1ヶ月間、ガザ地区で暮らしているといろいろな出来事があります。
休みのある日、事務所ビルの大家さんアラー・ゲシタ氏に連れられて、2014パレスチナリーグ決勝を観戦に行ってきました。
綺麗とは言えないものの天然芝で音響や照明もあります
なんとガザ地区にもフットボール協会やプロリーグがあり街ごとにプロチームが存在しているらしく、「ガザでプロサッカーやってるのか~~!」と驚嘆でした。
不安定な経済状況や空爆、占領下にあるガザ地区で、娯楽やスポーツが盛んに行なわれている訳が無いと思っていました。
入りきらない観客で溢れかえるスタジアム
スタンドに充満したサポーターからは大声援や爆竹のような花火が上がり、コート周辺のスタンドフェンスやスタジアム外壁、屋根や樹木の上、隣のビルの屋上など、試合が見えるあらゆる場所に人が溢れていました。ドリンクやアイスクリーム、食事やお菓子類も売られていて、更にスタジアム外にも入りきれない人たちがカーラジオや携帯電話などで試合に食い入りながら試合の行方を見つめて一喜一憂しています。
パレスチナのカフェで観戦している男性たち
また、パレスチナの「カフェ」はダンスホールのようなスペース。四方の壁に大型スクリーンや大画面モニターを配して欧州プロサッカー中継の観戦ができるようになっており、皆さんきちんとした服装で来店するようです。店内では欧州サッカー中継を観戦しながら飲食や水タバコを楽しむのが、大人の男たちの娯楽。
子どもたちもサッカーが大好きでジュニアやユースのクラブチームもあり、日常生活でも放課後は大人も子どもも道ばたやグラウンドでサッカーをしている光景があります。街のスポーツ用品店にはボール、シューズ、ウェアなどサッカー関連の商品がほとんど。まさにガザでもサッカーが国民的スポーツなんです。
サポーターたちも爆竹に負けないくらい大声援
決勝の試合は、私たちが暮らしているラファ市のチームが2-2同点の後、PK戦5-4で勝利。ラファが2014年のリーグチャンピオンになったのです!ゲシタさんも大声出して大喜び!スタジアム中が歓喜と落胆、熱狂が溢れていました。
その日の深夜、選手やサポーターや街の人たち1000人以上が歓喜のパレードをしながらドンチャン騒ぎ。更に後日、ホームスタジアムで開催される2014リーグチャンピオン祝勝パーティには、街中から1万人以上の人々が集まります。
毎日どこかで空爆や銃声が鳴り、テロのように攻撃が行なわれ、何人が殺されたとか拉致されたとか、あまりにも「死」がそばにあり続けるパレスチナ・ガザ地区で、閉塞感と苦痛を抱き続ける国民に帰属意識や自信を持たせ、夢や感動を与えることが出来るスポーツの持つ力を再確認するとともに、事務所の窓からいつまでも続くパレードを眺めながら、心から湧く熱狂や歓喜、まるで“希望”を見たような思いでした。
「どれほど占領して相手のものを奪ったとしても、決して奪えないものがある」
ガザ地区・ラファ事務所 宗貞 研
パレスチナのサッカー事情にビックリしました。
一方では戦闘が行われ、一方ではスポーツという日常があるんですね。
日頃、私たちに届く情報は一面だけなんだなと改めて思いました。
ケンケン、伝えてくれて有難うございます。
スポーツだと人と人が向き合えるのに政治が絡むと争うの影を落す。人間とは厄介な生き物です。いつでもどこでもお互いに人の顔が見える社会であって欲しいものです。