第1回読み合わせ

今日初めての読み合わせがありました。

 4人の少女たちのうち、ヤクイーンが家族と話し合ってコーランの勉強を頑張るために、離脱することになりました。仕方がないことです。お父さんがとても宗教学に熱心なのだと思います。代わりにフェダーが入ることになりました。うちのスタッフ、アシャラフの娘ですが実は本当の娘ではなく、兄の子です。フェダーのお父さんは銃の流れ弾に当たって自宅前で亡くなってしまいました。早くにお母さんをも亡くしていたフェダーは孤児となったのですが、兄弟愛の強いアシャラフが自らフェダーを引き取って、娘として育ててきました。

 そんなフェダーは学業成績も優秀で、何度か逢っていますが、とても賢い10歳です。期待していきたいと思います。

 さて、ヤクイーン以外のみんながそろい、いよいよの読み合わせが始まりました。その時、「白のダルウィーッシュ」が立ち上がりました。
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「まず、私はこのシナリオを隅々まで深く深く読み込んだ。

 これはパレスチナの真実の物語である。愛も、哀しみも、現実も、夢もみんな詰まっている。そしてその一方で忍耐や努力といった要素も入っている。これを日本人が書いたと言うことに驚きを隠せない。しかしそれは、日本とパレスチナがとても強い友情でつながっていることの証しでもある。

 私はこの物語に出演できることを光栄に思う。」

 「白のダルウィーッシュ」は見るからに魔法使いのおじいさんのようです。当然、ラストシーン、砂の丘に登った少女たちが出逢う、謎の老人の役です。嬉しいお言葉でした。でも、この地に通い続けて12年が過ぎようとしています。とことん関わってきたけれどまだまだわからないこともたくさんあります。けれどいつも、「わかりたい!」と思ってきたことだけは自信があります。

 

 さて、主人公のファラッハは今日もおめかししてきてくれました。
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 真剣にセリフを読む彼女はなかなかに頑張ってついてきます。それを囲む大人たちはもうみんな芸達者なパレスチナ人ですから、最初から飛ばす飛ばす。もう気持ち入りまくっていますね。

 特に嬉しかったのは、マジディです。

 我が娘のように思っているルーリーのお父さんで、普段はタクシーの運転手と旅行代理店を営んでいる普通のパレスチナのおじさんですが、むちゃくちゃやる気です。実は昔、俳優を目指していたとか…。

 「ケイ、これでハリウッドを目指すぞ!」

 というマジディの目は「まじめ」でした。
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 ジャーナリストになるべく大学生活を頑張っているモハマッドも、立派な俳優さんとして読み合わせについてきてくれました。

 彼の登場するシーンは国境線に接する自宅のシーンですから、危険も伴います。でもとってもやる気です。

 さて、1回目の読み合わせは無事に終わりました。

 期待通り、なりきるパレスチナ人の演技力に支えられて大成功でした。明日の第二2回読み合わせまでに、自分のセリフを、自分なりの言葉に変換するという作業をお願いして初日が終わりました。

 毎日がわくわくしながら過ぎていきます。
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 けれど、頭上には空爆機、F-16が轟音と共に飛び交っています。

桑山紀彦

第1回読み合わせ」への2件のフィードバック

  1. 『ふしぎな石』いつ観られるのだろう、と心待ちにして、この記事も何度も読み返します。
    お気をつけて…

  2. 映画作成のプロセスを知らないので興味が尽きません。なにかすごく難しそうですが少しづつ前に進む過程が楽しみです。

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