カナダ公演、2回目

カナダ公演、2回目が終わりました。
 場所はバンクーバーの隣、バーナビーというところにある日系センター。
 それは、日系人に戦後補償を約束したカナダ政府からの拠出金で立てた建物です。そこに多くの日系人が集まり、さまざまな催しをしてきたわけです。
英語のテロップ
英語の字幕が見えるでしょうか。「ソマリア篇」の「風の国の道」の一コマです。
 今回は戦後補償(リドレス)20周年記念(すみません、前回60周年記念と書いてしまいましたが、20周年の間違いです)で呼ばれたのですが、会場は柔らかい雰囲気に包まれ、日本人も、日系人も、カナダ人も一緒に聴いてくれました。
カナダ人のお客さん
普通に外国人が会場にいる風景、それがカナダ公演です。
 海を渡っていった日本人。
 その勇気と誇りを感じる毎日です。
 
 僕たちは、世界の紛争地や貧困、災害の地で活動してきて、そこでであった多くの勇気ある人々に生きる標をもらい、それを「地球のステージ」で表現してきました。
 けれど、ふと目を転ずればこうして自分の意思で国境を越え、海を渡って移住していった日本人がたくさんいるのです。
 文化葛藤、差別、ストレス、さまざまな悩みを抱えながらもかの地で生きてきた日本人、日系人の姿に今回は逆に心打たれました。
 特に、僕たちを呼んでくれた鹿毛さんは、もうカナダに暮らして35年。カナダ人の女性と結婚し3女1男をもうけ、バンクーバーに根を下ろしています。
 15年前に桑山が移住者の調査で関わって以来、ずっと変わらぬ付き合いをしてくれている鹿毛さんの生き方だって、これはもう「地球のステージだ」と思う。
 そして、一人一人の移住者の皆さんの生き様もドラマだと思いました。
集合写真
今回の主催者の皆さん、みんな「海を渡った日本人」です。桑山の右隣が鹿毛さんです。
 「地球のステージ」を見て、笑い、泣き、感動を思いの丈に伝えてくるこの海を渡った日本人の皆さんのドラマを、「地球のステージ」で伝えられないか、と思ったのです。
 紛争でもない、貧困でもない、災害でもない、「移住」という出来事もまた、人類が背負う大きなトピックです。
 日本国内に、世界各国から移住して住んでいる滞日&在日外国人の皆さんの生きざまもまたドラマです。
 そんな「移住」「国境を自らの意思で越えていく人々」を描いたドラマもまた、ステージになりうると思っています。
 幸い桑山は「地球のステージ」を始める前にずっと外国人支援をしていました。そんな蓄積と写真、映像、そして今日の移住者の皆さんの素の姿を伝えていくことも、「地球のステージ」の役割ではないか、と。
 きっとそんな「海を越えていく人々」のドラマには学ぶものがあり、力と勇気を感じられると思います。それは、自身が移住をしなくても、今住んでいる地域に定住するのだと覚悟している人が見ても、きっと励まされるものになるのではないか、と思いました。
 さて、「地球のステージ:移住版」
 いつ完成するのか、ぼんやりと期待していてください。
 それぐらい桑山にとっては、このカナダ公演がインパクトのあるものになりました。
 みんなありがとう!
桑山紀彦

カナダ公演、2回目」への8件のフィードバック

  1. おめでとうございます!カナダ公演の成功!
    参加された方々はもちろん、案内役の桑山さんにとって、とても大きな意味のあるステージになりましたね。日本でドキドキしながら見守っていた私たちにとっても、うれしい気持ちになりました。これからの「地球のステージ」の広がりにワクワク・ドキドキ・・・どうなっていくんだろう?やっぱりワクワク・ドキドキです。 
    新しい息吹を与えてくれる「地球のステージ」、新しい試みを想像(創造)してみましょうか?フ・フ・フ・フ~ン・・・

