個人の力

今もガザ市立シーファー病院に残っている唯一の西側諸国医師、マッズとエリックが所属するNorwac(Norwegian Aid Committee)の構成メンバー、スヴァイン医師と会いました。
 彼は、精神科医として日ごろはアケール総合病院に勤めていますが、ことあるごとに休暇を取っていろんなところに出かけて支援活動続けている活発な男です。
スヴァイン医師
スヴァイン医師
「マッズとエリックは正直出たがっている。体力も気力も限界だ。24時間、休みなく働いて1週間、さすがに強靭な彼らも脱出を願ったよ。でも、彼らはエジプトサイドから入った。ラファ検問所だ。だからエレズ検問所からは出られない。登録がないからね。しかしラファ検問所辺りは、今トンネルの掃討作戦で、誰も近づけない状況だ。だから残っている。」
「マッズのインタビューの中でイスラエル軍が劣化ウラン弾を使用している可能性が高いとあったけど」
「ああ、そう聞いている。大問題だ」
 もしもラファの国境線のトンネル掃討作戦にこの新型が使用されていると、ダルウイーッシュもエルアマルの学校ももうそこには存在しえないでしょう。
 私たちが協力して修繕したエルアマルの学校の大広間も、今は空爆で粉々かもしれないのです。
 スヴァイン医師は続けました。
「私たちは基本的に個人の集まりだ。特に大きな事務所があるわけではない。しかし”見て見ぬふりしない”という志のものは、このノルウエーにはたくさんいる。私たちはたまたまその一人だったということに過ぎない。
 ガザを報道するテレビを見ていれば、”自分に何が出来るだろうか”と考えるのが普通だ。
 私たちは、その気持ちに素直に従う。マッズもエリックもそうやって現場に入っていった。
 でも、その”行動”は人それぞれでいいのだ。ある人は”許せん!”と叫ぶ、ある人は関係団体に募金する。ある人は街頭のデモに合流する・・・。
 たいせつなことは、自分なりの何か行動に出ることだ。それは小さくても大きくても、そのサイズには関係ない。自分なりの「変化」をきちんと形にすることが大切だと思うよ。」
 今後も、Nowracの看護師ダグフィンはガザにとどまり続ける意向のようです。ダグフィンと連絡をとりながら、今後の「地球のステージ」の行動の方向性を探って行きたいと思います。
 これから8時間後イスラエルに入国します。
 少しでも時間が過ぎたほうが停戦に近くなるかという思いもあり、そして強力な行動派のいるノルウエーでルートが作れるかもという思いで滞在していましたが、十分な成果も得られました。
 しかし停戦は全く非現実的です。
 ともかく、いつものルートで、予定通りに事を進めたいと思います。
桑山紀彦
オスロのデモ
ノルウエーに住むパレスチナ人の子どもたちのデモ

個人の力」への3件のフィードバック

  1. 私にもなにかできることがあるか考えます!!
    少しでもはやく世界が平和になるように今私ができる精一杯のことをやリたいと思っています。
    桑山さんも
    頑張って下さい!

  2. なんでそうまでして行かなくてはならないのか?
    という疑問をずっと抱いていました。
    桑山さんを突き動かすものは、スヴァイン医師の”見て見ぬふりしない”という言葉、
    これと共通するものなんでしょうね。
    桑山さんの行動に対し、私自身思うことはいっぱいありました。
    でも、もう何も言いません。
    ただ一言だけ、絶対に無理はしないで…

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