取材最終日

今日も1日、海老名で「働く人々」の撮影をしていました。

 午前中はトマト農家の橋本さん、イチゴ農家の武井さんのハウスを訪れ、農業一筋で生きているお二人に近づきました。
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 橋本さんは5代続くトマト農家です。もちろん専業農家であり、トマトが主ではありますが他の野菜もお米も作っていらっしゃいます。海老名市は南部、寒川町に近いところが一大農業地域ですが、橋本さん曰く、

「昔は200軒以上の農家があったのに、今では16軒。その中で専業はたったの3軒になってしまったんだよ。」

 とのこと。それでも懸命に専業農家を継いでいる橋本さんが光っていました。
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 実に4世代が共に暮らす大農家。東北でもなかなか見なくなった大規模農業一族がこの海老名にいらっしゃいました。きっとこの映像を見た子どもたちは、

「農業ってすごい!」と思ってくれることだと思いました。

 ドローンもぶんぶん飛ばしましたが、ちょうど鯉のぼりの時期で、橋本さんしまっていた鯉のぼりをあげてくださいました。「豊ってこういうこと」、そう思いました。橋本さんの手は土塊だっていたけれど、余りに「生きている手」で、感動しました。もちろん農業だけで生きていくのは大変であり、美化することは安易にはできないけれど、それでも「生きているなあ」という感覚がストレートに伝わってくる橋本さん、良い友だちができました。

 さて、午後からは海老名市消防本部の取材でした。
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 ここはまさに市民の命を守る人たちの集うところです。もう初っぱなから感動しっぱなしでした。その正義感、使命感、まっすぐな目線。きびきびした動き。あの2011年3月11日、多くの消防、救急救命隊員が全国から駆けつけてくださいましたが、その時の雰囲気を思い出しました。遠くからやってきて、本当に懸命に、真摯に被災地に向き合ってくださった時の感覚。それは、こうして取材に入っても十分感じられるものでした。
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 つまり日ごろから持っていらっしゃるものだからなんでしょうね。

 背筋の伸びた生き方をしている、そう感じた消防本部での取材でした。

 こうしてみると、「街」にはいろんな人が、いろんな思いで生きています。自分なりの役割を探しながら、そして「これが自分の役割かな?」と感じたら、なるべくぶれないで、それに向き合って一生懸命、コツコツ頑張る。それが生き様なのだと思いました。

 これまでたくさんの「ご当地版~故郷篇」を制作してきましたが、その多くが、その街の「風景」を中心として構成でした。でも今回はあえて、市役所の全面協力を得て、「その街で働く人」に焦点を当てた取材を敢行させていただきました。そこから見えてきたものは、「街は、生きている人によって構成されている。」ということ。もちろん建物や道路、橋なども「街」ですが、何よりもそこで懸命に「生きていこう」と奮闘している人が、「街」の素顔なのだと感じることができました。

 そうやって、自分が暮らしている街の素顔が、そこで生きている人々の表情によって感じることができた時、人はその「街」に愛着を持ち、「ここで暮らしていこう」と思うのでしょうね。そしてそれが、防犯や防災に長けた街、子どもたちが落ち着いている街になっていく大切な要素だと思いました。

 海老名市の人口は13万人。でもだからこそ、まとまりやすさがあるように思えました。今回取材をした皆さんがいいました。

「海老名が好きだな~」

 と。そして市役所として全面バックアップしてくださった、一番の中心、浜田さんもおっしゃいます。

「いい街なんです。」

 と。

 今、皆さんが暮らしている街、皆さんはどんなお気持ちをお持ちでしょうか。

桑山紀彦

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