九州の人々

今日は、そのまま移動して九州は福岡県、糸島市にある東風(はるかぜ)小学校のステージでした。

 ここには熱い気持ちでいつも応援してくださる水崎先生が養護教諭として働いていらっしゃいます。水崎先生は6年前にこの東風小学校が創立された時からの養護教諭ですが、新設校の苦労が様々とあって、大変ストレスをためていらっしゃった時に福岡県の先生方に呼んで頂いた8月のステージ(1番)を観られました。
 そこで気持ちがすーっと楽になり、元気をもらわれて以来ずっと関わり続けてくださっています。 昨年は福岡県の養護教諭部会で呼んでくださったり、とにかく「できるだけのことをしよう」という気持ちの先生です。
 そしてついに念願とされていたご自身の学校で呼んでくださいました。
 もちろん校長先生のご理解や、父母の皆さんの多大な協力があってのことですが、会場は地域の皆さんも集まって500人は集まってくださってでしょうか。糸島市では初めてのステージなのに、大きな盛り上がりでした。
10/16-3
 実行委員の皆さん
 この九州というところは、今回の東日本大震災でもいち早く駆けつけてくれたり(ロシナンテスの川原先生)、その後も定期的に通ってくださる医師がいらっしゃったり(福岡県飯塚市、飯塚病院の田中誠先生)と、とにかく熱い気持ちのかたまった人たちが多いところです。皆さんが一様に、
「離れているからこそ、“自分に何ができるのだろうか”を模索し続けてきた。」
 とおっしゃいます。決して人ごとではなく、わが身に感じる優しい想像力を持っているのが九州人だと思います。
 
 そんな水崎先生の保健室には、僕が創った「応援花(おうえんか)」の歌詞が飾られています。同じ地区で先生をしている堀田先生が見事なデザインで描いてくださったこの「応援歌」の歌詞は同じものが名取の「地球のステージ」事務局の入り口に飾られていますが、同じものがこの東風小学校の保健室に飾られていました。
10/16-2
 水崎先生、そして後ろに「応援花」のモニュメント
 水崎先生がおっしゃいました。
「我が校の目指すところは“優しさ”。それを感じてもらうためにお花を愛する気持ちを育てるようにしています。その方向性にこの“応援花”の歌詞はぴったりでした。」
 思えばこの曲は今から3年前、長男が高校受験の入り口、5月の三者面談で、志望校がどうも難しいといわれて親子ともども落ち込んだ日にできました。
 目の前の息子は自分の願いがこのままでは難しいと知って、がっくりと肩を落としています。それを見ながら親としては何も出来ないことが歯がゆかったですね。代わりに受験することなんてできないし。
「この子の願いを叶えてあげることができないのか。この子は挫折を味わっていくのか・・・。」
 と思うと哀しかったのです。その深夜、お風呂に入っていた時にふと思ったんです。
「確かにこの子は志望校が難しいかもしれない。でも、親が言うのもなんだけど、とっても優しい性格に育ってくれた。それだけで十分じゃないか。この世で一番価値あることは、“優しい”ってことだ!」
 と思えて、この曲ができました。
 それから8ヶ月間、一緒に夜勉強しながら彼は自分の願いの高校に入っていきました。
「よかった、あきらめなくて~!」
 と思いました。
 だからこの曲には強い思い入れがあります。
 そんな長男も高校3年生。今大学受験に必死です。
 でも彼を見ていて思う。3月12日の早朝、二人で水没した街を見回りながら、瓦礫、遺体に触れ、彼は大きく変わっていきました。
「自分にできることは何か。」
 を一生懸命模索しながら、行動が活発化していきました。瓦礫撤去、清掃作業、消防車磨き、サッカー大会、学園祭の展示・・・。
 彼なりに精一杯大震災と津波に関わっていってくれたと思います。その間受験勉強はそっちのけでしたが、それでいいと思う。その時できることを背いっぱいやってきた彼が誇らしいからです。
 改めて、3年前に創った「応援花」がまた身近に感じられるようになりました。
 また今回は、「応援花」の絵を描いてくださった、堀田先生のいらっしゃる糸島市立福吉中学校の全校生徒さんが、なんと16万円以上の募金を集めてくださいまし。それをすべて「地球のステージ」の心理社会的ケアに募金してくださいました。遠く離れていても、そして7ヶ月が過ぎていても「わが身に感じる心」を持って中学生のみんなの存在が嬉しかったです。
10/16-1
福吉中学校からの募金 in 九州
 よろしかったらそんな「応援花」の歌詞をご覧下さい。東風小学校の保健室にあるからまたすごいですよね。
「応援花」
            作詞作曲:桑山紀彦
 

この世に生まれ陽を浴びて 名前を受けてきたのなら

何が自分にできるのか 探し求めていたいよね

 探し続けてるその横に 君を求めてる人がいて

 辛い時でも 嬉しい時も いつも君の横で待っている


一人一人が違うのは とても素敵なことだよね

違うところが解け合って 素直なものになるんだね

 両手をかざして空を見上げ 君に流れる優しさを

  辛い時にも 楽しい時も 持ち続けていてほしいんだよ


まわるまわる世界の中で 古い自分とは違うものを

一つ二つと見つけることが 僕らが生きていく意味なのかも


とどけとどけ君への想い 何も多くは求めないよ

君が夢見る 青い空を いつか僕にも見せてくれ


  君がこの世に生まれてきて 僕は一番嬉しかった


 辛い時でも 嬉しい時も

 いつも君の横で支えてる

 いつも君の横で守ってる 


水崎先生、お疲れさまでした。次の目標はいかに??


