西郷さんとシャバット

今日は土曜日、イスラエルの休日です。つまり日本の日曜日と同じ。明日日曜日は、日本における月曜日にあたります。
 だからもちろんエレズの検問所も通常であっても閉まっていますから、入るのは明日を待たなければなりません。
 そんな時はイスラエルでゆっくりを羽を伸ばすしかありません。そこで登場するのが、我がエルサレム事務所に勤めて下さっている西郷さんです。
 「地球のステージ」の業務においてはパートタイマーの勤務形式なのですが、実は本職がツアーガイドおよび通訳さんなのです。それはそれは有名なガイドさんで、僕たちが知り合ったのも元々はあの2009年の空爆の時、とにかく開いている「入り口」を見つけるための奔走して頂いて以来のおつきあいなのです。
 そんな西郷さんは高校生の時からイスラエルに住み、イスラエル人と結婚して3人のお子さんに恵まれた、れっきとしたイスラエル国籍の日本人なのです。奥様とはその後離婚されましたが今でも子どもたちとは仲良く、こうして週末になると長男のギルくん、妹のエミちゃんが泊まりに来ます。次男のオールくんは今兵役に就いていて、なかなか逢えません。
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(向かって左からエミちゃん、ギルくん、西郷さん~エルサレム事務所にて)
 でもギルくんもエミちゃんもとっても素直で、西郷さんが大好きであることがわかります。
 今日は西郷さんのすすめで世界遺産、マサダ要塞に登り、思いっきり日焼けしましたが、旧約聖書に出てくる物語がそのまま遺跡として残っていることに感動を覚え、この地が太古の昔、いかに「動いて」いたかがわかります。まさに歴史ロマンの世界です。
 その後死海に行って浮いてきました。
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 ここは塩分濃度35%。目に入ったら大変な騒ぎですが、本当に浮きます。皆さんお試しあれ!
 
 一人娘のエミちゃんは昨日中学校が終わり、夏休みに入りました。9月から高校生になります。日本語はほとんど話せないけれど、ヘブライ語と英語を話すバイリンガル。お母さんの意向でまだ日本に来たことはないですが、お父さんの願いでそのうち日本にも来るでしょう。
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(エミちゃんが大好きな西郷さん)
 西郷さんは鹿児島の出身。由緒正しい西郷家の末裔です。現在でもご両親は鹿児島の枕崎で「大国寺」を守り、活躍されていると聞きます。
 そんな今日のツアーの最後は、世界最古の城壁都市エリコを訪れました。
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 この町は旧約にも、新約聖書にも登場する珍しい街です。砂漠の中のオアシスですが、不思議な運命に守られてきた街。もちろんパレスチナ自治州に属するので「ヨルダン川西岸」の中の街なのですが、検問所も分離壁もなく、実に普通にイスラエル領土とつながっています。
 西郷さんが言いました。
「僕はこの街が一番好きだ。水はエルサレムの地下水が数十年かかってしみ出して枯れることはない。そのため自給自足の生活で、食べ物が美味しい。そしてこのエリコの人たちはこれまで一度たりともイスラエルに向かって攻撃的なことをした事がない。だからイスラエルもエリコの街やその住民は信頼して、検問所も分離壁もつくらない。
 つまり、”やればできる”って事がわかる。
 パレスチナも、イスラエルも本当は仲良くできる。お互いの文化を認め合うこともできるし、殺し合いだって止められる、一部のアホな人間が利害のためにわざと戦っているだけで、普通の人たちは戦争なんてしたくもない。
 イスラエル人がエリコにもっと来て、ここの料理を食べれば、一度でここが好きになる。お互い知らないだけなんだ。ちゃんと知り合えば絶対に仲良くなれる人たちだと思うよ。」
 イスラエル在住30年の西郷さんはそんな平和主義を持っています。
 直接会って知り合えば、絶対に仲良くなれずはずだ。
 それは西郷さんの本音なのです。だから一緒に働いていて、本当のことが見えてくるのでしょう。決してどちらかの肩を持つことはしない西郷さん。そんなバランスの取れた視点をこれからも学んでいきたいと思っています。
桑山紀彦

西郷さんとシャバット」への3件のフィードバック

  1. なぜ戦争は終わらないのか、ステージ3番を思い起こしています。
    誰もが平和を望んでいるはずなのに…。
    束の間の休日、現地の方と過ごせて良かったですね。

  2. エリコという都市があるんだね。行ってみたいです。 くれぐれも気を付けて、明ちゃんにもよろしくお伝え下さい。

  3. エリコ初めて知りました。
    ここにお互いが解りあえる芽があるんですね。
    忘れないようにします。

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