3月27日(月)の夜にイスラエルに入国、パレスチナに入りました。
イスラエル入国はこの14年間で最もスムースと思われるほど、何も聞かれずなにも問われず一瞬で入国が終わりました。ガザの入域が多い記録を見られればすぐに別室送りになるパスポートコントロールが、あたかも観光客を招き入れるようなスムースさで対応してくれました。
そして今回向かったのはヨルダン川西岸のパレスチナです。
この3月から新しく西岸の事業が始まりました。西岸における心理社会的ケアは初めての仕事です。これから少なくとも3年間継続していく方針です。カウンターパートはナセルさん率いるNafs(ナフス)です。今後この団体と組み、ジャラゾーン難民キャンプとカランディア難民キャンプの子どもたちに心のケアとしての心理社会的ケアを提供します。
今世界は心理社会的ケアこそが心のケアモデルということでこぞって取り組んでいます。「地球のステージ」はこれまでずっとこの心理社会的ケアをすすめてきましたが、日本ではなかなかそれが浸透しておらず残念な思いのままでしたが、世界に出れば、それは「王道」です。
この5月にも「心理社会的ケアマニュアル(仮題)」の出版を控える桑山は、まず今日座学の講座を行いました。さすがに興味と関心が高く、多くの人たちが集まってくれて、これからの事業に関わる人材総結集という感じでした。
明日は実践を学んでもらいます。
今回は亡き友ダルウィーッシュの長男ジハードと、親友マジディの長女ルスルの結婚式がガザのラファ市で予定されていました。
しかし先日ハマスの幹部がイスラエル軍によって殺害されるという事態を受けて、エレズの検問所はハマス側が閉じています。全く入れなくなりました。
イスラエル側の許可はちゃんと取れているのに、ハマスが態度を硬化して外からの入域を禁止してしまっている。せっかくの結婚式に行けません。二人はわざわざ僕たちが渡航するこの時期に結婚式を変更してくれたのに…。
なんともやるせない想いです。
一人一人の人間の願いははかないものです。戦争や紛争、政治を司るものの愚かな判断で、小さな人の幸せが壊されていきます。それでも、僕たちは生きていく。
そういった入域制限のない西岸の仕事が始まりましたが、ガザの仕事もフェーズ2,3年間が新たに始まりました。そろそろ政治がまともにならないと、人間の我慢も限界に近づいているように思います。
桑山紀彦
頑なな現実主義が相手を許す融和とか博愛の精神を忘れ去らせているのでは~と無力感を覚えます。
職務責任よりも人の命を選んだ戦時中の駐リトアニア大使が思い浮かびます。