今回の東ティモールの渡航は、いよいよ始まった外務省との仕事、NGO連携無償資金支援の始まりにおいて、きちんとその事業地を確認し、人を雇用し、責任を持ってその運営にあたる事を再確認するためのものでもあります。
現地駐在となった関根一貴さん、そしてコーディネーターのサラ、これから雇う助産師さんや現地の受け入れ団体としてのバイロピテ診療所といろんなことを話し合いました。年間1000万円規模の事業内容なので、皆さまの税金がこの「地球のステージ」に回り回ってやってきて、今それが具体的に東ティモールで使われることになったわけです。
関根さん
バイロピテ診療所の中に再び事務所が復活し、日本人の駐在員を置くのは実に3年ぶりとなりますが、今度はとてもやる気と想像力のある、そして温和な関根さんがその任にあたるので、大変期待しているところです。
彼はこの東ティモールでも特に医療過疎となっているエルメラ県ハトリア郡を事業に地選びました。地理的にも孤立し、雨期には正直ちゃんとたどり着けるのかわからないような地域ではありますが、そこにも人は住んでおり、病気にもなっているわけです。
そこをあえて選ぶ関根さんはすごいと思うし、そのハトリア郡で妊産婦、新生児保健に取り組むわけですが、それはやはり妊娠―出産―子育ての中でも特に感染症や医療事故で命が失われやすい時期に焦点をあてて取り組むわけですから、おのずと期待が集まります。
各村々には伝統的な「産婆さん」がいるのですが、難産には対応しきれないことや、感染症などについてもはっきりと指針を出せなかったりするものです。
そこで、この伝統的な「産婆さん」にセミナーを繰り返し受けていただき、より「助産師さん」に近い存在として村々で活躍してもらおうということが、第一の目的です。
続いて、ハトリア郡にも保健センターがあるのですが、それをより一層利用してもらい、少しでも地域の保健の質を向上させることが第二の目的です。その中には蚊帳を配布したり、アクセスの悪い地域を結ぶ山岳救急車の配置なども視野に入れていかなければなりません。
これから始まる事業なので逐次報告していきたいと思いますが、4人目のフルタイム有給職員となった関根さんを、どうぞ応援してください。
ハトリア郡の民家
今日も、朝から診察。
ダン先生は来年、日本に行くことを強くねがっています。特に「ヒロシマに行きたい」と強い願いがあります。
それを実現していくとともに、これからもっとバイロピテ診療所と「地球のステージ」が一緒に歩んでいけることを強く確信した渡航でした。
2日の朝には帰国し、早速松戸(千葉)のステージにその足で向かいます。
桑山紀彦
私たちは納税をし、
有形無形の社会資産を活用することで、
日本での暮らしを成立させています。
日ごろは気にも留めずにいる、
そんな当たり前のシステムについて
今回バイロピテ診療所と「地球のステージ」のつながりと
活動が、社会の仕組みの一端、活動をする人々とそれを支える市民社会のありようを自分ごととできるよい機会となりました。
また、エルメラ県、母子保健、ヒロシマ・・・。
いくつものキーワードが今後の方向を示してくれています。
ダン先生、関根さんはじめみなさまの健康と幸福をお祈りしています。
東ティモールと地球のステージのつながりが、ますます強くなっていきますね。
ステージ3の、エンディングのメッセージビデオに出てくる、木々の生い茂った、美しい自然の風景。あれがエルメラです。
野生化したコーヒー、梢が平らなテーブルアカシアの木。
首都ディリは、少し埃っぽい、にぎやかな街ですが、海岸線を通り、エルメラの山の方に登っていくと、美味しい空気と岩手県の遠野のような、そんな風景に出会えます。
以前、私が東ティモールでお世話になったシェアの方の話では、数年前の調査で、子ども1000人中、130人が5歳までに亡くなるそうです。驚くべき数字だと思います。
妊婦さんも(もちろん男性もでしょうが)無知なために、流産や早産をくり返したり、まずは、教育が必要だと言っていました。
関根さんが、一人でも多くの方の命が救えれば・・・と思います。