「失われた時を求めて」ワークショップ

今日は、全国からいらっしゃった会員の皆さんに向けて、「失われた時を求めて」のワークショップでした。
 これは、閖上を実際に歩いてもらい、そこから現実に起きたことを少しでも身近に感じてもらうために考案したワークショップです。

WS「失われた時を求めて」のはじめに
 原題はプルーストの同名小説が出典ですが、実は桑山一時期作家の夢断ち切れず、小説を書いていた時期があります。その題名が「失われた時を求めて」というものでした。それは、ある医師がひょんなことから、記憶を映像化する装置~潜在記憶映像化装置を開発するものです。それにより、潜在的に埋もれていた記憶が映像となって蘇り、何人かのPTSDになるような症状を消し去っていくというものです。
 しかしある時、心の傷かと思うような男の潜在記憶を映像化した時、殺人事件に関わるような映像が出てきてしまい、主人公の医師はその事件に巻き込まれていくというものです。主人公の医師の名前は八月一日という名前で設定しました。これは「ほずみ」と読みます。故郷白川郷に数少なく存在する名字ですが(実際には群馬県に多いようですが、全国で100人程度です)、そんな故郷への「記憶」も遡らせてつけた名字でした。
 結局、日の目を見ることなくデータとして保存されているこの小説。とりあえず100ページくらいまでは書きました。
 そんな失われた記憶を取り戻すという思いを込めてつけたこのワークショップ。今日は曇天の中、天気予報が外れて涼しい閖上をみんなが歩き始めました。
 このワークショップは「地図」「コンパス」に加え、各グループに配られる「指令書」に従って被災された「人」の家の跡などをたどるものです。そこには「時のカプセル」が埋められており、それを見つけて開けるとそのうちの歴史が書かれていて、次の指令が出されています。これにより、何がここで起きたのか、を肌で感じてもらう。そんなワークショップです。

渡された「閖上」の地図を確認
目的地をめざして.jpg
いざ目的地へ:地図と司令書をたよりに
丹野さんの家の跡地で.jpg
目的地にたどり着く:人生にふれる
 我が班は、閖上中学校遺族会の丹野さんのご自宅と、その後閖上郵便局を発見する「指令」でしたが、皆さんあまり迷うことなく目的地を見つけ、そこでいろんなことを考えて下さいました。
 岐阜県岐阜市から参加した恵子さんは小学校5年生です。すべての「時のカプセル」を見つけて「閖上の記憶」に戻った後、
「どんな風の色でしたか?」
に対して、
「緑と赤の風の色」
 と答えてくれました。緑は生い茂る草の香り、そして赤はそこにいた「人」の跡なのだそうです。
 すてきな感性でした。
ふり返り1.jpg
ふり返り
ふり返り.jpg
みんなで思いを共有する
 こうして、全国からいらっしゃった皆さんは4年目に入る被災地を感じ、「地球のステージ」の活動の意味を感じ取って下さったことともいます。
 来年の総会はどこでやるのか決めていませんが、どこかで、
「うちでやりたい!」
 という方、いらっしゃいませんでしょうか。やはり全国いろんなところを回り、時々名取本部で総会、と考えております。
 皆さん、お疲れ様でした~。
 そして何より、この総会のために文字通り不眠不休で取り組んできた我がスタッフに感謝します。好きでないとできない。やっていることの意味を感じていないとできない、そんな活動ですが、全国からいらっしゃった皆さんの笑顔に救われ、
「この活動をやっていて良かった。」
 と思ってくれたことと思います。
桑山紀彦
追記
 それでも残念だったのは、一部の方から心ない発言があったことかも知れません。
「最近歌が下手になった」「前の歌い方の方が良かった」「半世紀も生きて、いつまで続けられるかわからない」
 これらはおそらく半分は冗談でしょう。しかし人前でおおっぴろげに言うことではないと思います。これは、目の前の人に、
「あんた太ってるねえ。」
 というのと同じ。言っている人は冗談かも知れませんが、言われた方は一応リアクションとして、
「そうなのよ、最近きつくてね~」
 と返す習慣がついていると思いますが、それでも心の中では傷ついているものです。
 親しき仲にも礼儀あり。それを踏み外す方が若干名いらっしゃったことが残念でした。
 がんばって歌っています。
 いろいろ考えながら、どういうふうに表現したらいいか、必死に考えながら歌っています。
 歳をとってきているのは、わかっています。でも、30人の人が働くこの団体を運営しなければならないから、歳をとってもいつまでも続けられるように努力しているのです。
 加齢と戦いながら、経営に悩み、運営に苦しみ、拡張に砕身しています。
 そんな心情も知らないで、人前でさもわかったように公言するのはおかしいと思います。
 桑山は何を言われても傷つかないと思われているのでしょうか・・・。
 歳をとり、ハイトーンが出にくくなっても、高脂血症になっても、どれをはねのけて頑張らなければならない覚悟で日々生きていることを、この総会が名取で行われたが故に知ってほしかったですね。
 上記のように言いたい人は、直接桑山に伝えて下さい。何も人前で言うようなことではないと思います。
 飲み込もうと思っていましたが、以前より繰り返し人前で言われるのであえてここでお伝えしました。
 

「失われた時を求めて」ワークショップ」への5件のフィードバック

  1. 地図を片手に、更地となってしまいましたが我が家に来て下さって、ありがとうございました。

  2. スタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。
    朝早くから「時のカプセル」を設置してくださったり、サポートの数々に感謝です。
    閖上の町を歩くのはちょっと勇気の要ることでしたが、嵩上げされてしまう前に
    震災当時に思いを馳せることができて有難かったです。
    渡された地図と現実とのギャップの大きさを肌で感じました。
    是非、多くの方にこのワークショップを体験してほしいと思います。

  3. 今年も、さまざまな出会いの総会を、ありがとうございました!!
    朝市では、たくさんの食品を買い込み、ワークショップでは、見ただけでは分からなかった「津波」を感じることができ、さいかい市場では、昼食に海の幸をいただき、震災の写真集と復興Tシャツを買ったお店のおばちゃんと、震災の日のことを話し込んだりしました。
    初めてお会いした各地の方々。
    キャサリン車に乗って下さった方々。
    楽しい時を、ありがとうございました。

  4. 江里さんテレビで見ました  
    テレビに出る 本当に勇気の有る行動だと思います     自分も大腸ガタガタ 追突されて椎間板損傷 風呂なんか入らずに酒飲んでたいですョ  
    顔見ると、こわもて健康優良児みたいなんですけどねぇ
    へたばりそうですよ                                               
    桑山さん飲み込まずに言ってくれて良かったです  
    桑山さんも人間ですから                 少しくらいハイトーンが出なくても味が出ていいですよ   綾戸智恵なんて出ない音を歌わないそうです(本人談 敬称略)      

  5. 追記が書かれていたので、コメントしますね。
    私も、時と場所も考えずに、桑山さんが傷つくようなことを言ってるな・・・と思いました。ごめんなさい。
    以前、私が恩師と食事をしたとき、お皿にのっている食材を見て、「え!先生、それを食べて大丈夫なの?」と言ったことがありました。恩師は、「食べて悪いものはないんだよ。量なんだ。それより、そうやって言われることがストレスになるよ。」と話してくれました。
    「悪化=死」につながる病気と40年も闘い、何度か死に直面しながら、部活で生徒を何度も全国大会や国体に導き、浅い知識の私とは、違う深いところで生きているんだと感じました。
    誰だって、分かっていることで本当のことを言われると、カチンときますよね。

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