手芸教室スタート!

 ついに、手芸教室がスタートしました。

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 「地球のステージ」事務局の横、50畳ホールを使ってまずは週に1回、いろんな手芸作品を仕上げていきます。もちろん狙いは「集いの場つくり」。ここでいろんな事が語られ、いろんな気持ちが混じり合って、いろんな情報を得て、元気になって帰って行かれたらどんなにいいか、そう思ってずっと構想してきました。
 子どもたちへの心のケアは基本、学校を舞台に行ってきました。でも、本当にそれで良いのか、いつも疑問でした。本当は泣きたい、本当は叫びたい大人もたくさんいるはず。大人だってちゃんと吐き出して心を軽くしていくべきなのに、
「大人だから。」
とか、
「強いはずだから。」
という理由で語ったり表現したりする場が与えられていないとずっと思ってきました。だから、こんな形の手芸教室が一番理想でした。
 今回はひょんなことから閖上の生協で手芸教室を開いていらっしゃった千葉さんという先生と巡り会えて、トントン拍子に話が進みました。
 昨日、木曜日の13:30がいよいよのスタートでした。担当の柴崎悠子(悠ちゃん)はうちの新しいメンバーです。ほぼ毎日スタッフとしてこの「心理社会的ケア」の仕事をしてくれています。その悠ちゃんが中心となり、いよいよの始まりでした。
 もう最初から皆さん語りが止まりません。
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 それもそのはず。2008年の閖上航空写真がありますから。もうそこの前に移動されて、
「あ、私のうちここ!青い屋根の家、わかりやすいでしょう!」
「うちはここだよ。4軒並びの奥から2軒目だった。」
「うちはこのお寺に入っていく道筋のここよ・・・。」
 皆さん、いろんな想いを込めてご自分の家を教えて下さいました。それは自分がそこに生きていた、暮らしていたという「証(あかし)」の発見です。正直、見るのが辛いのではないか、見ることで心が重くなるのではないか、という危惧もあります。でも皆さんそうではなく自分がそこで生きてきた証を見つけて、それをこちらに伝えてくれるのです。とても大切な時間を過ごしたと思います。
 そのあとは座談会となりました。
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 皆さんたくさんのことを心の中に閉じ込めてきたのではないでしょうか。今日のNHKでも、被災者の約40%の方が「何もすることがなくなった」と語っておられ、全体の約7割以上に「心身の変調がある」と答えていらっしゃるというデータが示されていました。
 「何もすることがなくなった。」
 それほど哀しいことはありません。だからこの手芸教室を始めました。そこで語り、そして作品を創ることで自分の居場所を確認し、心の中のものを吐き出していくことに大きな意味があります。
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 今日の作品はなんと素敵な「毛糸でつくったわんちゃん」です。皆さん手先が器用ですね。見事な作品でした。
「これね、うちの息子の仏壇に飾るんだ!飾るものなくて寂しかったからね!」
 そんな言葉に、我がスタッフが涙目になりながらも、あっという間に2時間以上が過ぎていきました。
「いくら時間あっても足りないね~また来週ね~!」
 そんな言葉と共に第1回目が終わっていきました。
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 皆さん、誇らしき人々。皆さんの気持ちの優しさと心の強さに圧倒されながら初回が終わっていきました。
 これからも少しずつ人数が増えるといいですね。そして週2,3回できるようになるといいな。それが我が「地球のステージ」の事務局の横のホールに通ってきて下さるなんて、こんな幸せはないです。
 皆様から寄せられた募金は、ここにも使われていきます。様々な物品や機材に使わせて頂きますのでご了解下さい。
 いつかここで生まれた作品が、
「被災地からの復活のシンボル」
 として皆様のお手元に届くようになっていったり、質の向上とともにそれが売れるようになっていったら、それが収入創設事業になっていく可能性だってあります。
 女性たちのパワーは、無限大です。
 請うご期待!
桑山紀彦
追記
 皆様にこうしてブログやインターネットに登場する許可を頂いて掲載させて頂きました。

