そのみさんとワークショップ

昨日の夜、佐藤そのみさんと新しい映画のシナリオづくりのためのワークショップを行いました。
 そのみさんは大川小学校の6年生だった妹のみずほさんを津波で亡くしています。
 映画「ふしぎな石」に続く作品は、大川小学校を舞台に、そのみさんと一緒に創りたいと思ってきました。

 

 そのみさんは17歳。高校2年生です。大川小学校の出身。今回石巻高校演劇部でシナリオを書き、地区大会に行きました。題名は「アボカドの降る朝に」。ホームレスのおじちゃんとの出逢いを綴ったものですが、これは「後悔しない」というメッセージです。

 あの3月11日の朝、妹のみずほちゃんは「お姉ちゃんおはよう!」と言いました。でも機嫌がよくなかったそのみさんは何も答えませんでした。そして津波が来て大川小学校の6年生だったみずほさんは3日後発見されました。

「なぜあのとき、ちゃんと答えなかったんだろう。」

そのみさんは今も後悔しています。でもその一方で思う。私はみずほの分も生きている。だから、どんなことでもみずほと一緒。私には絶対にいいことがある。それはみずほがついているから。

そして思うようになりました。

「いつ何時何が起きても、後悔しないように、日頃から優しさを胸に。」

みずほさんのお葬式が終わって3日目、家族で居間に寝ていたら、突然みずほさんの部屋にあったギターが鳴りました。それは「G」コードでした。

「みずほだ。みずほが鳴らした。やっぱりあの子はそこにいる。」

1年目の夏。塩を被った川の土手に突然6輪のひまわりが咲きました。どれも違う種類。福地でなくなった6人が天から咲かせたものだと、みんなが信じました。

「あの子は向こうの世界で生きている。」
「このひまわりはみずほが咲かせた。」

そのみさんは、確信しています。

いま、そのみさんと映画のシナリオを創っています。

「大川小学校は悲劇の小学校ではない。私たちの大切な想い出の小学校だった。だから、私は想い出をきちんと伝える内容にしたい。」

「奇跡が起きて、天の声を聞こう。」

遺族が一番知りたいのは、天に昇っていった家族の声。

「あのときどうしていたのか」
「天に昇る瞬間は苦しかったか、苦しくなかったか。」

「今はどうしているのか。私たちの世界が見えているのか。」

聞きたいことはたくさんある。それを復活させるのは私たちの創造力だ。死者の声を想像し、現実に映画の中で表現しようということになった。

それを見た多くの人が、

「やっぱりそうだったんだ」

 と納得できるものにしようということになりました。

一分一秒の検証も大切。でも最後までわからずじまいのことだってある。だったら、それに苦しまないで天に昇っていった家族の声を想像して、作品にすることで、心がちゃんと落ち着くというところを二人で目指しています。
この様子は25日(水)の福岡県人権同和教育研究協議会のステージで初めて報告できると思うし、新曲「空へ」もそのとき披露できると思います。
今年最後のステージ、福岡県同協のステージで皆さんお会いしましょう!
桑山紀彦

そのみさんとワークショップ」への3件のフィードバック

  1. 石巻の奇跡のひまわりのことは知っていましたが、そのお一人がそのみさんの妹さん・みずほさんなのですね。
    そのみさんの映画作り、応援しています!

  2. 世界、日本、地球のステージ、に最高のクリスマスプレゼントをo(^-^)o
    桑山さん、是非クリスマスに福岡公演で最高のプレゼントを歌ってあげてください。
    僕は仕事ですがGibsonのピック、ピンク色のピックを思い新しい曲「空へ」はどんな曲か想像してます。
    世界中の皆さん、日本の皆さん、地球のステージスタッフの皆さん、桑山紀彦さんメリークリスマス。

  3. これはまさしくノンフィクション。
    すがすがしい物語が出来ることを期待しています。

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