ボランとの再会

 今日は朝から「トゥースレイン刑務所跡博物館」に出かけました。

 そしてそのあとは「チュン・アイク虐殺の野」に出かけました。この二つはカンボジアを知る上で欠かせません。
 カンボジアは今でこそ世界遺産アンコールワットを持ち、ほほえみの国として有名ですが1975年からの4年あまりはポルポト時代として実に300万人の人が虐殺された歴史を持つ哀しみの国でもあります。
 その歴史を知るのが、この二つの祈念館です。
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 チュン・アイク村にはもう何度出かけたでしょうか。
 なんと今はIDコーダーによる音声解説がついています。もちろん日本語もありますが、そのアナウンサーの声が実に深く、心にどんどん入ってきます。まるで現在のNHK盛岡放送局の渋い声のアナウンサーさんのようです。
 やはりこうして「残す」ということはとても大切なことだと思います。
 カンボジア人にとっては伏せてしまいたい記憶かもしれませんが、あえてそこに光を当ててちゃんと残しているその姿が大切だと思いました。それは今回の津波についても言えます。
 ちゃんと残すことでこれからをどう生きるのかもしるべになることだってあります。だから、辛いという思いだけですべてを伏せてしまうのではなく、こうしてちゃんと形にして「伝えていく」ことの大切さを、カンボジア人の勇気から教えてもらった思いでした。
 周回の終わりは18番。祈りの塔です。
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 ここには発掘されたおびただしい人骨が積み上げられています。しかしそこには立ち入ることも出来て、お祈りが出来ます。しかも写真撮影も許可しています。そうすることで世界に広がっていくことを願っているのです。これもまた勇気だと思いました。
 そして午後からは青年海外協力隊の皆さんの活動現場を視察させて頂きました。
 皆さん前向きで、自己の存在をかけた日々の努力をされています。日本にも、こんなにもまっすぐであきらめない、そして自分に正直でいたいと思う人々がいるのかといつも感動しますが、カンボジア隊の皆さんもそうでした。
 いま、JICAが中心となり「なんとかしなきゃ!プロジェクト」が進んでいますが、その中で報告できると良いなあと思っています。
 そして夕方、ついにボランと逢いました。
 昨年3月、予定していたカンボジア行きは当然キャンセル。ボランティにも心配をかけてしまいました。でも今年こうして逢うことが出来ることになったのです。
 ボランはずいぶんスリムになっていました!
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 現在のボランはパスツール研究所を辞めて、米国CDC(疾病予防管理センター)のカンボジア支所で働いています。なんと担当は「世界流行をきたしやすいインフルエンザ・ウイルスの研究」です。
 日々、彼は世界のことを視野に入れて活動していました。
 その年の流行予測やワクチンの改良、日々の予防対策など忙しい毎日を送っています。
 でも笑顔はそのままに、優しいボランでした。
 彼はあくまで、世界のこととこのカンボジアの病気が少しでも少なくなることを願って日々邁進しているのでした。
 また「カンボジア篇」で今のことを語ることが出来ます。
 さて、こうして短いカンボジアの旅は終わります。
 今回は200万円を超える支援をしてくださった小島幸子さんへのお礼を伝えたかったこと。
 ステージ2の「カンボジア篇」をフルハイビジョンにしたかったこと。
 そしてボランの「今」を知り「カンボジア篇」のアップデートをかけることでした。
 美しい映像が撮れました。
 ぜひ新しくなる「カンボジア篇」にご期待を!
桑山紀彦

ボランとの再会」への4件のフィードバック

  1. スケジュールの順調な消化、お疲れ様でした。
    様々な方たちとは、人間関係で繋がった素晴らしい友人ばかりでまぶしい思いです。

  2. ボランが自分の生まれ育ったカンボジアでずっと活動されているのが、何だかとっても嬉しいです。メタボから脱出したんですね。
    全然関係ありませんが、仙台出身の羽生君が世界大会で銅メダルをとりました。(高橋君は銀)震災で自宅も倒壊して練習場所もなく、練習場所を転々としたそうです。

  3. ステージの画面でお会いしているだけなのに、ボランのことは親戚のように感じます。
    写真を見て、懐かしい!と思いました。
    カンボジアに居ながら世界に目を向けているんですね。
    桑山さんに出会ったころから志は高いまま!頼もしいですね。
    二人の息子さんもお父さんの友人たちと出会ってたくさん刺激を受けたことでしょう。
    お帰りもどうぞ気をつけて。

  4. ボランさん、益々多くの人にとって大切なお仕事をされているんですね。すばらしいし、頼もしいです。同じアジア人として誇りに思います。紀君、お二人の息子さんたちお疲れ様でした。貴重な経験をされましたね。お帰りなさい!

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