ニッポンの田んぼ

 昨日から今日にかけて1100キロほど走りました。

 昨日は朝、閖上中学校の先生方と心理社会的ケアの具体的なプランについての話し合いを終えた後、280キロ離れた新潟の中学校に走りました。そして午後から「地球のステージ」の1番。新潟平野に広がる田んぼには水が入り、新緑の山々があまりに美しく目に沁みました。
 そのあと同じ道を戻って名取にとんぼ返りして、昨日報告した下増田小学校のご父兄の皆さんとの勉強会を19時30分から開催したあと、21時から今度は茨城県の常陸大宮まで走りました。こちらも280キロレベル。合計で840キロを1日の中で走り抜けたことになります。明ちゃんと交代しながらの運転ですが、夜の常磐道は道の段差がわからなくて結構厳しいものがありました。
 そして、今朝これまた美しい茨城県の常陸大宮の奥に広がる田園と里山の風景に囲まれながら常陸大宮の高校で公演、こちらもステージの1番でしたが、高校生も中学生もとてもよく聴いてくれるので昨日の新潟といい、全く疲れが出ないのがありがたいです。そして帰路は那須方面にでて東北道を北上。こちらは260キロレベル。合計で1100キロを走り抜けました。人間走れるものですね。
 那須の山々も新緑が美しく、田んぼにはたゆたゆと水が入りこちらの気持ちがさわやかになります。今日本は一番美しい時期。これから生き物が一斉に活発となり、生きていることの喜びをいろんな形で表現していく時期が来ていることがよくわかりました。
 ふと明ちゃんが横で言いました。
「緑がまぶしいな~。名取は緑がなくなっちゃたもんね。」
 防風林がなぎ倒され、津波にさらされて田んぼも畑も沈み、そのあと草木も生えない大地が広がる名取市の沿岸部。乾いた風に舞ってヘドロと磯の臭いが漂い、細かい粒子が舞う我が下増田地区や閖上地区。
 いつかこの地にも緑と水が戻って豊かな「さつき」を迎えられるといいのですが・・・。
 夕方からは患者さんがいらっしゃいました。
 やはりお子さんの症状にかなり不安を感じていらっしゃいました。
 「うちは4歳の息子がいるんですが、地震が来てすぐに山の方に逃げたから津波そのものは見ていないはずなんです。でも、やっぱり友達から聞くんでしょうか、よる“来た~”って言って飛び起きるんです。“何が”って聞いてもきょとんとして何もわかっていない表情だから、ぎゅっと抱きしめるんですが・・・。そんな夜がかえって最近多くなってしまってます。」
 また、小学校4年生の太君も遊びに来てくれました。
 お母さんが言います。
「最近暴力的になってきています。ちょっとしたことにもイライラしている感じで、今朝も避難所に迎えに来るスクールバスを待っているとき、この近くにアパートを借りて避難所を出た子どもともう取っ組み合いみたいなけんかをしていまました。明らかに最近イライラしていると思うし、なんだか行き詰まっている感じが強いですね。」
 とても心配そうでした。
 小学校高学年になっていくと、ともすれば行動や言動が粗暴になることはよくあることです。でも、お母さんが心配しているのは「レベルの違う暴力」が見られることだと言います。見過ごせない暴力や暴言が最近多くなってきていて、これを「成長過程」というのは難しい状況だとお母さんも強く感じていました。
 やっぱり子どもたちのこころのケアはこれからが正念場です。
桑山紀彦

ニッポンの田んぼ」への7件のフィードバック

  1. 「約束を果たす・事業を達成する責任感」「伝えたい意欲」で気力が勝っているから、強行日程でも疲れを感じなかったのでしょうが、もし、ざわついた学校だったらどうだったでしょうか?
    被災者対応、祈念館計画、これから本番の心のケアなど課題をたくさん抱えておられるのですから、身体だけは愛おってください。
    特に車の運転は疲れますからくれぐれもご注意ください。
    瑞々しい田んぼで変わらない日常を見られただけでも幸いでした。

  2. お疲れ様です。1100キロ走るのは、想像の距離です。
    長距離運転手さんの業務ですね。お二人で交代されたとはいえ大変です。
    すごいことの連続が日常になられて、唖然としながらも尊敬しています。
    自分で心に垣根や限界を作らないこと、考えすぎないで行動してみることも大事かなと思いました。

