「閖上の記憶」視察研修

  昨日~今日と1泊2日で被災地をめぐる視察研修をおこないました。

参加者は「閖上の記憶」で活躍する番人、語り部、案内人、学芸員の9名の皆さんで行ってきました。

 今回の目的は、他の被災地で取り組まれている活動を実際に見て感じることで、他の被災地を知り、参考や学びを得ながら今後の取り組みに生かすこと。また、他の被災地で活動されている方々との交流を通して、分かち合いと情報交換をおこない、今後に生かしていくことです。そして他の被災地を知ることで、閖上もまた知ることができます。

まずは1日目。朝6時30分に名取を出発して陸前高田市へ。

午前中は、陸前高田で活躍されている案内ガイドさんのガイドを受けさせていただきました。

 実は昨年スカイルームの子どもたちと被災地バスツアーをおこなった際にガイドしていただいた方に再び案内していただきました。素晴らしい案内で、みっちり2時間半。様々なお話を聞かせていただきました。

 午後は気仙沼へ。「リアスアーク美術館」で常設展示されている「東日本大震災の記録と津波の災害史」展示見学です。今年の4月から開催されており、テレビのニュースで拝見した時から私自身もずっと行きたいと思っていた場所でした。そちらでお願いし、学芸員さんに話を聞かせていただくことができました。

 こちらからの質問にも快く答えてくださり、参加者の皆さんも関心深く聞かせていただきました。

 「閖上の記憶」学芸員の哲さん。熱心に見ていらっしゃいます。こちらの学芸員さんにも積極的に質問されていました。

 写真、言葉、流失物など、震災直後から学芸員のお二人が2年をかけて作り上げられたものは、本当に素晴らしいものでした。保存・展示のための環境や物理的な面ではプロの美術館とプレハブでは比べ物になりませんが、様々な面で参考にさせていただき、こんな展示と遺物の保管をしていけたら、と思いました。

 この日は南三陸町で宿泊し、本日2日目。午前中は、南三陸の語り部ガイドさんの案内でした。「伝えたい」という熱い思いとともに、悲しいことも奇跡的な話も含めて、震災当日に起こった出来事を語ってくださいました。

そして、あの防災庁舎へも立ち寄り、合掌させていただきました。

 ガイドさんの生々しい語りを聞きながら、その時のことを想像すると涙が出てきます。

 遺構を残す、残さない、それぞれの被災地で同じような議論がされているようです。

 その後石巻へ移動。大川小学校に立ち寄らせていただき、献花をしました。

 同じ遺族として大川小学校への思いが強い遺族会会長の丹野さんは、涙をされながら思いを巡らせていらっしゃるようでした。


 そして、視察最後の場所となる石巻市街。「みらいサポート石巻」という団体さんにご協力をいただき、石巻の被災地ガイド、そしてそこで語り部として活動されていらっしゃる方々との交流の場を作っていただきました。

 それぞれが今感じていること、悩んでいること、聞きたいこと等を話していくと、時間が足りなくなるぐらいの議論や、分かち合いの時間を過ごすことができました。

石巻の語り部さんも、時に涙されながらご自身の思いを語ってくださいました。

 あっという間の2日間。参加者の皆さんも「有意義な研修だった」と話され、こんな企画がなければ他の被災地に絶対に行くことはなかったという人も、今回一緒に行くことができて本当に良かったと思います。ある意味では大人のスカイルーム~被災地バスツアー~でした。

 現在9~11月と案内ガイドの予約がどんどん入っている状況です。

 今回の視察研修から、またさらに「閖上の記憶」活動がより充実したものになるようにと願いつつ、2日間の研修を終えました。

 「閖上の記憶」を応援してくださっている皆様、本当にありがとうございます。

 今後ともよろしくお願いいたします。

林 由美


「閖上の記憶」視察研修」への3件のフィードバック

  1. 是非、行ってみたい場所です
    どうしても無くてはならない場所になり、
    ハード面もいずれプレハブから被災した建物を利用した施設な
    どをになり、
    後世に語り継いでいただきたいと思います

  2. 「スカイルーム(大人の)被災地バスツアー」のご報告良かったです♪
    ご自身の周囲ですら客観的に接する(見・聞・考…)のが難しかった被災地の方々が、他の被災地を巡ったり、交流したりするのは、なかなかないと思います。
    でも、だからこそ、お互いの思いを通わせ合い、またとない貴重な時間を持つことが出来たのでしょうね…
    「閖上」を思う時、これからは同時に、陸前高田、気仙沼、南三陸町(防災庁舎)、石巻(大川小学校)も思い出します。そして、その他の被災地のことも…

  3. 「閖上の記憶」のスタッフの皆さん、お疲れ様でした。
    大人のスカイルーム・バスツアーで改めて被災と向き合うことになりましたが、
    もう一歩前に進めるようになられたのかなと想像しています。
    皆さんの閖上から発信していこうという熱い思いが伝わってきます。
    これからも応援して行きますので、よろしくお願いします。

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