桑山紀彦

九州の人々」への8件のフィードバック

  1. 2日続きで気持ちの良いステージでよかったですね。きっと名取での活動のエネルギーになることでしょう。
    お疲れ様です。
    「優しさ」には深い意味があり、人が人として生きる根本に位置する、なくしてはいけないものです。
    みんなが持ち主であってほしいと願っています。

  2. ステージで初めて応援花を聞いた時、私は名前がある人間としてやるべきことをしているだろうかと、情けなくなったこと思いだしました。
    しかしクリニック開業の日初めて事務局の扉をあけたとき、応援花の書かれた大きな板を見て感動しました。
    やさしいイラストと書かれている応援花の詩の温かさを感じました。
    自分に出来ることを探し生きて行くこと。自分も他の人も大切に生きることを教えられたように思いました。
    息子さんを思うお父さんの愛の詩なのですね。
    今も歌詞を思い出すと心が温かくなります。
    限られた人の命の時間。無駄にしてはもったいないと思えるようになりました。

  3. 桑山 紀彦 様
    「君がこの世に生まれてきて 僕は一番嬉しかった」という言葉は私にもありました。
      私は 9 番目の子どもでしたが、中学に入学して母が同じようなことを私に語りました。
    そのときの母のまなざしは今でも忘れられません。
     とても励みになる言葉です。

  4.  村上春樹は高校時代ペーパーバックを読んでいたと彼のエッセイ「やがて哀しき外国語」に詳しく書いているが、若い時代に多くの本を読んでおくことは大事なことにちがいない。村上春樹の作品が、この頃読んだペーパーバックが下地にあることは疑いないことである。
     最近、テレビドラマで、敗戦後から苦難を経て立ちあがった日本人の姿がよく描かれている。
     NHKの「神様の女房」ではパナソニック創業者、松下幸之助を彼の妻の視点から描いて放映されたり、昨日はTBS日曜劇場、木村拓哉主演「南極大陸」が放送されたりした。いずれも、戦後の混沌から、世界に向け、日本人がいかに立ちあがったか、どのようにして世界の列強と肩を並べるようになったかを、一産業人、一研究者の立場から復興を描いている。
     東日本大震災を経験した私たちは、このような先人の例にならい素晴らしい復興をとげなければいけない。「がんばろう」というメッセージも込めた放映に違いない。
     また、テレビ朝日では「光る壁画」という佐藤隆太主演ののドラマも放送されてもいる。これは、世界で最初に胃カメラを開発した、研究者と技術者の物語である。先の二つと同じく戦後の混乱期、東大医学部宇治助教授とオリンパスカメラ曽根菊男研究員のロマンと情熱を戦後の復興に合わせて追求したドラマである。
     現在では当たり前のようになっている胃カメラの撮影であるが、当時は世界ではまだ誰もなしえていなかった。現在私たちが飲む胃カメラが、このようにして開発されたのかと思うと開発に携わった人たちの偉業を讃えても讃えきれない思いである。
     ドラマは吉村昭の小説「光る壁画」が原作となっているが、ドラマに感動した僕はこれを読んでみた。読んで一言いうならば間違いなく名作である。その素晴らしさは文章である。吉村昭が芸術院会員であることも納得がいく。彼の代表作には「戦艦武蔵」、「関東大震災」「三陸大津波」、「破獄」「天狗争乱」等があるが、彼の作品が上質な名作であるとあらためて知った次第である。
     日本復興に向けて立ちあがるいま、読んでみてもいい小説だと思う。
      
          和歌山    なかお

  5. 桑山さんの息子さんは、お父さんの背中を見て育っているので
    きっと、きっと、優しい花をいっぱい咲かせる人になってくれると信じます。
    親の思いを素直に受け留めてくれる子は、“希望”だと思います。
    この曲のメロディーも聴いてみたい・・・。
    「なかおさんお勧めの“救命 東日本大震災、医師たちの奮闘”を読んで」
    あの日のことを映像や新聞のニュースではたくさん見たり読んだりしましたが
    本で読むと、自分の心の動きに合わせて内容を消化できたので、改めて被災地の状況をリアルに心に刻むことができました。
    海堂尊さんのあとがき“いのちを救い、死を悼む”の問題提起も
    しっかりと考えていかなくてはいけないと思いました。

  6. 九州も熱い方が大勢いらっしゃいますね。
    心地良いステージになって良かったです。
    優しいお父さんの温かい眼差し。
    息子さんたちも感じていらっしゃいますね。
    応援花♪がみなさんに広がりますように。

  7. 東風小学校PTAの吉塚と申します。
    公演ありがとうございました。
    私は、水崎先生からすばらしい公演よとずっと聞かされていて、やっと聞くことができました。立ち上げからずっと関わってきて、本当によかったです。なんとも言えない感動でした。
    桑山さんの優しい語りが心にスゥーっと沁み込んでいくのが自分でもわかりました。
    また、ステージ2、3と聞きたくなりました。
    (余談ですが・・・桑山さんのファンのお姉さま方。いつも以上に気合の入ったメイクで、びっくり!惚れてるんだなぁって思いました(笑))

  8. 東風小学校で公演を拝見させて頂きました。
    子供が観にいきたいと言ってきたので妻と一緒に公演を拝見させて頂きましたが、行って本当に良かったと思いました。
    語りが進むにつれて映像と歌に感動して涙を流している自分がいました。
    子供達の為に自分に何ができるのかを考えさせられました。この気持ちを大事にしたいと思います。ありがとうございます。

東風 吉塚 へ返信する 返信をキャンセル

あなたのメールアドレスは公開されません。必須項目には印がついています *