「閖上の記憶」開所

今日、4月22日(日)「閖上の記憶」が開所しました。

 オープニングは「閖上太鼓保存会」の皆さんの豪快な太鼓で始まりました。
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 これは閖上中学校に入る角の土地を借りて、最もクルマ通りが多い県道129号線にプレハブを置いたものです。
 まずは除幕式です。遺族会会長の丹野祐子さんと看板のお披露目をしました。
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 これも「地球のステージ」のデザイナーである上原連さんの作品です。
 すっかり更地になってしまった閖上の街に、このプレハブを置くことはかなりの「迷い」があります。でも、僕の周りの閖上人は、
「閖上に行っても何もないんだ。ただ日和山行って帰ってくるだけ。」
 だったら、こんなふうに集える場所があればきっと閖上人も集まってくれるのではないかと思うのです。そして、たくさんの「語りべ」の皆さんがここで「あの日」や「その後」、そして「在りし日の閖上」を語ってくれたらどんなに良いかと思うのです。
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 でも、このプレハブを置こうと思った一番最初の動機は「慰霊碑」でした。
 どうしてもあの慰霊碑を寂しくさせたくないという気持ちが、3月11日の除幕式のときからありました。吹きっさらしの風の中に慰霊碑がいたら、子どもたちが寂しく思わないかと感じたのです。
 そして同時に全国から脈々と参拝される方がいて、中には花束や折り鶴を置いて行かれる方もいらっしゃいます。でもそれもみんな風で吹き飛んでしまったりするのです。だったら、近くに社務所を置いて、掃除道具やお花の整理、折り鶴の展示をするべきではないか、と。それがこの「閖上の記憶」の始まりでした。
 しかしその後、みんなで話し合う中で「津波祈念資料館」の構想を具体的にしていくためのものとして、「集会所」「資料館」の役割も大切。そして、お茶が飲める「カフェ」のような存在も大切ではないかと思うようになり、思い切って中を30畳にしました。
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 とても広いです。
 これもみんなみんな全世界から募金して下さった皆様の支援金によるもの。特に「津波祈念資料館」の設立のために募金して下さった皆さんからの支援を使わせていただいております。
 一角には「記帳所」があります。
 また一角には子どもたちのジオラマ作品が常設展示されています。
 そして「閖上あみーず」の皆さんがつくる「虹色アクリルたわし」の展示&販売コーナーがあり、そしてお茶が飲めるコーナーがあります。
 でも、ここはこれから閖上人が、下増田の被災者が、そして名取市民の皆さんが想いを寄せて創り上げていくべきものだと思っています。だから最初からあまり「こうしたい」という方向性を打ち出さないで始めています。
 まずは、ここに常勤できる人を探しています。
 平日は出来れば10時から15時まで。
 土曜日、日曜日は朝9時から13時まで、13時から17時までの分担で進めたいと思っています。
 もちろん安全に配慮し、有事の際の避難経路、電池で聴けるラジオの設置、衛星携帯電話や無線機器などをそろえることでこの「閖上の記憶」の安全性を高めていきたいと思います。
 それでも、なぜかこの中にいると落ち着くんです。
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 ここが1年前、凄惨な津波の現場であったことは誰もが知っています。でも、今その地に建物を持ち、そこに身を置くと、どこかで人々の語らいや往来の音が聞こえてきそうな気持ちになります。
 もう既に今日は10人以上の方が訪れました。
 愛知県から、埼玉県から、そして東京都内から・・・。
 これから被災地を訪れようとする人々の気持ちに応えることも、被災地の役割だと思っています。そこで被災地と非被災地の人同士が言葉を交わすことで、この津波によってもたらされた様々な出来事に意味が生じてくるのだと思う。
 それは、記憶のやりとり。
 だからここは「閖上の記憶」という名前なのです。
 ぜひ皆さん、「閖上の記憶」を目指して下さい。
 でも、まだ誰もいませんから日中いらっしゃってもとりあえずはしまっています。ただ、ゴールデンウイークはみんなで分担して開けていきたいと思っています。
 5月中旬になるであろう「太さんの船」のツアーもここで受け付けできるといいと思っています。
 いろんな展開が待っているはず。
 ドキドキします。
桑山紀彦

「閖上の記憶」開所」への9件のフィードバック

  1. 閖上に行って、ほっと一息つけて、色んな情報も発信出来て、ワクワクしますね。
    近かったら、名乗りを上げられるのに…残念です。

  2.  開所おめでとうございます。
    前日の岐阜のステージでこの「閖上の記憶」のつくる意義を
    お話下さいましたね。
    とても、わかりやすくお話下さいました。
     名取の皆さんの語り継ぐ場所として発展することを願っています。
    そして、いざ名取へ!!
    皆さんの街へ伺えることを目標にして私たちが遠くから
    できることを続けていきます。

  3. 開所、おめでとうございます
    ここが皆さんの新しい集い場所。
    年末までには、娘とともに訪れたいと思います。
     それを目標にがんばっていきます。

  4. 「閖上の記憶」開所、おめでとうございます!
    一つずつ実現していく努力に敬意を表します。
    地域の皆さんの心の拠り所になるよう願っています。

  5. 「閖上の記憶」がオープンの運びとなりましたこと、
    心より嬉しく思っています。
    一歩ずつ前進されている“閖上”“地球のステージ”を、
    誇りに思います。(何も支援出来ずにいて、厚かましいのですが・・・)
    すぐには行けませんが、
    地球のステージがご縁の文通の友ともお会いしたいので
    必ず訪れたいと願っています。

  6. 無事にオープンできてよかったです
    貯金しなきゃ!
    自分の目で閖上の街を見てみたい、子ども達のジオラマを見てみたい、太さんの船に乗ってみたい、えりちゃんに会いたい、そして「閖上の記憶」に行ってみたい

  7. 公演と診療の合間を縫って、見事にPDCAを回している。
    スタッフの皆さんの実行力に脱帽です。
    この事実を、広く情報発信して大勢の人たちが見てくれるとよいですね。
    見える活動に応援のやりがいが増します。

  8. こんにちは。1月より愛知でコミュニティカフェをしていますが、工事開始と同じくして震災があり、こんな場所が被災地にも必要になるのではないかと思っていて、先日開所の日に出会った事を運命の様に思います。(お話できたのが同郷の林さんでしたし。)とにかくこの出会いを忘れずにいます。
    あみーずの千葉さん.
    お話下さってありがとうございました。
    まずは出来る事。カワイイたわしの販売をさせて頂きます。
    後日注文しますね^^

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