日本記者クラブで記者会見

 今日は東京は日比谷公園の横、内幸町の日本記者クラブで記者会見でした。

9/27-2

 「記者会見」・・・。
 紅白にでも出られるようになったらぜひ記者会見を開いてみたいと思っていましたが、今回は「ラジオ深夜便」を聴いて頂いたことで推薦を頂き、記者会見となりました。
 今日の内容は「震災と心のケア」。
 半年が過ぎてこれから1年を超えるあたりまでが佳境となるこの「心のケア」ですが、正直どこも形骸化しているのではないか、と思えてしまう状況ばかりです。
「寝た子を起こすな」
「忘れかけているのだから、そっとしておけ」
 そんな言葉でたくさんの心のケアが奪われてしまっているように思えてなりません。このままでいいのでしょうか。まず「語る場」がぜんぜん確保されていないことが気になります。
 半年が過ぎて心の整理のために、たくさんの語る場が必要となっているように思います。しかし現代ニッポンにおいてどれほどの「語れる場」があるのか、とても疑問です。社会そのものが「聴く姿勢」を持っていないように思えてなりません。
 被害を受けた人々のその物語を聴こうとする姿勢はすなわち社会の優しさそのものだと思います。人がつながり合い、優しい社会を形成していれば語りの場所や、語りの雰囲気がかもし出されるはず・・・。でも今のニッポンにそういった場所や雰囲気がどれほど形成されているのか、正直悲観的になってしまいます。
 今日も会見が終わった後の記者の皆さんからの活発な質問の中にありました。
9/27-1
「これまで多くの海外の現場を経験してきて、この心のケアにおける海外との違いは何でしょうか。」
 それはまさに
「被災した皆さんの物語を聴こうとする社会の姿勢があるかどうか。」
 の違いだと思います。例えばパレスチナでは本当にみんなが「同胞」として被害を受けた人の話を聞きます。時にはまるでわが身に起きたことのように、時にはモスクの中でみんなで涙しながら“塊”となって人の話を聞き、シェアしていく土壌があります。
 しかし残念ながら今の日本にそういった「被災者の話を聞こうとする土壌」がどれほどあるでしょうか。心療内科医に頼っていたのでは全く追いつきません。心療内科医の数が足りないと思うのです。そうではなく、社会全体が優しさを持ち、被災した人々の心の物語を聴こうとする姿勢があれば、心療内科医に頼らなくても、人々は元気を取り戻していけると思うのです。
 これからの時期、大人は特に子どもたちの語りの気持ちに耳を傾け、積極的にあの日あの時あの場所の話を聞いていくことが必要だと思います。
 そんな事が日本記者クラブの精鋭たる記者の皆さんに伝わったようで、とても嬉しかったです。
 だからこそこれからも心のケアをめげないで続けていく必要があると思いました。
桑山紀彦

日本記者クラブで記者会見」への11件のフィードバック

  1. ステージに記者クラブに、お疲れ様でした。中学生、みんな真剣に聞いていましたね。閖上を走るお化けの話は、何度聞いても胸が締め付けられ、目頭が熱くなります。「しね」って言うの辞めようね。って、心の中でつぶやいています。毎朝、副都心線で一緒になる専門学生達にステージ見せたい。って思います。

  2. 「語れる場」「聞く姿勢」「みんなが同胞」。常日頃、桑山さんが云っている「見て見ぬふりしない」ですね。
    「桑山アピール」を記者クラブの面々が、真摯に受け止めてどう取り上げるか興味深々です。
    どれをとっても、経済成長至上主義でないがしろにされて来ました。情操教育が後回しになり、物理的には豊かでも心の貧しい人間が増えたのが現実です。
    我々にも責任の一端はあります。
    だから、これからも「地球のステージ」を応援します。

  3. 先生いつも大変な激務お疲れさまです。私は名取市に暮らしている者です!先生が一人ではとても追いつかないような被災地の状況だと思っています。私は震災後の4月くらいに、私と主人が、ゆりあげで商売をしておられたご婦人に出会いました。ご婦人のプライバシーがあるので、詳しくはどこで出会ったかは言えませんが、私と主人にそのご婦人は挨拶をしてくれたんです。私と主人も挨拶をして色々な事の用事があったので、私は主人とその用事の事を話していたら、私達の会話を聞いていたご婦人は私達がゆりあげに関わりがある事に気づいて、私達夫婦に話しかけて来たんです。私の主人は、ゆりあげで生まれ育ち、本家はゆりあげで、実家はゆりあげ地区なので、私達夫婦もご婦人がゆりあげの方だと分かり、暗黙の了解で私達はご婦人のお話をゆっくりと聞いていたんです。ご婦人は私達には想像を絶するような体験をなさっていて、私達もひたすら聞く事しか出来ない状況でした。一通りご婦人のお話が終わったので、私はご婦人に心療内科でのカウンセリングは受けているのかを聞いてみました。ご婦人は心療内科に行く事に抵抗を感じていらっしゃって、余り進めるのもご婦人の事を思うといけないのかな~って思って、私達夫婦はその後1時間位ご婦人と色々なお話をしました。ご婦人は帰る時には少しですが、表情がすっきりしておられました。ご婦人がおっしゃるには、仮設住宅に居ても余り自分の事を話せないと語っておりました。けれども自分にはあまり関係がない方々にも話せないようで、私達夫婦のような、ゆりあげに関わりがありながらも、あの日、津波の被害が直接なかった人に話を聞いてもらう事がご婦人の気持ち中では良かったようでした。ご婦人と私の主人の本家の叔父さんは同じ仮設住宅に住んでいるので、ご婦人は「あ~、あの一風変わったおんちゃんね~」なんて言いながら笑ってくれました!帰る時には笑顔だったので私達夫婦も少しはほっとしました。でも私達夫婦はあのご婦人の事がずーっと気掛かりでいつも心配しております。私達夫婦は親族や友人や沢山の知り合いの方々が津波の被害にあっています。ただ私達夫婦なりに今出来る事をしています。私達夫婦では微力だとは思いますが、少しでもお役にたてればいいと思い、自分達の出来る事から始めています。まだまだ先は長いです。カウンセラーの方々の数は全然足らない状況です。私達も少しでも皆さんのお役にたてるよう毎日考えています!

