初夏の下北半島

青森県に南澤先生という高校の先生がいらっしゃいます。
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 かつて青年海外協力隊で活動し、これまでもずっと青森県のむつ市を中心とした高校の先生をされている南澤先生。実は前任校のむつ工業高校で10年ステージを続け、そして現在の田名部高等学校で4年目のステージを続けて下さっています。つまりお付き合いはもう14年になるわけです。

 この田名部高等学校は地元の名門校で、進学校です。医学部に関して言えば、毎年必ず弘前大学医学部に生徒を輩出しており、6学年のうちの半分の主席者がみんな田名部高校出身者であるという恐るべき高校です。

 もちろん、進学率だけでなく、例えば廊下でのあいさつもピカ一(いち)です。絶対に声をかけてくるし、人との間に壁をつくらないとても素直な高校生です。

 地図で見れば、青森県でも下北半島の「まさかり」型、その根元に位置していて、北にはあの霊峰恐山(おそれざん)をいだく、風光明媚な街です。しかし人口分布で見れば少子高齢化が課題になりそうな地域ではあります。

 ところが、ここに学ぶ生徒さんたちの心の拡がりと成長は、すでに世界を見ているまなざしです。
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 今日も公演が終わってすぐに質疑応答に入りましたが、2秒もしないうちに5人以上が手を挙げてくる。事前に「今日は質疑があります」と言っていないにもかかわらず、このスピードとリアクションです。

 そして質問の内容の中には、

「語り部の皆さんは”向き合う”ことをされていますが、どれほど辛いものでしょうか。本当は辛くないのでしょうか。」

 という実に内容に入り込んだ質問が飛びだしてきます。

 その後の座談会も50名近くが集まり、活発な論議です。
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 全国で繰り広げている公演後の座談会は、どれも本当に秀逸で「日本の高校生も良く育っているなあ」と思うことがたくさんですが、この田名部高校もすばらしい高校生たちでした。

 最後の質問が、

「桑山さんにとって、これから将来に向けて取り組んでみたいことは何ですか?」

 う~ん、深い。

「・・・人はどんどん歳をとっていきます。自分もそうだ。だからこれから一番取り組みたいことは、年齢や老化に負けないで、これからもずっと歌い続けること。つまり、大切だと思うことを年齢に負けないで継続するという挑戦に取り組みたいです。」

 この生徒さんたちと出逢えて、本当に良かった!

 と思う瞬間でした。
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 来年は田名部高等学校創立100周年です。

 果たして来年は6番で呼んでいただけるのか。それとも周年行事なので、逆に外されるのか、それはまだわかりません。しかし少なくとも、こんなに素晴らしく生きている青森の高校生とまた逢わせてほしいと願うばかりです。

 「田名部高校100周年記念版」の映像をつくって、最後の故郷篇に織り込み、みんなで100周年を感じられるものに作り直していくことも考えたいと思っています。

 また、初夏のむつに行けますように!

桑山紀彦

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