活動記録~その8

今日はすごいことがありました。
 南阿蘇の西小学校の先生方と、東ティモールの桑山がスカイプでつながったのです。
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(東ティモール、グレノの桑山です)
 昨日、先生方から「こころのケア」についての講義をしてほしいという願いがでました。悩んだ末、つかささんと桑ちゃんは「スカイプで東ティモールの桑山に講義をしてもらおう」という案を打ち出し、昨日のうちに3ページにわたる資料を作成し、いよいよ13時20分。スカイプによる「こころのケア」の講座が始まりました。
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(南阿蘇、西小学校の先生方です。)
 5年前、閖小中の先生方にさせていただいた講義。それから5年を経てさらなる知見が集まり、より一層実践的であると自負する内容で今回は臨ませていただきました。
 まずは向き合うこと。そして自信を持って子どもたちと「あの日」の会話をしてほしいことをお伝えしました。強いトラウマやストレスを受けた場合、記憶は抜け落ちたり入れ違ったりしてしまいます。それをちゃんと時系列に並べ直して「紡ぎだしておく」ことを忘れてしまうと、あとで大変なことになるという点。
 加えてそれぞれの記憶にくっついているはずの感情、情動も時にはその本来くっついているべき「記憶」からはがれていたり、入れ違ったりしています。それをきちんとそれに合致する記憶にくっつけて物語にしていくことの大切さを伝えました。それは、記憶が「A」「C」「B」に並んでいるものをちゃんと「A」「B」「C」の順に並べ直すこと。そして、「強い揺れが来た」=「怖かった」、「避難所に逃げた」=「不安だった」という記憶と感情をくっつけ直すことを目指す作業です。
 そのためには「語ること」「紡ぎ出すこと」が大切であることを理解いただけたと思います。
 6000キロ離れていても、目の前の画面にいる先生たちのことが愛おしくて途中何度も涙目になりました。図らずも被災したけれど、学校や子どもたちを守らなければならないから必死に学校にとどまっている先生たち。
 子どもたちの日常だったら任せて!だけど、こんなにひどく被災したのは初めてに違いありません。どんなふうに接したらいいのかわからないときに、こんなセミナーが持てて本当に良かった。桑ちゃんからの報告です。

16名の先生たちが参加。始まる前の会話で、東日本大震災のこと、宮城での活動のこと、私が出逢った閖上の皆さんが熊本のニュースを見て、胸がちぎれそうなくらい心を痛めていること、をお話していると、もう始まる前から先生たちの中には涙を浮かべている方がいらっしゃいました。
被災してからずっと安否確認やら様々な対応に追われ、自分の家がぐちゃぐちゃなのもそのままで走ってきている先生たち。桑山さんからの約1時間にわたる、子どもたちの心のケアについての専門的なお話と、対応の仕方を、とっても熱心にメモを取って聞いていらっしゃいました。
 涙もあり、笑いもあり、いい時間でした。質問もたくさん出てきて、私自身も勉強になりました。先生たちもどういう風にこれから震災と向き合っていくべきか、悩んでいらっしゃったことと思いますが、研修後は皆さんとてもイイお顔をされていました。きっと、西小の子たちは、熱心で素晴らしい先生たちを通して、いい形で震災の体験をプラスの学びに変えていくんじゃないかな、と思います。
 気になるのは、終わった後に養護の先生が、もうすでに先生たちがかなり疲れている、とおっしゃっていたことです。ゴールデンウィーク明けから学校も開始となりますので、ますます先生たちも気は休まることがないと思いますが、どういった形でこの部分をサポートできるんだろう、、、と考える1日でした。

この講座が評価され、明日は久木野小学校の先生方とのセミナーとなりました。6000キロ離れていても、子どもたちのことを考える心は一つだと思います。

桑山紀彦

活動記録~その8」への1件のフィードバック

  1. これから復興に立ち向かう人たちにものすごく効果をがある講義の様に息が詰まりました。
    心を支える仕事が一番重要な支援活動だと思いました。

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