いよいよ撮影5日目。
砂の丘のシーンです。
ここはクライマックスのシーンですが、やはり一番大切なお母さんの声を聴くシーンとは切り離して、とにかく謎の老人と出逢うシーンのみの撮影を敢行しました。
案の定、老人役の白のダルウィーッシュとの会話は、大人が覚えていないことでどんどんテイクの数が増えていきます。それでも少女たちはくじけず、めげず、文句も言わず、ずっと砂の丘に立ち続けていました。
幸い国境線なので、風が強く余り日差しに打ち砕かれるようなことはありませんでしたが、どんどん日が沈んでいき、ついに2時間があっという間に過ぎていきました。シーン数は23しかないのに、テイク数は60を超えています。平均3テイクが必要になっている。大人がしっかりしないといけないなあ、と思ったところではありました。
しかし考えてみると白のダルウィーッシュのセリフは余りに長台詞です。覚えてくださいという方が難しいのはやはり仕方ないところです。
そして民族衣装、ガラビーヤを着込んで出てきた白のダルウィーッシュは、やはり彼でないと演じられないその雰囲気で、周りを圧倒していましたが、子どもたちはなぜか一言一言に笑いが出てきて…。改めてこういった映画を撮ることで世界が拡がることを感じました。
夕陽が沈む前に撮り終えましたが、明日のシーン番号13。お母さんの声を聴くシーンが日没近くでないと、映画の構成上話が合わないこととなり、絶体絶命。
でも明日の18時40分からの撮影で、ついにファラッハはお母さんの声を聴きます。
長い長い旅でした。
それは子どもたちにとっても、そして私たち撮影クルーにとっても。
正味あと1日半、頑張らねば!
桑山紀彦
過酷な環境の中、無事に撮影が進みますように…
思うようにいかないとき、苦しい環境に置かれたとき、私はすぐに苛立ちと怒りの感情が表れてしまいます。記事を読んでいろいろと心の奥に響きます…
イスラエルからの攻撃で状況が悪化しているような場面をニュースで観て、心配ですが、うまく進むよう、祈っています。