フィリピン再訪

フィリピンを再訪しました。

 87年9月。医師になって4ヶ月目に出かけたフィリピンであったロエナスという少女との出逢いは、その後の僕の歩みを大きく変えることになります。それから26年が過ぎました。ロエナスとの出逢いはそのまま僕の医師としての年月の長さでもあります。

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(空、雲、大地~雨期のフィリピンです)

 93年にはマニラ市に事務所を構え、フィリピン事業がスタートしました。それから7年の長きにわたって僕たちはフィリピン事業を続けてきたのです。最初はこれから日本に旅立つフィリピン人のみなさんのための出発前情報提供事業。労働者として、配偶者として日本に来るフィリピン人は本当に多かったからです。

 その後マニラに隣接するパサイ市のスラムを舞台に、女性のEmpowerment(力づけ)事業を開始。ミシン工場を作って女性たちの自立を促すという事業が重なっていきました。2001年にフィリピン事業を撤退するまで、実に30回以上の渡航を重ね、まさにフィリピンは僕たち「地球のステージ」にとって、大切なパートナーだったのです。実は「地球のステージ」公演においてはロエナスとの出逢いとスモーキーマウンテンで学んだことを中心に話しが構成されているので、その後8年に渡ってフィリピン時事務所を置いて活動したことの内容についての作品はほとんどありませんでした。以前、津波が来る前までは存在していた「ステージ4」の中の「終わらない貧困篇」はまさにフィリピンで行っていたミシン向上の話が出てきますが、なぜかフィリピン事業はあまり作品にはなりませんでした。

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(オロンガポで出逢った少女)

 それはある意味、とても深くフィリピンと関わり、その喜怒哀楽、愛憎分け合う日本とフィリピンの関係性の混乱具合によって、なかなか作品化しづらかった事も原因かもしれません。

 しかしその後も2008年再訪を果たし、映画「ありがとうの物語」に出て来る兄妹に会いにいったりしていました。そして今回再び2013年に再訪。確実に「良くなっているフィリピン」を感じました。

 まず経済的に発展を遂げてきていると思います。経済の底上げによって、ゆっくりと、しかし確実に人々が豊かになってきているように思いました。街を走るクルマもずいぶん立派になりましたね。それに連れてエコロジーの側面もずいぶん協調されるようになってきました。トイレに入ると、トイレットペーパーの削減や水質汚染について壁にポスターがたくさん貼ってあります。経済発展も大切ですが、環境保護も大切だと感じられているところがなかなかに「発展」だと思います。

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(街角では駄菓子屋さんが今も繁盛)

 しかし一方で変わらないところも多くあります。フィリピンに根付いた日本人社会の存在。相変わらずタフでしたたかな在フィリピンの日本人のたくましさに触れてきました。まずは友人で、青年海外協力隊スリランカ隊のOV、権平みささん。フィリピン人の夫と結婚して一児をもうけ、フィリピンで暮らしています。東ティモール、スリランカと一緒の現場を共に働きましたが、フィリピンに暮らしてもう8年です。オロンガポ市内を案内してもらいました。

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(権平さんと息子のたくみくん)

 そして、マニラ市内に戻りでかけたのはLRT(軽量鉄道ライン)のGil Puyat駅に近い日本料理店「ねもと」。ご主人のたい子さんはいらっしゃいませんでしたが、味は変わらず最高でした。実は最後の事務所はこのすぐ近くにあったので、よく食べに行っていました。

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 このカツ丼も500円しません。助かっていましたね。

 そんなフィリピンでの最後の仕事は、ロエナスの足跡をたどること。もう今は35歳になっているはずのロエナスはサンボアンガに帰っていきました。もちろん逢えるわけはありませんが、彼女の感じることができるといいなあ、と思っています。

桑山紀彦

フィリピン再訪」への2件のフィードバック

  1. 桑山さんのロエナスへの思いの深さは、ステージの画面や語り、歌から強く感じていました。あの歌が私を地球のステージに引き入れたと言っても過言ではありません。
    30年近い歳月が経っても変わらない思い~理解できます。

  2. 権平美砂子さん、懐かしいです!
    2004年、初めて東ティモールのスタディーツアーに行ったとき、現地で保健活動をされていた権平さん(通称ごんみささん)と会い、「2年前(2002年)の調査で、東ティモールでは、1000人中130人が5歳までに、80人が1歳までに亡くなるんです。
    平均寿命は47歳なんですよ。
    人材を育てるのが、とても大切なんです。」と、さまざまなことを、素人の私にもわかりやすく教えてくださいました。
    あきちゃんと匠くんの3ショットを見て、ホント懐かしく思い出しました。

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