赤木の大成功

 今被災地で何が起きているのか、その後どうなっているのか、それを伝えるためにこのブログをずっと書いてきました。

 被災地以外に住む皆さんが少しでもこのブログを通じて、被災地へ思いを寄せ、意識を持ち続けて頂くことが回り回って被災地のためにもなると信じて。しかし嫌なことも被災地ではたくさんあります。
 今日もいくつかありました。人間は人を傷つけることで自分を優位に保ち、人を蹴落とすことで自分をいい場所に保とうとするのでしょうか。今日うちの外来に来た人が言いました。
「なんか、ここの外来に来るとインターネットに流れるって聞いたんだけど、そんな事ありますか?」
 なるほどね。人がどんな思いでこのブログを書いているか知りもせずこんな噂を流す人がいるんですね。確かに通常ではなかなか知り得ない本当のことをブログには書いてきましたが、最大限のプライバシー保護を行い、まず第一にご本人に書いてもいいかの許可を求め、その上でも気を遣って書いているのですが、こんな噂を流す人がいるんです。もっと正々堂々としたらどうでしょうか。
 そして、もう一つ。
「早くあの消防車をこの世から葬り去れ。なんで残しておいたり、人に見せたりするんだ。」
 やっぱりこういう人がいるんです。これが現実。しかも、ごく近しい人がこういうところに被災地の悲しい現実があります。今日のコープ東京のステージで、
「現在の被災地の抱える問題点は何でしょうか?」
 というものがありました。いろいろと考えた上で僕はこう答えました。
「被災地の、そして被災者の意識がばらばらになりつつあることでしょうね。被災者同士が批判し合ったり、既に5ヶ月が過ぎて同じ被災者の間でも様々な“差”が出てしまい、その“差”がどんどん被災者の意識を変え、交わらず、批判的になり、断絶して、ばらばらになりつつあることではないかと思います。
 あの時、あれほどみんなで気持ちを一つにしてがんばろうとしてきたのに、“元々よそ者だ”といって排除したり、“あいつは所詮その時そこにいなかった”などと差別したり、どんどん被災者の中での意識がかい離してきていることがこれからもっと深刻になるような気がします。誰かが目立ったり、活躍しそうになるととたんに足を引っぱって引きづり降ろそうとしたり、陰口をたたいてこき下ろそうとしたり・・・。
 ましてやこれまでは花火や灯籠流し、慰霊祭や夏のイベントが目白押しだったのに、秋に向けてどんどんそういった事がなくなり、意識も気持ちも下降していく時期に重なって、心の問題がもっと深刻化することを心配しています。」
 この時期には誰かがヒーローやヒロインになって意識を牽引し、一つにしていく必要があるのに、その足を引っぱって気持ちがばらばらになることをしていることに気付かない人が増えてきているように思います。だからみんな、
「もうがんばらない。がんばっても報われないし、所詮目立てば変なこといわれるだけだ」
 と消極的になっていく時期でもあります。
 今だからこそもう一回気持ちを一つにして、誰か自分たち被災地のことを代弁してくれるキーパーソンを見つけて目立たせ支援して、その人やことがらに気持ちを重ねることで深い孤独感や闇の中に沈んでいくような気持ちを持って行くことが重要な時期に来ていると思います。先日のNHKで報道された人々に対しても、評価どころかいろんな陰口を言っていることがらばかりが聞こえてきます。
 人間は、いつまでこういった精神状態なのでしょうか。自分の批判的かつ否定的言動が、どれほど被災地の復興にマイナスになっているのか気づけない人が増えているように思います。
 そんな中で報われることがありました。
8/23-1
 それは私たちの仲間である山口県出身で八王子在住。あらゆるステージに来てくれて助っ人してくれている赤木さんが自ら立ち上がり、昔PTA会長をしていた時の生徒さん(今ではもう大学生だったりします)やその関係者の皆さんを中心に口コミで人を集め、なんと大入り満員の自主企画ステージを成功させてしまったのです。
 企画が始まったのは3週間前。有料なのでポスターも貼らせてもらえず、新聞にも「もう掲載のための時間がない」と断られ、結局すべて口コミだけで集めてしまったこの200人オーバーの集客力。何をとっても舌を巻く「赤木旋風」でした。以前「弾丸赤城」として紹介した人物ですが、ここまでやられるとは・・・。脱帽です。
 ステージが終わって最後に赤木さんを褒め称えようと、本当は、
「盛り上がっている人、赤木さんを大切に!」
 というところを、
「舞い上がっている人、赤木さんを大切に!」
 といってしまったのは愛嬌ですが、こういった熱い気持ちを持って前向きに何かをやり遂げようとする人を大切にしてほしいと思っています。それが地域を活性化し、世の中をよくしていく原動力だと思うのです。
 それが、今被災地でも求められているのだと思います。
 批判的にならず、好意的に受け止め、攻撃的な言動をあえて避けて支持的な姿勢で臨む。被害者意識を持ちすぎず、人を差別しない。目立った人をこき下ろすのではなく、支援してもっともっとそのひとに目立ってもらい、地域を支えているイメージリーダーのような人をたくさん増やしていく時期でしょう。
 赤木さんは被災地に住んではいないし、被災者でもないけれど、彼女の姿勢に中にいま被災地で求められているものを見た思いでした。それは何事についても前向きに、受容的に関わっていくべきだということです。赤木さんは決してその人がいないところで、その人の悪口を言いません。長い付き合いですが、そういうことを全くしない人です。今被災地で、被災者の中で求められているものも同じことだと思うのです。
 どうかこの時期だからこそ、被災地が優しく、思いやりのある心で満たされますように。
桑山紀彦