  3. TVや新聞でも子供たちの心の問題を取り上げる事が増えましたね。昨日もTVで黒い絵ばかり書く子供や、津波を真っ赤な巨大な魚として表現している絵がありました。子供達の心問題が解決して行きます様にと祈るばかりです。
    2日間の遠征 お疲れ様です。休憩とりながら運転してくださいね。(わかっちょるとは思いますが…)

  4.        家畜技量研究
     スパークリーク、メジロマックイーン、オグリキャップといって何かお分かりになるだろうか。分からない方も武豊(たけゆたか)といえばお分かりになるはずです。各種のビッグレースを制した優駿たちの名である。僕が競馬と出会ったころ、走っていた馬たちである。武豊はこのころまだ佐野量子と結婚はしていなかった。その頃競馬を知った僕は、それ以来必死になって馬券必勝法の研究に取り組んだのである。それは、競馬新聞から始まって、出目理論(何番の馬が入着するかの確率)、オッズ理論(買い目の倍率から入着する馬の予想)、サイン理論(競馬新聞や競馬会のCMから入着馬を予想する)、四柱推命理論(天体の星の動きから星に導かれる馬を予想する)等々各種の研究を続けてきたのである。しかしながらいずれも結果は得られなかった。しかし、これは生涯の研究テーマであろうと思われる。ところが、今回、ついに、その必勝法を発見したのである。名付けて「コンピュータ指数化勝馬予想理論」である。出走馬の過去のデータをコンピュータに入力し、複雑な計算式を使い、その結果導き出された数値を指数化し勝ち馬を予想するものである。しかし、これには涙ながらの苦労の後が・・・・。
     悪い頭を使ったため頭は痛くなる、キイボードを叩きすぎて指は痛い、ディスプレイを見すぎたため目はチラチラするやら肩は凝るやらである。予想馬を導き出す頃にはクタクタになっていた。どうやら、これが長年の研究成果といえるかもしれない。もともと僕は典型的といおうか古典的といおうか融通のきかないアナログ人間で、ホテルのカードキィ一つ満足に使えない。ドアを開けるにもフロントへ電話する始末だし、時計もデジタルは苦手で、やはりあの赤い針を起床時間に合わせて目覚ましをセットするし、携帯電話で起床時間をセットするなどというのは至難の業で僕にはとてもムリである。ダウンロードで着メロ入れるなどというのはとんでもない話である。そういう僕が、とにかくコンピューターと格闘し汗だくになって導きだしたのがこの理論である。ふっうううう。入力するだけで、もう汗、ダクダクである。
     人にはそれどれ楽しみがあって、釣りやら、ゴルフやら、スポーツ観戦やらの趣味がある。それを横から見ている者にとっては何を馬鹿なことと思えることばかりで、海釣りの人を称して「海洋研究家」、ゴルフに行くことを「芝刈りに行く」、僕などはさしずめ大相撲の技量審査場所から「家畜技量研究家」といったところか。
     明後日は、いよいよ競馬の祭典「日本ダービー」である。
     家畜技量研究家が生み出した「コンピュータ指数化勝馬予想理論」はいかなる結果を見せるか楽しみである。乞う、ご期待といったところ。
      和歌山 家畜技量研究家 なかお

  5. 大遠征、お疲れ様でした。桑山さんも明ちゃんも本当に体調を崩しませんように。
    田植えのすんだ田んぼは優しい緑色が清々しいですよね。
    毎日、固いコンクリートの上を歩く生活なので、たまの週末に公園に出かけて
    柔らかい土の感触を味わっています。林の中を歩くだけでも生き返る気がします。
    子ども達のストレスは限界に達しているようですね。皆で植物を育てるのはどうかしら。
    緑色は人間にとって安らぎの色だと聞いたことがあります。

  6. 大人でも自分をどうして良いのかわからなく混乱している状態なのに、ましてや自己表現に乏しい子供たちは大変だと思います。広い緑の上に寝転がったり、息が切れるまで思い切り走ったり、大きな声で叫んでみたり、自分たちで食事を作ったり、そんなふうにできる機会と場所はないのでしょうか?
    思いきり手と足と心を伸ばさせてあげたいなと思います。 

  7. さっきテレビで桑山さんが出てましたよ。
    「そうだったのか!学べるニュース」という番組で、PTSDについて説明する場面の背景で白衣の医師が診察している様子がボカシた状態で出てたんです。あれはどう見ても桑山さんでしたよ。いずれきちんとした画面で登場かと、ずっと見てましたが結局、最後までボカシ画面のままでした。失礼な番組ですね。でも、桑山さんと見抜いた自分がなんとなくうれしかったです。

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