  4. こんな日が、いつか来ると信じていました。
    初めての『地球のステージ』で、関をきったように涙とともに感情が溢れ出した瞬間から。
    どうぞ、要となる方たちの心にメッセージが伝わりますように。たくさんの方たちの心が少しでも楽になりますように。
    そして、今よりもっとあたたかい優しい国になりますように。
    揚げ足取りや、敵をつくることにエネルギーや時間を費やしてる場合じゃないですもんね!

  5. 震災から半年が過ぎ、たまにすれ違う子供達の顔には笑顔が見られる様になってきました。
    あの日の事を1日も早く忘れて欲しい気持ちが有りながら 一生心の片隅に忘れないでいて欲しい気持ちが入り乱れています…。
    息子が忘れられてしまうのは亡くなった事よりもっと悲しい…

  6. 桑山紀彦 様
    記者会見、大変お疲れ様でした。
    NHKラジオ深夜便の放送を携帯ラジオに録音をしており、
    毎日桑山様の心温まるお話を聞くのがとても楽しみです。
    ウォーキングの途中でも聞きたくなります。
    もう何度繰り返し聞いているでしょうか。
    不思議なことに、お話の途中その時その時で新たな発見があります。
    前半後半のご苦労話で勉強になる言葉や教えが凝縮されている。
    今私にできることは・・・友人にも桑山様のブログを紹介すること。
    NHKのインターネット、ストリーミングサービスで聴けるようになることを望んでいるところです。

  7. 未曾有の大災害、東日本大震災は復興には十年かかるといわれています。それに合わせるかのように復興増税10年と今日の新聞の見出しに踊っています。その骨子をさらに要約すると所得税は増額し、法人税の減税は凍結。住民税と煙草税は増額。税外収入による財源確保等々である。
     赤字国債を発行しつつの苦しい国家財政ではあるが、なんとか与野党一致して被災地復興に努力してほしいと願っているのは私だけではないだろう。
     僕は愛煙家であり、それもかなりのヘビースモカー(一日25本は吸う)でもあるのであるが、たばこなどは一箱五百円でもいいと思っている。(現在四百十円)。たとえ千円になっても僕はたばこを止めることはないと思うが、被災地のことを思えばたばこ値上げ反対などというつもりはない。
     安住財務大臣は、「たばこ増税など、取りやすいところから取るというのもいかがなものか」というようなことを言っているが、ボクは「取りやすいところから取ったらいい」と思っている。たばこぐらい我慢しますよ。
     今回の復興増税案を、具体的にものすごく大まかにいうと、それもものすごい大まかなのですが、夫婦と子ども二人世帯で、年収500万円だとすると、年3100円の増税となるそうである。国会等でも今後さらに議論されるであろうが、被災地第一に考えてほしい。
     9月27日現在、東日本大震災の死者の数、1万5812人。行方不明者は3,985人である。(警察庁発表)
       和歌山   なかお

  8. NHKラジオ深夜便 聞けなかったのですが 文章におこして ブログに のせて頂けないでしょうか?
    お願いします。

  9. >志保さん
    NHKラジオ深夜便、10月10日までNHKのラジオ深夜便のページできくことが出来ます。「過去の放送の一部がパソコンでお聞きになれます」というところから探してみてください。

  10. 記者クラブからお呼びがかかるなんてすごいですね!
    桑山さんのメッセージがマスコミを通じて多くの方に届くよう願っています。
    被災地での心のケアが地域の力で進みますように。
    『救命』ようやく読み終わりました。
    医師の方々も大変な苦労をしながら日々使命に立ち向かっておられることがわかりました。
    医療に携わる方へのケアも必要と感じました。

  11. まーほーさん、
    私もラジオ深夜便の桑山さんのメッセージ
    聴きたかったのですが、先ほど、早速前半をお聴きすることが
    できました。ありがとうございました。
    後半は、また、時間を作って聴きたいと思います。
    前半の中で桑山さんが、ブログへの応援書き込みのことを
    「心によって、心が支えられている」
    と仰ってくださいましたが、とても嬉しかったです。
    時にはどのように表現したら良いか悩みつつ、
    自分の心にぴったりする言葉を探し、
    どうか応援する気持ちが届きますように・・・と書き込みをします。
    私が、桑山さんや皆さんの心や言葉に支えられるように、
    私の書き込みも、いくらか桑山さんや皆さんのエネルギーになるなら、
    願いが叶います。

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