  2. バンクーバー在住で、今回のステージに来てくれた方の感想が鹿毛さん経由で送られてきました。どうぞお読みください。
    鹿毛さん
    この3日間、どうもご苦労様でした。
     お疲れになったと思いますが、どうかごゆっくり休憩なさってください。
    しかし今回の週末3日間の日系補償成立20周年記念の会議では、たくさん学ぶものがあり、また自分の視野をすごく広められる良い機会を得たと思っ
    てます。
     「地球のステージ」のコンサートですが、もう感動ものでした。
    あの様な人物は、砂場に手を突っ込んで、持ち上げたときに爪の上に残る極少数の砂の数。あのコンサートで聞いた、歌声、ストーリー、経験談、大変ためになるものばかりで、自分の人格向上にすごく刺激を与えてくれました。
     あのコンサートの素晴らしさ、聴衆を釘付けさせた理由は、パーフォーマーである桑山さんの内面がそのままコンサートに反映しているからだと
    思います。純粋な清らかな心、豊かな感性と彼のもつ夢、希望、自分の理想を追求する精神的要素が兼ねあって、それが彼の歌声、歌詞、音楽、フィルム、顔、ストーリーとなって観客を魅了したのだと思います。
     余談になりますが、9条の会の会員の方たちに、桑山さんは45歳ですよ、というと驚かれていました。35歳くらいにしか見えないと。それはきっと彼の純粋な心が顔に表れているのですね、と皆で同感していました。私自身、彼の笑顔は、アフリカやアジアなどで出会った子どもたちの笑顔と一緒だな
    という印象を受けました。
     一人の人間が地球の各地の訪ね、そこで会った人たちとの素朴な触れ合い、またさなざまな触れ合い・経験を通して精神的に成長し、島国日本人の狭い視野をどんどん広げて、グローバルなものの見方に変わって行く作者の姿に感銘しました。グローバルな視野を持ちながら、でも自分の祖国である日本を最も愛する心にも共感しました。
     「地球のステージ」と題するように、地球の上で生きる人間一人ひとりにはドラマがあり、実際に触れ合って、彼らのいる環境や実情に理解を深め、
    そして人間を愛するという、生きていく上で最も大事なことを彼はしているのだなと思いました。
     お金では得れない大事なものを人びとから得て、今度は彼ができることをお返しをする。素晴らしい人間交流だと思います。実際、その人間一人ひとりの中身を知れば、というか理解しようという努力を各自がすれば、戦争や差別などはものすごく減っていくのではないかと思います。無知から来る驕りや差別、偏見、それがいかに間違っているかということをあらためて教えてくれるコンサートでした。
     またボランティアの意味を再度考えさせてくれる機会でもありました。ほんとうに参加してよかったと思っています。どうか桑山さんによろしくお伝えください。またカナダに来てくださることを願っております。
     鹿毛さんもいつまでも若く、平和活動、人権擁護活動頑張ってくださいね。
     長くなりました。日本語があまりよくないのでお許しを!
     ではお元気で。
    智代

  3. 英語を母語としている、日系カナダ人の皆さんからの英語の感想が届いています。桑山の拙訳ですが、お読みください。
    1)その1
    Dr. Kuwayama’s delivery was beautiful…yes, I was moved to tears, but tears are cheap…one must act in some way.
    (桑山医師の提示した作品はとても美しかった。涙がこぼれました。でも涙で止まってはいけない、何か行動を起こさなければ!)
    Grace (Grace Thomson, President of the NAJC):全カナダ日系人協会会長)より
    2)その2
    Just a short note to tell you how much I enjoyed this performance. The performance was very powerful and emotional! He was able to mix video with his singing to keep the audience riveted. He had a wonderful voice and while I was unable to understand the lyrics, the English translation on the screen enabled me to understand his message. Thanks for bringing this production to Canada and I am sure the rest of the audience enjoyed the performance as much as I did.
    (簡単ですが、私がどれだけこのステージを堪能したか、伝えたいと思います。ステージはとても力強く、そして感動的でした。彼はビデオ映像と歌を組み合わせて見事にみる人々を釘付けにしていました。素敵な歌声を持ち、たとえその日本語の歌詞が私にわからなくても、スクリーンに映し出される英語の訳が彼のメッセージをちゃんと私に伝えてくれました。この「地球のステージ」がカナダにやってきたことに感謝し、私がそうであったように、多くの人々が、今もその余韻にひたっています。
    Tosh Kitagawa氏(日系市民協会人権委員会メンバー)より 

