スタッフによる活動紹介シリーズ(第1回)

さて、未だ許可が出ずテルアビブで足止めを食らっている桑山に変わり、被災地名取で活動する我がスタッフに筆を渡しました。ぜひ、お読みください。


 14日から中東へ海外出張中の桑山の代わりに、震災後から行なっている様々な活動を担当しているスタッフに皆様へ向けて活動紹介をしてもらおうと思います。

 全3回シリーズで掲載します初回は、昨年6月から閖上と下増田の小学生児童と行なっている震災後の心のケア、スカイルーム(心理社会的ケアワークショップ)活動を支えています宗貞研(ケンケン)からの報告です。

皆様はじめまして…でもないでしょうか。

これまでブログに名前はたびたび出ていますが、改めましてスカイルーム担当スタッフの宗貞研(神奈川県出身)です。

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向かって右端がケンケン、続いて悠ちゃん、そしてリンリンです。

桑山さんが呼ぶ「ケンケン」というネーミングイメージには似つかわしい人物ですが、実はスカイルームで子どもたちからは「むねさん」と呼ばれているんです。宮城県で有名な「むねさん」と言えば青葉城恋唄の歌手“さとう宗幸さん”ですが、名取にもむねさんがいるんです!

 私が担当しています「スカイルーム(心理社会的ケアワークショップ)」は現在、未来のわたしたちの街ジオラマづくりに取り組んでいます。

子どもたちはまるでパン屋さんの厨房かのように、手にもほっぺたにも紙粘土の白粉をつけて一生懸命に粘土を捏ねているんです。真っ白な「未来」にイメージを描きながら、物理的条件や現実的実現性に左右されず自由に豊かに街の立体造形物を制作しています。

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5年生男子が言います。

「やっぱり小ちゃい空港をつくって、そこから空に逃げれるようにしようぜ」

名取市には仙台空港がありますが、彼らにとっては遥かに遠い距離…だから自分たちの閖上沿岸近くに、小さくてもいいから空港を作るというアイデアです。確かにあの日も、空は今日と同じように広がっていたもんな…。

 

制作にあたって【防災】地震にも津波を防ぐこと(負けないこと)をサブテーマに学習していますが、彼らの中には「地震」も「津波」も実体験を通して分かっているので、ちゃんと街づくりにも反映されながら、みんなで語っています。

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4年生男子が言います。

「田んぼだったら弱いから地面をコンクリートにして、そこに津波とか来たらすぐ折り畳んで避難出来るようなお店を作ればいいんじゃない!?」

イベント用テントのように建てられた商店街で営業は可能、コンパクトで大地震のときに倒れても被害が少なく済むし、津波が来るときには迅速に折り畳めば店ごと避難出来て他の場所でも営業可能!というアイデアの「持ち運び式商店街」が並んでいます。

 スカイルームの柔軟な発想力の持ち主たちは、現実の復興計画のスピードをゆうに凌いでおり、他にも続々と立体造形物を建ててゆきます。

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広浦の港湾には「ロボット」が力強く片手を上げてドンと構えていますね。

「これは地震が起きたらそれをすぐ止めて、その後に津波が来たらこのロボットが津波を破壊するの」

閖上沿岸の海には紡錘形の物体があります。

「津波が来たらすぐコレに乗って海の中に潜って避難出来るんだ!」

まさに「対津波避難用潜水艦」なんですね。

青色の海と河川沿いに堤防が二重に設置されています。

「コレくらい高くないと守れないと思うよ。」

「港のところも海だから、もう1個堤防が必要じゃない!」

「名取川沿いにもつくって内陸に来る津波を止めるでしょ」

他にも都会のように高い建物が無く全てが波に飲まれた未来の閖上に建築物は高くたかく、そして重厚で、地震にも津波にも負けない頑丈な建物がひしめき合いながら並んでます。

 

 ジオラマ制作は3月上旬の完成を目指して着々と進んでおります。

本当に多くの方々に子どもたちの作品をご覧になって、ジオラマを通してその心に触れて欲しい!そして何より、ご覧になった皆さんが感じた気持ちをメッセージにして彼らに伝えてくれたら…。そんな願いを持ち合わせながらも、子どもたちにとって充実したスカイルーム活動を展開しています。

展示会もお楽しみに。

 最後になりますが、今回の心理社会的ケアは、NPO法人地球のステージと公益社団法人 日本国際民間協力会NICCO(ニッコー)の共同事業で行なっております。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが私の所属している団体です。是非、NICCOのHPもご覧下さい。

 今後も地球のステージ共々どうぞよろしくお願い申し上げます。

公益社団法人 日本国際民間協力会NICCO http://www.kyoto-nicco.org/index.html

宗貞 研(ケンケン・むねさん)

公益社団法人 日本国際民間協力会NICCO 

派遣看護師・心理カウンセラー・名取事務所責任者・スカイルーム担当

スタッフによる活動紹介シリーズ(第1回)」への6件のフィードバック

  1. 何度も言いますが、子供の柔軟な発想力は捨てがたいものが有ります。
    いつも、若いスタッフの皆さんのボランティア精神と実行力をまぶしく感じています。
    大いに発想を伸ばして心を軽くしてあげてください。

  2.  ゆりあげアミーズのレインボー束子を、職場の女子二名にップレゼントした。
     「これを手作業で作るのは大変でしょうね。わたしたちには到底。細かい作業のようだし」
     出来栄えに感心しながら手に持ったレインボー束子を眺めている。
     「でもこれで水仕事をすれば楽しいかも。ありがとうネ。使ってみるから」 そう言って喜んでくれた。
     被災した地域では、いまだに瓦礫がうず高く積まれているという。こころの傷もまだまだ癒えてはいない。復興には程遠い現実がある。行方不明者がいまも3,300人もいるというのだから。
     東北の人々の悲しみは「日本人の悲しみ」である。そう思ってみても、”自分にはいったいなにが出来るのだろうか”と考えてみても何もできない自分がいる。苦肉の策で”復興支援宝くじ”を買うことぐらいかもしれないのだ。恥ずかしく穴があったら入りたい。
     財布の中に3,000円(一枚300円)入っているのを確認して、寒風の中、宝くじをトボトボと買いに行くのである。
      和歌山  なかお

  3. 若いスタッフの皆さんが子どもたちと真剣に向き合ってくださっていることに感謝します。
    大きなお兄さんやお姉さんには子ども達もきっと話しやすいんじゃないかしら。
    三人とも笑顔がとっても素敵ですね!これからもよろしくお願いします。

  4. 『若さ』という財産を存分に使って活動されている
    ケンケンさん、柴崎悠子さん、リンリンさんに
    エールを送ります。

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