閖上ジオラマの片隅で

11月26日(土)の毎日新聞に「心のケアとしてのジオラマ」が掲載される予定です。
 ぜひご覧下さい。

 いよいよ4つのチームのジオラマも完成に近づきました。

 専門の業者さんに「土台」と「枠」をつくって頂き、そこにはめ込むと、もう完璧にひとつの作品になります。
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 土台と透明の「枠」がついたジオラマ(閖上1,2丁目エリア)
 これが名取市役所と名取エアリモールに展示されます。いくつかのマスコミも展示の時には取材に来てくれるようです。広くこの試みが世の中に知られることで、子どもたちの心のケアが最終段階「再結合」につながっていきます。
 それは、
「僕たちの試みが評価されて報道された。」
「世の中のみんながこの活動を認めてくれて、僕たちのことが多くの人に知ってもらえた。」
 という経験が重要だからです。仲間と一緒に「在りし日の閖上」のジオラマ制作に取り組み、自分の根っこ(ルーツ)や生きてきた歴史の大切さを世の中に向かってアピールすることが大切なのです。
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 (中央リンリン、奥が悠ちゃん~ステージのスタッフ)
 このジオラマ制作は、現実的には非常に個人的なものです。しかしその個人的なものに価値が認められて世の中の人が関心を寄せてくれるという「現象」が、心のケアの最終段階には重要です。それにより、自分の「被災」という経験が世の中にインパクトを与えるものであり、被災した者でなければつくれないものを創りだしたことで、世の中に評価されるという経験が重要なのです。
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 (子どもたちが創り上げた在りし日の“閖上小学校”)
 だから市役所やイオンモールに展示もするし、それを広く報道してもらう事に意味があるのです。どうか「不安の人々」。この最終段階への取り組みをきちんと「勇気」を持って見守ってください。告げ口は止めましょう。当たり前のことですが子どもたちの個々人のインタビューには「親の同意」を取材者側にとってもらいます。
 さて、そんな中で我が下増田チームはいろんな意味で閖上チームと異なっていました。
 それは、下増田エリアがひとつの街としてのまとまり感を持っていないからです。
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 下増田エリアのジオラマ~田んぼと仙台空港(左下)
 閖上のように、港町を中心に7000人もの人が住んでいた「ひとつの街」ではなく、広大な農地と仙台空港が広がる下増田は、人々が散らばって住み、その9割が田んぼや畑です。
 目印となる「アイコン」が少ないのも特徴です。
 だからジオラマ制作にあたっても、
「もうつくるものない~!」
「どこに何があったのか、想い出せない~!」
 という感じになりやすく、ジオラマ制作が活発になりにくい状況があります。それを乗り越えて、ようやく完成に近づいた「下増田エリア」。
 やっぱり田んぼが多いですが、これが今はすべて失われています。
 12月からは「津波の時に覚えている光景」のジオラマ制作が始まります。これは15cm四角の台の上に、個々人がジオラマを制作していくものです。
 ぜひ、子どもたちの心の表現に注目ください。
 それは「第3段階」が、人々のつながりによって完成するものだから、皆さんの興味と関心がとても大切なのです。
桑山紀彦

閖上ジオラマの片隅で」への5件のフィードバック

  1. ブログを読んでいて、下増田の子供たちが気分的に落ち込まなければよいが、と感じました。杞憂なら良いですが・・・
    作業の進捗を緊張感を持って見守っています。

  2. いよいよ完成まじか。12月からは津波の時を表現するんですね。その時を表現して、更に前進していけると信じてます。子供達の取組みを報道する皆さんも正しく伝えて欲しいですよね。

  3. 追伸
    私の実家は、干拓地で田んぼばかりです。漁港はないから下増田よりもっと目印になる物がないかも。でも自分の生まれ育った土地、これと言って特徴はないけど、四季を通して変わる田んぼの色は町にはない大切な記憶です。

  4. 毎日新聞webに記事が載っていました。
    タイトルは「東日本大震災:私の街“復興”小学生、紙粘土でジオラマ―」
    ~自分が生きてきた証しを再確認したうえで記憶などを整理し、
    心的外傷後ストレス障碍(PTSD)を防ぐ取り組み。~
    と、ちゃんと紹介されていました。

  5. 辛いことを誰も思い出したくないものです。悲しいことを忘れたいものです。
     あまりにこころに深い傷を負ってしまうと忘れるという作業さえできないものです。辛い過去に立ち返らなくては悲しみから抜けきれない。そんな試みが津波で失われた町を再建するジオラマ制作だと思います。マスコミで取り上げられジオラマ制作が報道されれば子ども達にとっても、きっと勇気が湧くことになるでしょう。ボクにしたって「河北新報のいちばん長い日」の引用許可の電話が同新聞社から職場に電話で届いたときは、こころが浮き立つ思いでした。
     ジオラマ制作を通じて子どもたちが早く立ち直ることをこころより願っています。
        和歌山   なかお

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