皆さんは「地域おこし協力隊」という存在を知っていらっしゃるでしょうか。
今日本のあらゆる地方で、人口減少、過疎化、高齢化の問題が起きています。この北海道も例外ではなく、あと50年もすると北海道は札幌だけになってしまうかもしれないとまで言われています。
そんな中、青年海外協力隊に発想を得て総務省と各自治体が経費を折半して存在しているのが「地域おこし協力隊」です。もちろん地域によっては「地域おこし推進員」とも呼ばれますが、いずれにしても途上国で2年間いろんなノウハウや経験を積んだ青年海外協力隊の皆さんが、「その後」を日本社会のために活かそうとしているのです。
上井さんは青年海外協力隊として2年、フィリピンで野菜栽培の仕事をやって今、岩見沢市の「地域おこし推進員」です。元々札幌の清田高校の出身ですが、その時も「地球のステージ」を見ています。上井さんが入っているのは「東部丘陵地」と呼ばれるところ。
道道38号線によってつながった「朝日」という集落に入っていますが、そこは「美流渡(みると)」「万字(まんじ)」「毛陽(もうよう)」という集落が続いていく豊かな丘陵地です。元々小さな炭鉱で栄えたところですが、現在人口は激減。「限界集落」的なところになっています。そこに2ヶ月前から入った上井さん、朝日集落の佐藤町会長と共に、この東部丘陵の集落の交流を盛んにして、この道道38号線添いを魅力ある街づくりにしようと奮闘しています。
佐藤町会長が言いました。
「上井君はすごいんだよ。どんなところにも平気で入っていける。挨拶、笑顔、みんなの中に抵抗なく入っていく。それはやっぱり、フィリピンで活動したことが活きているんだと思うなあ。」
上井さんも言います。
「協力隊で学んだこと。それは積極性です。どんなことにでも前向きに取り組んでいく。その力を得て帰ってきて、今はここでそれを活かしています。」
いま、この東部丘陵地で求められていることは、もっと人がつながって交流が盛んになることです。そのために上井さんは花火大会、ゴルフ大会、バレーボールチームの結成、講演会の企画など大忙しです。佐藤町会長さんが言いました。
「よその人が入ってこないと、この地域は死んでしまう。自分たちだけでは限界が来ていることにみんな気づいているんだよ。だから上井君の存在はこの地域の光なんだ。」
佐藤町会長も長期的な目標は「人口増加」です。 でもそれは一朝一夕には起きない。だけどあきらめたら終わり。まずは今生きている人々がしっかりとつながり合って、「・・集落」なんて単位を外してみんなで力を合わせる時期に来ていることを自覚していらっしゃいました。
そこに投入された「地域おこし協力隊」。まさに途上国の困難なテーマに果敢に取り組んだ経験がいま、日本の過疎地域を元気にしようとしています。
この様子は来年3月4日、JICA札幌が主催する「20周年記念事業」の一環としての「地球のステージ」で公演予定です。
ぜひ、日本国内における国際協力の素晴らしい取り組みを観に来てください!
桑山紀彦
限界集落・高齢化社会、核家族化など安心できる場所がどんどん減っているのが心配です。
「地域おこし協力隊」すばらしい試みですね。
「一人限界集落環境」に陥った人が多い都会にも協力隊が出来てほしいです。