今日は音楽ワークショップ1日目でした。
この日は人材育成ということで、このセミナーを受講しようとするファシリテーターや臨床心理士が集まってセミナーは盛況です。
しかし、今日の最大の難関はアラブ音楽の旋律をつくること。
僕には全く太刀打ちができないような別世界の話しなんです。だって、アラブ独特の音楽観はやはりそこに育った人によってつくられるものでしょうから。
しかし今日は最強の味方がいました。
まずはうちのスタッフのエリーニがクラッシックの楽団に所属しているほどの音楽通であること。そして今日は特別ゲストとしてジャラールとヤザンという地元の音楽家二人が参加してくれたことでしょう。
まずは今日のセミナー20人に質問です。
「辛い出来事、トラウマの出来事を時が経ったとはいえ、歌詞にして歌として唄うということはどうなんだろう。辛いことをさせているのではないか、という迷いがでませんか?」
みんなは、
「いや、心に閉じ込めていく方が問題なのだから、外に向かって吐き出したり形にすることに間違いはない。それが音楽であるというのも良きことである。」立派な答えでした。
そしていよいよ基本となる曲創り。
そこでもうちのセミナーに来る人たちは、すごいやる気なのでこんな質問も。
「普通、曲というのは歌詞と一緒につくるものだ。歌詞の内容に沿って、メロディが決まる。歌詞をつくってからメロディをつくってはどうだろうか…。」
う〜ン、それは音楽療法であって、私たちが行う心理社会的ケアの音楽ワークショップはもっと「汎用」です。そして、トラウマを受けていると起きる「記憶」と「感情」の解離を解消するために曲作りがあること。そしてたとえメロディが汎用のものとして用意されていても、そこに乗せる歌詞に大きな意味があるので、ここは迷わず進めていくことで理解をもらいました。
ジャラールとヤザンは確実にこのアラブ世界の音楽家でした。みるみるうちに、みんなの意見を取り入れながら汎用となる曲をつくっていきます。一応歌詞とのなじみをみるために、試みとしての歌詞を盛り込みながら。
優しい歌になりました。
その曲は
→https://www.youtube.com/watch?v=TiOAuzUqIfo
明日からの3日間、音楽ワークショップの基本となるメロディラインが出来たので、これに沿って子どもたちと共に歌詞をつくり、歌や楽器の演奏を重ねて最終日を迎えていく予定です。
これまでルワンダで制作した「エジョ・ヘザ」と、ジャワ島製制作した「アヨ・バンキット」の2曲で色んな地域の音楽ワークショップの基本メロディラインを押さえてきましたが、ようやくアラブ音楽の基本メロディラインができました。
今後の展開に、請う期待!
桑山紀彦