外来100人の診察

ダン先生のいない月曜日のバイロピテの外来は、もう壮絶としか言いようのないものでした。
 アイダ医師と二人で診察したけど、久しぶりに100人を超える患者さんを診察して、終わった時にはフラフラでした。日本でも、自分の火曜日の外来では多くても15人くらいしか診ないのに、実にその7倍かあ。
バイロピテ2008summer
最後の患者さん
 こんなにまじめに医者をやるのも久しぶりやな~と思いながら、一人一人の患者さんに対応してみました。テトゥン語も今ではすぐに感覚が戻るので、全然通訳なしでいけますが、どんどん語いを増やしていきたいと思って勉強しているので、今日もずいぶん単語が増えました。例えばTaru-Tu、これはお腹がゴロゴロ鳴るという意味です。
 「Iha Kabum Moras fo Taru-tu Ka Lae?」で
 「お腹が調子悪いっていうけどゴロゴロ鳴るの?」
 という意味になります。
 一人一人の患者さんに触れるとこの国の素顔が見えてきます。
 しわくちゃな手に刻まれた「歴史」、つやつやの赤ちゃんの首筋に光る発熱の汗から感じる「未来と横たわる問題」
 人間の身体は、生きているがゆえにいろんな情報を伝えてきます。それをひとつひとつ拾いながら、「東ティモール」という国を身近に感じていくのが僕の役割で、それを日本でよりリアリティを持って伝えていくことが、「地球のステージ」の存在理由なんだろうな、と思いながら診察していました。
 ダン先生は、結局インドネシアの入国拒否が今も続いていて、バリ島には入れませんでした。99年、騒乱の時、東ティモール人に対して人道支援したことがその理由ですが、あの優しいインドネシア人でもそんなアホなことを言っている人もいるのだと哀しくなります。
 今おそらくダーウインですが、連絡が来ません。明日一番の飛行機だと7:30にはディリに着いているはずですが、どうなるのか誰にもわからない、「行方不明のダン先生」なのです。
 さて、明日も忙しい一日が始まります。

外来100人の診察」への1件のフィードバック

  1. 写真の空の青さからは診療所に
    100人もの患者さんがきているなんて想像できません。
    患者さんの身体から伝わる歴史と未来・・・。
    結核やマラリアがいつか怖がらなくてよくなるように
    願わずにはいられません。
    早くダン先生、無事に入国できるといいですね。

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