにとってのあのガザ危機は何だったのか、ちゃんと吐き出してもらえれば、と思っています。
桑山紀彦

イスラエル軍からの入域許可」への6件のフィードバック

  1. 本当に良かったですね!
    ここでは、ニュースなどでは知ることのできない、
    ナマの様子を、直に伝えて戴けて、
    とても貴重なブログです。

  2. 桑山さん!
    よかったですね★
    (〃^ー^〃)♪♪
    頑張ってきて下さい!
    遠くから応援
    しています☆

  3. おめでとうございます。さすがですね!!
    約1ヶ月間の間にイスラエルの兵士の心をつかんでましたか?桑山先生にしか出来ないことのように思います。
    ダルウィーッシュさんきっと待ってられるでしょうね。ダルウィーッシュさん一家だけではなく、ガザの人々がどうなっているのか先生の目でしっかりと見てきてください。
    どうぞお気をつけて。ご健闘をお祈りしています。

  4. 人と人をつなげるのが愛…戦争はそれを切る。桑山さんのガザへの愛、人への愛が、人と人をつなげましたね。切られては…つなぐ…。終わりのないように見える旅…。でもいつか平和で人と人がしっかりとつながり、抱き合うことができるように…。祈りも愛。つながってます。気をつけていってらっしゃい!

  5. さすが桑山先生!
    私達の心だけでなく、イスラエル軍兵士の心まで掴んでしまう!
    その情熱さが人を惹きつけるんですね。
    誰かの為に決して諦めないで行動していく姿を見て、心を動かされ、行動する輪が広がっていくんだと思います。
    この青い地球はただ一つで、大切にしていかなくてはならないものは大きいですよね。

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