手芸教室スタート!」への13件のフィードバック

  1. 手芸教室始まったんですね。口コミで広がってたくさんの方が参加出来ると良いですね。近い将来、そうなるでしょうが。 50畳のホール大活躍ですね。

  2. 物を作る楽しみ⇒時間の充実感⇒向上したい意欲⇒見せたい意欲⇒創造意欲⇒生きる意欲・・・と連鎖的に気力向上してゆくと云います。
    素晴らしい企画と場の提供、今後の継続と発展が楽しみです。

  3.   海堂尊監修「東日本大震災、医師たちの奮闘 救命」より抜粋 (その2)
    福島県富岡中央病院
    井坂 晶医師
     例えば、津波で流されちゃって何もかもなくなちゃったとすれば、じゃあ、どこかまた別のところで一から始めようという心構えができりじゃないですか。帰るところがなければね。ところが、この原発関係の避難者は、何ヶ月したら帰れるとか、あるいは何年ぐらいしたら帰れるよとかそういう見通しが立たないから、方針が立てられない。放射能の被爆のぐあいだって一律ではありません。同心円で避難を決めましたが、線量が低いところもあれば高いところもあります。浪江地区の郡山は高いけど、川内村はそちらより、低いんです。それなのに何で線量の高いところに避難するの、という苛立ちもあるわけです。だけど、同心円上で20キロから30キロは避難地域ですから避難してくださいとなれば、そうせざるを得ないでしょう。郡山に避難してきたはいいけど、何、こっちのほうがたかいじゃないですかと、だから早くあっちに帰らせてください、という方もいるのは当然でしょうね。
     皆さんはちょっと理解に苦しむかもしれませんけれども、いくら避難してくださいと言って回ったって、やっぱり何で避難しなきゃならないのという人もいれば、しかたない、もう長年ここにいたんだからここで死ぬんだ、という人もいます。(中略)
     そいうどうしょうもない諦めがだんだんと苛立ちに変わってきているように感じます。
     自分自身は、いらだっていては、皆さんの面倒を見切れないです。その辺はスポッと災害のことは忘れないと・・・。
     忘れて、今あることに集中していないと、滅入ってきますから。
     ほんとうにそういうところを考えると涙が出てきますよね。
     だから仕事を一生懸命・・・・・やっているわけですね。そういう状況です。(中略)
     私はまだ一時帰宅はしていませんが、辛いですよ、やっぱり。
     その辺のところは、同じ被災者でも宮城県とか岩手県の方にはちょっと理解ができないかもしれないですね。
     ましてや、今、全国各地で福島ナンバーの車は嫌われるし、来ないでくださいと言われてしまいます。野菜その他生産物も、これではだめですとシャットアウトされる。
     地震、津波、原発事故、風評被害、福島県は悲惨です。
     理解があって来てくれているボランティアの方々は比較的いいですけど、いったん町に出ると、やっぱり福島ナンバーだと白い目でみられるんだそうです。今日、大玉村に仮説診療所が出来る予定なのでちょっと行ってきたんですが、たまたまお昼だからおそば屋さんに寄ったら、福島県で福島ナンバーのものは入れなかったという話しを聞きました。大変ですよね。いくら風評被害をなくしましょうと言ったって、中にはやっぱり白い目で見る人はいるわけです。
     福島というだけで、なんでこんなに嫌われるのって言いたくなります。
    千葉県松戸市
    旭神経内科リハビリテーション病院
    旭 俊臣医師
     私が千葉県「心のケアチーム」として、最初に陸前高田市に入ったのは、震災から約一ヶ月半たった五月一日から五日までの五日間です。メンバーは、旭病院の看護師、医療相談員、作業療法士、臨床心理士1人ずつと精神科医の私の五名でした。
     岩手県から、「心のケアチーム」に来て欲しいという要請が千葉県にありまして、それを受けて行くことになりました。(中略)
     ですから、被災者だけでなく、行方不明者やご遺体の捜索にかかわった人たちの心のケアというのも今、かなり行われています。救急隊員とか自衛隊の隊員は、1人でも多くの人を救助しようと被災地に入りますから、もう、死亡している、しかも変わり果てた姿ばっかり見ていると、救助に行った側も心理的におかしくなってくるのが当然です。阪神大震災のときは、亡くなった方も多かったですが、救助に行ったことで瓦礫の山から人を助け出すことが出来た。1人でも助かりましたよということがあると、頑張ってよかったなと思えますが、今回は、本当に、無力感に打ちのめされてしまったようです。(中略)
     我慢しないで、適度に気持ちを吐き出した方がいい部分もあるのですが、救急班として支援された先生方の中には、「自分達はボランティアで助けにいこうと思って行ったのに、なかなか現地の人は受け入れてくれなかった」といって、ショックを受ける方もいたようです。精神科医はそういうことを普段からある程度心得ていますから、「そういうもんだ」と覚悟しています。(中略)
     陸前高田市の三百人の職員のうち八十人が亡くなっています。特に保健師さんは九名中、六名も亡くなってしまった。で、その残った三名のうち1人は長期療養に入っている。生き残ったひとは「やっぱりがんばらないと

