2年目の総合発表会

ついに今年2年目の総決算、総合発表会が開催されました。

 私たちは「心理社会的ケア」を聴力障がいのあることもたちと、国境危険地帯に住む子どもたちに心のケアとして提供し続けてもう2年になります。今日はその2年目の総括でした。

 パレスチナ人はプレゼンテーションが上手いというか派手なので、今年も意表を突く何かがあると思いましたが、さっそく初っぱなからそれはやってきました。

 昨年亡くなった親友、ダルウィーッシュの写真がKen Burns Effectかけられてゆっくり上下左右に動きながら綴られ、なんとそれに合わせて我がスタッフ、歌手のヤシーンと友人の歌手ユーセフがデュエットで歌うという度肝を抜く演出です。しかもその「ダルウィーッシュへ捧ぐ歌」が完全オリジナルなのです。これは参った。昨年の発表会にはそこにいたダルが今年はいない。しかし確実に彼は空から見守っているというすごい歌詞の中、一同大盛り上がりです。やはり死後の世界をしっかり信じているイスラムのみんなは常に前向きです。ダルがどれほど愛されてきたか、また再確認でした。

 そして子どもたちの発表に入っていきましたが、今年の「音楽ワークショップ」でつくられた曲は実にポップでノリノリでした。もちろん歌詞は子どもたちがつくったものであり、その内容は生活の大変さ、平和の尊さなどを歌っているわけですが、とにかくポップなのです。アーベッド曰く、

「映画の主題曲として作られた、ケイ(桑山のことです)の”明日を願って”が余りに素晴らしい曲だったから、それと張り合ったのさ!」

 う~ん、ここでも圧倒されました。確実に「曲」として形になり、それを聴く大人たちも子どもたちに歌われると大きくうなずいていました。子どもたちの創る作品は非常に大人の心を動かす力に満ちています。
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 聴力障がいの子どもたちもしっかり振りをつけてついてきます。その美しさは、やはり困難を知っている子どもたちが光っているからでしょうか。

 そしてシネマワークショップの発表。4つの短編映画が上映されました。

 びっくりしました。カット割り、筋書き、曲入れ、とても上達しています。もちろん突っ込みどころはあるけれど、たった半年でここまで作れるようになっているとは…。びっくりです。まだまだシナリオ的には深みが必要かもしれないけれど、十分「シネマ」になっているではないですか。パレスチナ人恐るべし。限られた環境の中で最大限の力を発揮しようとするその強い意志を感じました。

 今年のシネマワークショップが楽しみです。
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 ファラッハも元気な姿でそこにいました。映画「ふしぎな石~ガザの空」の主演をつとめたファラッハですが、とても大人っぽくなっていました。彼女の心の中の成長が全身に現れているようでした。明日、ファラッハの家に遊びに行きます。

 こうして2年目の総合発表が終わっていきました。もちろん課題はいくつかあるけれどここまで人材が育ち、「心理社会的ケア」を実践できている団体もないでしょう。今日もラファ市の副市長さん、JICAのガザ事務所長(パレスチナ人)が来てくれましたが、皆さん一様に大変高い評価でした。これからこの方法がもっとガザに拡がっていくことを願います。
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 中2階には展示コーナーがあり、「自分たちにとって理想の町づくり」で制作したジオラマが所狭しと展示されていました。

 「無償の病院」「ガザ空港」「子どもたちが不安なく遊べる公園」

 全てにおいて「理想の町」が形づくられています。心理社会的ケアは確実にこのガザの、ラファの町に浸透していっていることを感じました。

 これから3年目が始まっていきます。日本の外務省の皆さんは私たちの活動を認めて下さり、先日3年目の予算が最終決定しました。みなさまの貴重な税金はここガザの子どもたちに投入されています。ご安心下さい。
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 さて、これから打ち上げです。この1年に関わった20人近いスタッフたちをねぎらう食事会。ラファは晴れていい天気。少し暖かくなって今13度です。

 帰ったら電気が来ていました!

 でもいつまでくるかわかりませんから、シャワーなんか浴びようものなら途中でお湯が切れてしまいます。洗面所で髪の毛だけ洗って、急ぎ電気があるうちにドライヤーで乾燥。熱いシャワーが思いっきり浴びられる日はまだまだ先のようです。

桑山紀彦

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