赤木の大成功」への14件のフィードバック

  1. 桑山さん 赤城さん スタッフの皆さんお疲れ様です。
    3週間の期間で信じられないことを成し遂げられたのですね。どうぞゆっくりお休みください。
    被災地に継続して心のケアに携わっている方と昨日お話できました。皆のイライラがどんどん増しているとのことです。
    皆で耐える時期から、個々の生活中心に変わってきていると思います。
    荒んだ心では、小さな幸せは見えなくなります。
    一歩一歩の歩みを大切にしたいと思いました。

  2. 東京での ステージよかったですね。
    赤木(赤城?)さん ありがとう!!
    被災地の皆さんは、想像のつかない痛手を受けられ 自分をコントロールできないんでしょうね。
    桑山さん 私も 桑山さんの比ではないですが、時々 足を引っ張るひとに 出会います。
    そんなとき あ~ この人私よりこころが ちっちゃい(小さい) んだなぁ~と思うことにしています。
    100人いれば 100の考え方があると思います。
    こころが それぞれに傷つきながら 生きてきたからでしょう。
    それが 全部人のせいにする人と自分のことと考える人では その後の生き方がうんと 違うような気がします。
    なにを 書いているのかわからなくなってきました。ごめんなさい。
    桑山さん ゆっくり こころ休ませてくださいね。

  3. 一日2回のステージ、お疲れ様でした。
    赤木さんのステージも大成功だったのですね!良かったです!
    地球のステージにとっても赤木さんは大切な財産ですね。
    被災地の復興が遅々として進まないことも皆さんをイライラさせている原因でしょう。
    義援金でさえ、まだ全額が皆さんの手に渡っているわけではないのですから。
    行政に被災者の立場に立って動いてほしいです。
    桑山さんも疲労困憊している様子でしたね。心配しています。
    信じることを貫くのは大変だと思いますが、桑山さんが間違っているとは思いません。
    応援していますからね。

