ロケハンが始まりました。
これは映画を制作する前に、それぞれのシーンにふさわしい場所を見つけるものです。
実際に足で歩いてみないと、いろんな不都合がでます。実際今日は前もって決めていた学校が大改装工事に入っており、暗号文が見つかる「校庭の西の端の樹」も周りも工事機械で溢れているという現場に遭遇し、
「やっぱり実際に行ってみないとわからないなあ。」
と感じました。
でも、もう一つの学校に行ったらちょうど西の端に樹があり、ベストなロケーション。そして何より主人公、ファラッハの通っている学校なので、より真実に近い構成となりました。
そんなファラッハを訪ねました。
すぐに着替えて、おしゃれに出てくるファラッハ。賢い少女であることがわかります。ちゃんと英語であいさつしてきます。そしてびっくりしたのが、
「もうセリフはほとんど覚えたから。」
という発言。ものすごいやる気です。この10歳の少女がどんな演技を見せてくれるのか、とても楽しみです。
そして、次のロケハンに行く途中に、盟友ダルウィーッシュのお墓に参りました。
ひときわ立派なお墓に眠るダルウィーッシュ。切ない想いでいっぱいになりましたが、イスラムのみんなは「死」が決して終わりではなく、次の世界の始まりだと心から信じているので、余り悲嘆に暮れた表情を見せません。哀しみはあるけれど悲壮はない。それがイスラム教の「死」に対する前向きなとらえ方でした。
最後に、第7幕の農場でお百姓さんに出逢うというシーンのロケハンでした。
ラファ市の東部、アル・ブユクをぐるぐると回りました。そして見つけたいい感じの農場。大家さんを探し出して撮影の許可をもらいました。
「自分のところで映画が出来るのか。それは嬉しい!」
みんな好意的です。このラファが舞台の子ども映画の制作など、この地において初めての出来事です。みんな大きな期待をしてくれているのがひしひしと伝わってきました。
だからこそ、最大の心配は、撮影が始まったらものすごい人だかりが出来るに違いない、ということです。アーベッドが言いました。
「小銭をたくさん用意しておかないと、子どもたちは山のようにやってくる。小銭を握らせて、”買い物でもしてこい”と言ってようやくその場を離れるだろう。」
「ホンとか~?」
と返した桑山でしたが、アーベッドの目は決して笑っていませんでした。
う~ん、人払いが最大の懸案か…。
それほど、ラファもガザも明るい話題に飢えているのです。
この映画は撮影するだけで、ガザ地区やパレスチナ人を明るくさせてあげられるものなのだと、アーベッドが力説していました。
う~ン、重圧。
桑山紀彦
きれいな空です…
『不思議な石』楽しみです。
ダルウィーッシュのお墓、イスラムの死への考え…
私も、この世からいなくなっても、ちゃんと全部見て分かってくれているのだと思いますが、
本来の教えと違った方向に進んでしまう人達の、死を恐れない、悲しまない、にはなってほしくないです。
(うまく伝わらずすみません)
改めて、ダルウィーッシュへの感謝と祈りを捧げ、見守ってくださるよう、お願いします。
気をつけて過ごされてください。
予期せぬことがこれからもありそうで緊張しませんか?
しかしこの映画が歴史の1ページに足跡を残すに違いありません。