  4. 毛糸のワンちゃん、かわいいですね!見ているだけで笑顔になれます。次回の作品もアップして下さいね。楽しみにしています。

  5. お世話様でした。こちらでは始めまして。
    久々の元同僚との時間はとても有意義なものでした。出来上がったわんチャンは届いたばかりの仏壇に飾らせていただいております。
    息子も両親も愛犬を可愛がっていたから喜んでくれている事と思います。
    先生との出逢いや沢山の人達との絆に感謝感謝です。次回も楽しみにしています。

  6. 皆さんの笑顔がとても良いですね。
    仲間と一緒に楽しみ心を開ける場があることは、素敵なことですね。
    1人辛い思い出を抱え立ち上がるより、同じ思いを持つ仲間がいる心強さに互いを支えあえるかもしれませんね。
    航空写真を食い入るように見られる皆さん。確かにこの場にご自分とご家族の存在があったこと確認され、今この時間を大切にされたのではないでしょうか。

  7. 手芸教室開いてくださって ありがとう!!
    手芸教室参加してくださって ありがとう!!
    皆さんの居場所作ってくださって 本当にありがとう!!
    かわいいわんちゃんに皆さんの想いが いっぱいつまっているようで 私に話しかけてくれているようです。

  8. 桑山紀彦 様
    「これ息子の仏壇に飾るんだ」ということばに、
    また涙がでてきました。
    手芸教室いいですね。
    ますますいい笑顔がみられることを期待をしています。

  9. 編みぐるみですね。
    ただの毛糸が、温もり溢れる犬になるのですから、不思議なものです。
    きっと、ひと編みひと編み、息子さんへの想いを込めて編まれたのでしょうね。温もりのある作品たちだと思います。
    作品を見せ合ったり、いろんな話をしたり、楽しそうな皆さんの居場所が出来ると、とっても嬉しいですね。

  10. 手仕事っていいですよね。なんか温もりがあります。
    みなさんの笑顔が素敵ですね。
    これからも可愛いものをいっぱい作って紹介してくださいね。

  11. 手芸教室スタートで、また一歩前進。
    後ろの壁のアート(勝手にそう呼んでいます)も
    お部屋を明るくし、エネルギーを発している気がします。
    皆さんの作品も、見る人にパワーを分けてあげてますよ、きっと。
    なかおさん、「東日本大震災 医師たちの奮闘 救命」抜粋の連載ありがとうございます。
    読んでみることにします。

  12. 桑山さん、こんにちは。
    手芸教室、素敵ですね。気軽に話ができる場って本当に大事だな~と思います。作品も素晴らしくて、ワンちゃん達に込められた想いが伝わってくるような気がします。
    さて、「星に昇った少年」の脚本、大変興味があります。
    私は山形県内の高校で、演劇部の顧問をしているのですが、もし、「上演許可」がおりて、上演できればいいな、なんて、考えているところでした。以前拝見したブログで、アップすることも考えておられるとのこと、是非是非アップしていただければ幸いです。
    鈴木優子ウオレス

  13. いつもながら、先生の発想と行動力には敬服いたすばかりです。
    子どもに絵を描かせ、心の痛みを吐き出させるという話はよく聞きますが、
    確かに、大人にもそのような場が必要なのだと思いました。
    私の知人にも、口癖のように、なにかにつけ、場の確保、といっている者が
    おりますが、彼のいっていたことの意味が、ようやく、正確に理解できた気持ちです。
    私は微力ながら、できることを着実に進めていきたいと考えています。

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