パレスチナ人の言葉には実に感慨深いものがあります。
長年の不安定さ、落ち込みと立ち直り、悲哀と歓喜の繰り返しの中で生き方が研ぎ澄まされている人が多いのか、感動する言葉が多いです。
例えば、昨日であったのお百姓のアリさん。
「私は有機農業に専念するよ。そりゃあ害虫は恐い、肥料だって自信がなくなることもある。でもな、やっぱり食べるものつまり口に入るものだから、私は自然の恵みからしか得てはいかんと思う。だから有機農業にこだわるぞ」
そして更に言いました。
「この土地は代々パレスチナ人が神様からもらったものだ。だからそれを争いのために使うのではなく、人々が生きていくために使う。それが農業だ。農業はこの与えられた大地を有効かつ平和に使うためにある。決して争いのために土地があるのではないのだ」
今日であったもう一人のお百姓さん、ユーセフさんも語ります。
ユーセフさん(JICAの研修生として日本にきたこともあります)
「農業こそ、人間が生きる基本だよ。人間食べれれば生きていけるからね。いつの間にかいろんなことを求めて人間は争いに走っている。しかし、農業を大切にしてみんなが安心して食べれれば、争いなどなくなるはずだ。だから、私はこのパレスチナで農業にこだわり続けたいんだ」
そして、エリアCという、イスラエル軍の軍事エリアのど真ん中に自分の家、子どもたちの学校、女性たちの職業訓練所をつくり、イスラエルの法廷に持ち込んで不可侵を約束させているハッチサーミンさんが言いました。
ハッチサーミンさん(17歳の時にイスラエル軍に撃たれて半身不随です)
「ガザはいつも戦争をしている。とても大変だ。普通に暮らしていても殺されてしまうこともある。しかし西岸は違う。普通にしていれば何も起きない。しかし平和を叫べば殺される。だから叫ばなければ一応安全だ。しかし私は考える。平和を叫ばなくなって下向いて生きるのではなく、言うべきことはいって筋を通さないと、いつの間にか魂を失う。だからガザのような苦労はない代わりに、自分はどう生きるのかを内面的に逆に試されるのが、西岸なんだ。だからそれはそれでとても重いことなんだよ」
紛争地を生き抜く人々の言葉はやはり深い。
さて、6年ぶりにジェニンにいってきました。
懐かしい友に会いにいきました。そして仲よかった救急救命士のイサットさんの救急部所にいってびっくり。ハリール・スレイマン先生が爆死した救急車が、ちゃんとそこに残されていたのです。放置されているようだけど、ちゃんとそこに残されているのです。
2002年のジェニン虐殺事件から7年が過ぎています。
「「展示」などするとまたイスラエル軍が攻めてくるんだ」
そういって隅に、でもちゃんと残してあります。占領下の街で何かを思い続けることはとても辛くて重いものです。
そして「新しい街をつくり出す遊び」をしていたダラールと出逢ったさら地にいきました。今はビルが建ち並び、あの当時の面影を見ることは全く出来ませんでした。それはそれでよかったです。人々は立ち止まらないので。
ダラールは見つかりませんでしたが、今回は時間切れによるものです。
「写真が何枚かあったら1日で見つかるよ」
地元の人にも言われましたから。また次回、西岸のこのトバスの街に入った時に探してみます。
あれから6年、今19歳になっているダラールです。
そうやってまた逢いに来た時、
「自分たちは忘れられていないのだ」
と思ってもらえたら、どんなにいいか。
それがある意味でも、僕たちに出来ることなのかもしれません。
桑山紀彦
そちらに行かれて「言葉のちから」に出合いましたね。言葉は不思議です。ひと言で元気も出れば、ひと言で奈落の底に落されたりします。「ちから言葉」がこの世界に溢れればいいのに…。ぼちぼち頑張ってください。ぼちぼち…ひとつひとつ…。それが確実に「ちから」になっていきます。~祈りのうちに。
少しずつ前進してるようですね
本当に重い深い言葉ですね。 そうなんだ そのとおりなんだと 思っても声に出しては言えない自分がいて情けないです。 みんな子供のころのように純粋に生きていけるといいのに 今はその子供でさえ争いに巻き込まれ傷付いてしまっている
新しい街を作る遊びをしていた ダラール 会えたでしょうか?
mariさん、すみません。思わせぶりな文章になってしまって。
本文を現地から直しました。
今回はダラールには会えませんでした。でも「1日で絶対に見つかるよ」と言われたので、次回にトライします。
本文を修正して加筆してありますので、お読みください。
すみません
桑山紀彦
パレスチナ人に学ぶ事は多いですね。
それを教えてくれる地球のステージに感謝です。
色んな事に気付かせてくれてありがとうございます。
どんな事も小さな事に思えてきます。
どうぞ気を付けて・・・。
ここ数日のブログは、まるで地球のステージの短編。
「パレスチナ人の生き方」は特に心に響き、涙しました。
ガザ地区とヨルダン川西岸の人たちが自由に行き来するのをイメージし、ダルウィーッシュ解放のシーンをイメージし、祈ります。
桑山さん! ゆうこさん! どうぞご無理なく。お気をつけて。