9年目の松戸

今日は試練の日、でも大切な一日になりました

 

　今年で9年目を迎える、「松戸市平和の集い」での地球のステージ。

2007年の松戸市民会議のみなさんが呼んでくださったのを含めると、10年目の松戸公演となります。10年続けるって、本当に大変なことです。ずーっと続けていただいていることにも感謝なのですが、今日はまた改めて心から感謝の気持ちがこみ上げる一日でした。

　今朝桑山と会ってびっくり。声がでません。一言も話したくない、という雰囲気だったので、身振り手振りと最低限の会話をしながら松戸公演に向かいました。松戸公演では、毎年松戸市内の中学校から選ばれた22名の中学生が平和大使として長崎を訪れ、平和学習に取り組んでいます。その平和大使のみんなが松戸駅で出迎えてくれます。せっかく出迎えてくれるのに、挨拶の言葉もかけられないなんて・・・と思い、松戸市役所の大網さんに連絡を入れました。連日公演が続いており、喉を保護するためにあまり話さないようにしているので、その点、ご理解ください、と。喉をつぶしている、と伝えて心配をかけたら・・と思うと、やんわりと伝える形になってしまいました。

実際会場に着いてみると、思った以上に喉の調子が悪く、そのぴりぴり感は周りの雰囲気を変えてしまうほどの空気感で、出迎えてくださった平和大使のみなさんや、松戸市役所のみなさんに申し訳ないばかりでした。リハが始まってみても、最近では聞いたことのないような声で・・・今日は本当に最後までやれるのかな？とかなり不安でした。

 

　そして、本番。本人が一番不安でしょうがなかったと思いますが、ここで逃げるわけにはいかない、ありのままの、今自分ができる最善の力を出そう、と切り替えて本番に臨んだようです。もちろんいつもの調子の声ではありません。語りもかすれ声です。でも、ひとつひとつ丁寧に気持ちを込めて語りかけている姿がありました。会場の方もとても暖かく見守ってくださり、笑いもあり、いつもとは違う「地球のステージ」でしたが、「今日にしかできない地球のステージ」がありました。

 

帰り際、物販場にいると、多くの方が声をかけてくださいました。私は申し訳ありませんでした、と頭を下げるのみでした。でもみなさんからは、とても心のこもった公演で良かったです、と言葉を返していただきました。本当に救われた思いでした。本当に暖かい言葉をかけてくださる方が多く、感謝してもしきれないくらいでした。

そして公演終了後の座談会。桑山本人は、感想は聞けるが自分は返せないかもと言いながら始まったのですが、中学生の熱い気持ちや真摯に質問してくる姿勢に、いつの間にか応えている桑山がいました。本当に秀逸な感想やひとつひとつ自分に落とし込んだ生の声に、桑山も心が動いたんだと思います。

 

桑山は言います。「声」が一番の自信なんだと。その自信が崩れかけたとき、とてつもない落ち込みと不安が押し寄せると。今日はそんな試練の一日でした。

でも、会場のみなさん、平和大使の中学生のみなさん、そして一番不安に思われていただろう主催者の松戸市役所の方々の笑顔と暖かい言葉に支えていただいた一日になりました。

成功体験だけが自分を高めてくれるわけではない、失敗したとき、どうしようもない落ち込みに直面したとき、それを乗り越えようとするその過程が次の自分につながるんだと、今日はそんな大切なことを学ばせてもらえる、とても大切な日になりました。

明日からも公演は続きます。でも心配しないでください。きちんとケアをしながら、公演に臨みますので。過信が一番危険です。そこは抜け出しましたので。

 

後藤明子