  4. 桑山様
     15年ぶりの再会でしたが、まったく時空を飛びこえたように、あった瞬間からこないだの続きのような会話が始まったのには、自分ながら驚きました。
     数年前から噂になっていた「地球のステージ」を二回、堪能しました。ドキュメンタリーの編集とアイデアも見事でしたし、自作自演のコンサートも気に入りました。15年前にトロントに移民の実態調査にこられた時にごいっしょしましたが、台湾移民たちの青藤会の集まりに招かれた時に、二人で調子っぱずれの歌を披露したことを思い出しました。あの時の「赤とんぼ」と比べるとごりっぱに成長なさったなと感該一入。
     それにしても、年間250回のステージというのは、よく擦り切れずに続くものだと驚きます。桑山先生の精神力と使命感がどこからくるのか、今度、トロントにみえた時に精神鑑定させてください。
     一つ注文をつけます。今回が海外での初ステージだということでした。国内での舞台のイントロに、インド系や黒人と初めて出会った時の、「こわい」という気持ちから入るのは正直な本根だと思います。日本国内でも白人を見て、まるで鬼に出会ってしまったように逃げて行く日本人はいまも顕在のようです。
     この話題は日本国内では問題ないのでしょうが、カナダ多民族社会では、人種的特徴を敢えて人前で口にするははばかれるものがあります。人権を尊重するというのは、具体的には相手の尊厳、プライドを傷つけることは口にしないということでもあります。
     僕自身は、ちょっとどうかなと思った程度で、その後のフォローアップがよかったので忘れていましたが、実際に、二人ほど、コメントのナイーブさにうんざりして席を立った人がいたことを後ほど知りました。
     日本という「単一民族」社会では、相手によって敬語を使い分けるのは必須ですが、多民族社会にも同様に、他者に対する気遣いの作法があるといえるかもしれません。あるいは、他人の身体的特徴をあげつらうのはタブーであるといえるかもしれません。
     遠慮のないコメントになってしまったかもしれませんが、実は僕自身が日頃失敗していることがらでもあることを白状しておきます。是非とも、トロントまで「地球のステージ」をお呼びしたいと思っております。今後ともよろしく。
     
    田中裕介
    日系ボイス
     

  5. ああ、祐介さん
     本当に素晴らしいコメントをありがとう。
     心の底から感謝しています。15年前は研究者として渡航したのに、今回は「パフォーマー」とネームカードに書かれてました。
     これからもいいパフォーマーでいたいと実感するカナダ公演でした。
     実は指摘された部分はいつも気になっています。
     インドの皆さんと初めて会ったときに「怖かった」。
     そしてマサイの子どもたちが笑いながら駆けてくる時に「歯だけが浮かび上がって怖かった」。
     考えてみれば失礼な話です。
     実は4年前に「愛・地球博」が名古屋であり、そこの巨大スクリーンを使って「地球のステージ1」を公演したとき、博覧会協会のオブザーバーという人から言われました。
     「一部不適切な表現があるが、全体として素晴らしい公演であった」
     インド人、黒人の皆さんに対するコメントの部分だろうな、とすぐに思いました。これは人づてに聞いたので、詳しくは確認できませんでした。
     