  4. 昨夜はありがとうございました。桑山さんに書いて頂いたとおり、口コミだけでの開催!前日は、弱気な私は「私ったら、もうちょっと立ち止まって考えてみればよかっかな。」強気な私は「そんな事ない!今なのよ!」と頭の中 行ったり来たり。宮垣先生のケーキを焼いたり、打ち合わせで、最後のお願いが出来ないまま時間はすぎて行くに、「まぁ、いいかぁ。」そして昨日を迎えました。卒業生に進行をしてもらったので若さがあふれていて良かったですね。なんて感想もありました。何人かの若者は協力隊に行きたい!と書いてありました。 ちょっと引いて私の動きを見ていた子供は、「お母さん一生懸命やったって、悪口や文句を言う人いるんだから。ほどほどにした方がいい。」と心配してくれましたが…色々言う人はいるけど、昨夜のあの時間をみても、良い時間だったと言って下さる方がたくさんいるんだから。幼稚園児から私の親くらいの年齢の人達までが同じ空間で宮垣先生の報告、桑山さんがリードしつくださってのトークタイム、そして地球のステージに触れられて良かったです。学校の先生もたくさんいらっしゃったので、八王子を始め多摩地区で地球のステージが増えるといいな!
    今日はお休みを取っていたので3週間見て見ぬふりして来た家の汚れを落としています(^-^)たまったマンガも読めます(*’-^)-☆ひゃぁほぉ~(^-^)頑張って!と?を下さった全国の会員の皆さん、足を運んで下さった会員の皆さん ありがとうございました。音響の小口さん中西さん、一つ仕事を終えての八王子。ありがとうございました。お二人が「いいよ!」って言ってくださったおかげで実現しました!
    地球のステージのブログのコメントで長々失礼しました!でも 地球のステージ絡んでるから、いいかぁm(_ _)m

  5. 桑山さん、赤城さん
    立川第7中学校の谷口です。
    昨日は八王子のステージありがとうございました。心に響くステージでした。3月9日に前任校の東村山第2中学校でステージを行っていただいた次の次の日の震災で、心を痛めておりました。
    昨日は立川七中の同僚も参加し、ぜひ、立川のこどもたちにも伝えたい、ステージを見せてあげたいと申しておりました。
    前任校の生徒の中には桑山さんのステージを見てから、青年協力隊員になるのが夢だという英語のスピーチをし、都大会で発表した生徒がおりました。私ができることは小さいことですが、まいた種は少しづつ芽が出ていると信じています。
    お体に気をつけて頑張ってください。谷口

  6.   明日はわが身、一寸先は闇
     東北地方に一昨日も昨日も地震がありました。震度3とか5弱とか。いづれも東日本大震災の余震と考えられるそうですが、毎日のように地震が続くと不安で不安で東北地方の人は精神にも異常がきてしまうのではないでしょうか。余震は1年間は続くといわれています。
     私たちも他山の石と思っているわけにはいきません。南海地震、東南海地震がここ30年以内に起こる確率が90ハーセント以上といわれているからです。
     東南海地震が1944年、南海地震が1946年に起こっています。150年前には安政南海地震が起こり大津波が紀伊半島を襲いました。このとき和歌山県広川町で醤油醸造元であった浜口吾陵は、津波から人々を守るため、稲むらに火をつけ夜間人々を高台に導き多くの人を守りました。この話は「稲むらの火」として童話などでも伝えられています。
     安政南海地震の記録は、今も石碑として各地に残っています。大阪市浪速区、和歌山県広川町、高知県須崎市、堺市堺区、徳島県南中洲、高知県黒潮町、等々。
     石碑には「門前を東へ通り天神山へ立ち退くべし」など多くの教訓が書かれています。
     明日はわが身なのです。なにが起こるかがわからないのです。
     「この世に、確かなものは、何もない」と、作家の伊集院静はいいます。
     島田紳助も芸能界を引退しましが、私たちの日常は、常に「一寸先は闇」なのです。
     和歌山   なかお

  7. いつも読んで福岡から被災地のことを考えています。批判が消えてなくなればいいのにと思います。対象になることの辛さがみなさんのコメントで少しでも軽くなればと思います。力一杯応援しておりますから。

