サリーの詩

音楽ワークショップも3日、いよいよの最終日です。
 今回は以前のパレスチナにおける音楽ワークショップの手痛い失敗を反省し、いろいろと練りに練った講座を3日間開きました。
 いろんな音楽を聴いて、その感想や印象をシェアするListening
 アラブの子どもたちが誰でも知っている曲を使って、「音楽って気持ちを表現するのにいいね」ということを伝えるSinging
 そして身近なものを打楽器に替え、ユニゾンをつくっていくSession
 そしてこちらが創ったメロディラインを覚え、グループ毎に歌詞を載せ、伴奏をつけてユニークに発表するCreating
 の4つの段階を踏みながら、慎重にでも大胆にすすめてきました。
音楽ワークショップ
最終日の音楽ワークショップ
 最終日はいよいよオリジナル曲との取り組み、Creatingです。
 石橋優子と、アラブっぽいノリのいい早いメロディと、メロウでどこか「北の国から」的なしっとりしたメロディを用意しました。
 アラブの子どもたちは、みんな乗りのいい早いメロディを選ぶと思いきや、4グループすべてがしっとりとして落ち着いた「ゆっくりメロディ」を選びました。
 やはり偏見や先入観はいけませんね。
 
 そして4グループが独自に練習を進め、その雰囲気は徐々にすばらしいものに変わっていきました。
 いよいよの発表の時間です。
 今ボランティアとしてこの活動にかかわってくれているサリーは19歳、イラクからの難民です。お兄ちゃんとともにこの活動に参加してくれていますが、不遇の人生でした。
 でもこの心理社会的ワークショップに、最初は参加者としてきていたけど、どんどん理解度が増して今ではスタッフ的なボランティアとして参加してくれています。
 そんなサリーは、今日グループ「RR」に加わりました。
 彼らは、メロウな曲を選び、その歌詞を創り、振りも付けて素晴らしい展開を見せていきました。
 そしてサリーはみんなに勧められて、自分自身で作った歌詞をこの曲の最後に載せていきました。故郷を追われて、このヨルダンに暮らすサリーが、自分の言葉で編んだ歌詞が、オリジナルのメロディに載せられて、僕たちの気持ちにしみこんでいきました。
この世界は 戦争に満ちている 西も、東も
もう破壊はたくさんだな どうか花を植えさせて
わたしは 世界の隅々まで 平和と言う名の花が咲く日を願っているんだ
 イラク戦争によって、人生が大きく変わってしまったサリー。でもこんなふうに願いを込めて、歌いました。
 そんなサリーの願いは、心の病気の医師になること。
サリー
中央がサリー
 その願いがかないますように。
桑山紀彦

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