     旧ユーゴで活動しているときに言われました。
     「日本人がどうして目が細くて、つり上がっているのか、知っているよ。それは、毎日毎日お米を食べているから、きゃ~また米が食卓に出てきた!って、両手のひらで頬を押し上げながらびっくりするから、そうなったんだねえ」
     って。
     それは、お米が主食ではなく、サラダとして食べている旧ユーゴの人たちにしてみると、「また(おいしくもない)お米が出てきたよ~」って、そんな気持ちで揶揄したのだと思いますが、確かにいい思いはしませんでした。
     「そっか、やっぱり欧米人からすると、僕たち東洋人は目が細くてつり上がっているんだなあ」
     と妙に納得したものです。
     今回海を越えた公演をするにあたって、放浪篇のあの下りを最高気にしてしゃべりました。でも実際は結構な笑いが稼げたので(笑ってくださったのは日本人&日系人の皆さんだったのでしょう)、OKにしてしまいましたが、やはり、そこに引っかかった人がいたと知って、本当によかったと思います。
     基本的に単一民族社会で生きてきた僕にとって、「正直なところなのだからいいかな」という気持ちでおりましたが、これは勉強になりました。
     今後どうするかは、またうちのチームの中で話し合うとしても、祐介さんがこうして率直な部分を指摘してもらえて嬉しかったです(正直)。
     
     これからも辛口で、どんどん来てください!待っています。
     そして来年はぜひトロントで!
    桑山紀彦

  6. 再び桑山(本人)です。
     お風呂に入ってよ~く考えて、
    「そうか、”怖かった”ではなくて”びっくりした”でいいんだ」と気付きました。
     「インドの皆さんはみんな日焼けして目が落ちくぼんで、ちょびヒゲはやして、あまりにびっくりして、人の間を縫うように歩いていました」
     「でも、一つだけびっくりしたことがあったんですよね。それは彼らの肌の色は闇夜に紛れるので、暗闇から笑いながら走って来られるとびっくりするのなんの、歯だけが浮かび上がって・・・」
     
     このお話をなくしてしまうのは間違いだと思います。
     でも、やっぱり「怖かった」といわれてしまうと、それはよくない。実際あの当時を振り返ってみれば、「怖かった」よりも「びっくりした」の方が当てはまっています。
     きっと、小学校のみんなにわかってもらいやすい言葉を選んでくる中で「怖かったよ~」という表現が定着したのではないかな、と自己反省しました。
     これからもどんどんご指摘ください。
     桑山紀彦

  7. 今日あいの里で拝見しました。あいの里東中学校の役員として関わらせていただきました。おやじ達には振り回されこの半年きびしい時間でしたが今日報われた気持ちです。自閉症の娘、反抗期の息子を抱え大変だと思いながらでしたがまた明日から新しいスタートだと力をいただきました。今日は時間なく桑山さんと直接お話できませんでしたがまたお目にかかれる事を楽しみにしています。ありがとうございました。

  8. 桑山さん、すてきなステージありがとうございました。
    お疲れの処、我々の為に懇談のお時間を取っていただきまして申し訳有りませんでした。 直接お話し出来て我々も合唱部の生徒もとても感激しました。 ステージの後、おやじ達は充実感と達成感を心に日付が変わるまで、あびるように美味しいお酒をいただきました。
    青年の様にキラキラと瞳を輝かせ、ステージに感動して泣き、アンケートを回し読みしては泣き、それぞれの労をねぎらって泣き、抱き合い、握手する。  本当に素敵なおやじ達です。 桑山さんがここに居てくれたらと残念でなりませんでした。
    みんな桑山さんと同じ想いを心の中に秘めていて、ステージを拝見して心から溢れ出たようです。  あい中の先生方も一緒に歓喜しました。
    教師とおやじ達がこんな時間を共有出来たのも桑山さんの「地球のステージ」のおかげです。  ありがとうございました。
    「鴻城小」「あいの里東小」「あいの里西小」の各おやじの会は、それぞれの特色を生かしながら活動を続けて行くでしょう。
    そして3校のおやじの会とおやじの会OBで構成した「あいの里地域おやじの会」は、さらに結束し今後も地域活動や「地球のステージ」に関わって行くと思います。
    今回、桑山さんがまいた種は、きっといたる所で芽吹いてくれる事と信じています。 きっと来年の11月には、またお会い出来る事になると思います。 そのときを楽しみにしております。 お元気でご活躍下さい。 感動をありがとうございました。

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