飽食の国、アメリカ

ここ、ニューヨークの物価はあまりに高く、言葉もありませんでした。

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 一風堂ニューヨーク店の一番安いラーメンは14ドル。つまり日本円にすると約1600円。そこに必ずチップをつけなければならないので、現在の通常のチップとされる20%弱を加味すれば2000円弱になります。もちろん場所の特殊性や日本食=高額という要素を検討すれば一概な比較はできないとは思いますが、それでもあまりに高いニューヨークの物価。

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 これでは日々人々の中に「もっとお金を!」という気持ちが芽生えないわけがないように思えてきます。一体いくらの給料をもらえばこの町やこのアメリカという国でやっていけるのでしょう。一旦上げてしまった生活水準はなかなか下げられないとすれば、このニューヨークという町に住みたい人は、日々「どう儲けるか」が日常の課題になっているように思えます。

 12月のオーロラ撮影で訪れたアラスカ州フェアバンクスにおいて感じたのは、飽食のアメリカ。あまりに食べる量が多く、しかも野菜が極端に少ない超肉食。そのため大腸ガンの発症率が非常に高くなっています。大腸ガンと肉食の多さの関連性は強い結果が出ていますが、アメリカはいま「食べ尽くそう」としているように感じられました。

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 肥満率も先進諸国の中で著しく高く(常に1位:出展~http://tg.tripadvisor.jp/overweight/)、アメリカ発着の航空機に乗ればそのボーディングブリッジに列をなす車いすの多さに驚きます。聞くとそのほとんどが肥満によって膝を痛め歩けなくなった高所得者のためであるといいます。

 飽食、そして肥満化、お金への執着…。まさにアメリカに「コストコ」が必要な理由がそこに見えてきます。この病める超大国に渦巻く多くの不満。それがまさにトランプを大統領にまで押し上げてしまったマグマなのではないでしょうか。確実に行きすぎの食生活、暴走した経済感覚がアメリカの現状のように思えてなりません。この閉塞感やイライラ感がトランプ氏を支援するエネルギーにつながっていっているのではないでしょうか。

 ちなみにカツカレーも14ドル。チップを含むと2000円でした。相変わらず自分もそんなもんばっかり食べてます…。

 

 さて、清恵さんと会いました。

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 こちらでドゥーラおよび看護師として日々を過ごす彼女はNGOの仲間です。津波が来て4日の2011年3月14日、既に彼女は「東北国際クリニック」の2階、大広間に姿を見せていました。

 現在は国連に勤める夫と共にこのニューヨークに暮らし、新しい助産の概念「ドゥーラ(助産付き添い師、とでも訳しますか。語源はギリシャ語です)」の資格を取り、地域で活動しています。

 さっそくトランプ氏について聞きました。

「はっきり言えば、みんな冷めています。このニューヨークはヒラリーを推していましたのでみんな現在でも反トランプです。しかし、トランプになったからといって移民や難民でない限り日常の生活に変化が出るような状況にはなっていないからでしょう。

 でもこのグローバリゼーションの時代に、アメリカ第一主義を持ち出して移民難民を排斥しようとする人が大統領になるとは誰も信じていなかったと思います。4年後にはひっくり返ると信じてはいますが、この4年がどうなるかやっぱり心配です。

 国連だってどう扱われるか不透明。すごい時代が来てしまいましたね。」

 そんな混沌たる時代だからこそ、自分がどう生きていくのか試されているのだと思うと清恵さんは訴えます。自分にとって譲れないたった一つの「役割」を信じて進むしかありません。彼女は「ドゥーラ」という新しい概念の助産支援を。僕は心のケアと映像表現という役割で…。

 明ちゃんと3人で寒さに震えるマンハッタンを歩きながら、やっぱり国際協力という分野においてつながった仲間はいいなあと思いました。なんとか「無償のもの」「お金に換算できないもの」を求め合ってきた友としてのつながりを感じながら歩きました。

 それでもまだ道の途中。お互いがお互いの現場で接点を持ち続けられるように、刺激し合っていきたいとも思いました。

 

 夜、もう20回目になるミュージカル「キャッツ」へ。

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 これまで劇団四季版だけでも十数回、そのほかにもこのニューヨークでも3回、ロンドンでも1回と常に観てきた「キャッツ」。1996年1月15日、「地球のステージ」の初演で「キャッツ」の中のナンバー「メモリー」(→カンボジア篇)を取り入れたのも決して偶然ではなく、無謀なことに「地球のステージ」は「キャッツ」を目指そうと思ってきたからです。それは「常に進化し続けること」「何回観ても”良かった”と言ってもらえること」を目標にしてきたからです。(「キャッツ」と比べるなどあまりに失礼だとは思いますが、目標は高い方がいいですから…。)

 今回久しぶりのブロードウエイ公演を観てびっくりしたのはまさに上記2つが実践されていたことです。ほぼすべての編曲が新しくなり、演技も踊りにも新しいものがふんだんに取り入れられていたことです。「決して同じではない、常に進化し続ける」事が実践されていました。

 そしてやはり最後、主人公グリザベラが失意で崩れ落ちたあと、シラバブの歌声に愛情を感じて立ち上がり、

「私に触れて!私を抱いて!」

 と歌うところ。20回目であっても涙があふれてきました。もう何度も見ているし、筋もすべて理解していても、「その場面」になると涙が出てくる。これが僕にとっての「キャッツ」です。

 これからも無謀とは思えどもこの35年続くミュージカルのように、

「常に進化し続けること」

「何度観ても感動してもらえること」

 を目指しながら、「地球のステージ」も35年続けたいと思います。ということはあと14年か~。自分は何歳になっているんだろう…。おっと考えない考えない。

 

明日の夕方にこちらをでて、羽田には9日(木)の夜に着きます。10日、11日とフルで診察の日々。12日は日光のステージ。もちろん休みはありません~!

 

桑山紀彦

 

 

飽食の国、アメリカ」への3件のフィードバック

  1. トランプ、娘イヴァンカ夫妻がユダヤ教でイスラエルの大使館をエルサレムに置くと言う
    とんでもない事を主張していますが
    22日のトランプⅩネタニアフ会談
    そして5月に大使館は、どうなるのか目が離せません

  2. 盟友なんて言っているお方がいますが本気でいっているんでしょうか?
    新大統領は〝Ichiban!"が大好きそう。
    まるで古い西部劇の町を牛耳る大牧場の悪徳ボスそっくりのイメージで怖いですね。

  3. 寸暇を惜しんで撮影や活動をされている その結果が素晴らしい映像とステージになるんですね。
    地球のステージと出逢って11年余り。数十回観てきましたが、毎回進化していて、毎回感動し涙します。
    そして毎回違う場面が心を捉えるのは、私も変化しているからだと。
    おかげ様でそんなバロメーターにもなっています。
    一緒に参加する友人たちも、毎回心が洗われると言って喜んで着いて?きます。
    「常に進化し続けること」
    「何度観ても感動してもらえること」
    大丈夫です。観ている側はいつもそう感じています。
    そこが地球のステージの魅力なのです。
    お忙しい毎日、お体も大切にしてご活躍ください。

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