  8. 桑山先生お疲れ様です!私はいつも先生のブログを拝見させて頂いております!私も被災地に住んでいる中の1人です!いつも先生のブログを拝見させて頂いていて思うのは、私がこの被災地に住んでいて感じる事を先生がいつもブログで書いて下さっていて私はとても感謝しております!最近は私も震災後にみんなで助け合っていた時の事が懐かしく思ってしまいます。あの時は辛く大変だったけど、みんなお互いに助け合う気持ちが自然に身に付いていて、心が1つだったのに、最近ではバラバラになって来ていて、悲しみや辛さや苦しみを他人のせいにしたり、人を恨んだりして、なんかめちゃくちゃです。ただ、みんながそういう人ではなく、ちゃんと人の痛みを分かる人や優しさを持ち続けている人も居て私は自分の判断で、自分と同じ価値観の持ち主の方々と今は接しています!じゃないと自分で自分の事をコントロールする事が今は難しい状況なので仕方ないかな~って思っています!ただ、出来れば一人一人が自然に同じ気持ちになってくれたらいいな~って思っています!私は被災地に居る中で色々な思いがあるけど、とにかく前を向いて生きて行きたいと思っています!先生余り御無理なさらないで下さいね!いつも陰ながら応援しております!

  9.  幸せすぎる環境に居すぎても、辛い環境に身を置いても、どんな時でも、どうして人を批判しおとしめることでしか自分を保っていけない人々が存在してしまうのでしょうね。
    私も、常日頃このことを考え、苦しくなります。
    以前にこのブログにもコメントさせて頂いた気がしますが、みんながほんの少しずつの想像力をもって人と接することができたら、変わるのになぁ~。
    〝こころひとつに!!〟です。
     ではまた あした。

  10. 被災地にあって、ずっと同じ被害者意識を共有することが美徳と思いこみ、何かをすると和を乱したとして人を誹謗する、本質をわきまえない人間がいます。
    下手すると仮設住宅に当たった人にすら嫌味を言っているかもしれませんよ。
    こういうのにかまっていると、閉じこもって前に進めません。 度量が狭く何かにつけて他責にするタイプだから無視です。
    信ずる道を進んでください。
    八王子のステージ、公演の内容も良かったし、若者が仕切って大勢の人が熱心に聞き入り盛会でびっくりしました。
    赤木さんやったね!そしてご子息がイケメンなのに二度びっくりでした。

  11. わたしは
    子供を亡くした後、暫くした頃
    イライラしてしまい 誰かれに腹が立ち
    八つ当たりしてしまった時期もありました。
    だから、悪意を向ける人たちを 許してあげてほしいなぁ。と思いっています。
    きっと今は つい、意地悪を言ってしまう辛い時期なのです。
    桑山さんの活動が 誠実な温かい思いから 行われている事は 皆 魂では 解っているはずです。
    ちょっと目立っている人の 足を引っ張る人は、
    「 私は、今の自分に満たされていませんよ。だから人が目立つの妬ましいのですよ。」と告示しているようなものです。
    考えるとかわいそうな人たちなんですよね。
    今に 皆が 分かる時期が来ると思います。
    わたしは 桑山さんの事を知ってから
    「桑山さんのように、ひとりひとりに 誠意を持って向き合う人間になりたいな。」桑山さんみたいに 「善いことを実行出来る人間になりたいなぁ。」と思いました。
    だから、もし 回りが 今“泥”なら 蓮の花 めざしていかなくちゃな。と思います。

  12. 舞い上がってる赤木さん、さすがでした!
    幼稚園のお友だちも、最後まで座っていられて立派でした。
    赤木さんが信頼される先生だからなんだろうなと思います。

  13. 私は時々、他の人に心ないことを言ってしまって
    後からウジウジ後悔するタイプなので、、、
    志保さんと同じようなことを考えていました。
    揚げ足をとったり、出る杭を打とうとしたり、、、
    それは心が疲れ切っているからなんだろうな~~~
    今、桑山さんが目指していることが実現したとき、
    きっと、虹が見えると思います。

  14. 遅ればせながら、赤木さんの成功をお祝い申し上げます。
    東京包囲網のパワーが、桑山さんのパワーになり、被災地のパワーになるに違いありません。
    誰かが何か言ってるって?匿名で批判するやつなんて卑怯もんだ~。

ひろのみつよ へ返信する 返信をキャンセル

あなたのメールアドレスは公開されません。必須項目には印がついています *