福島の今

金曜日は、南相馬市の石神中学校のステージでした。
 ここは旧原町(はらのまち)で原発の近くです。みんな避難生活をした上でようやく最近学校に戻ってくることができました。
 過去にはとても荒れたことがあった石神中学校ですが、今回のステージではみんなびし~っと聴き、すばらしい姿勢で臨んでくれました。挨拶もできるし、静かに待つこともできる。すばらしい中学校でした。
石神中学校.jpg
南相馬市立石神中学校にて
 校長先生がおっしゃいました。
「この子たちは、あの津波の日以来ずっと苦労してきました。退避させられ、避難生活をし、家族が離ればなれになり、学校もずっと仮校舎で…。実際に津波でお母さんやお父さんを失った子もいます。家を失った子もたくさんです。
 でも今日、こうして世界に触れ、被災地の話に触れて大変よかったと思います。彼らにとっても励みになりました。
 苦労した子どもたちは、もう変なことで荒れたりしません。いじめもないし、当然のように”死ね”なんて言葉を吐く子どももいません。自分が多くの痛みを感じてきたからこそ、人の痛みにも敏感になれています。
 確実に“あの日”のために子どもたちは成長し多くのものを学んでいるのです。」
 やっぱり、外れくじだと思っていたものが、いつの間にか当たりくじに変わっていたのです。
 福島の子どもたちに幸あれ!
 その夕方、NHK福島放送局のローカルニュースで、「被災地の声」がありました。そこで、小学校6年生の子どもがインタビューされていました。
「将来は何になりたいですか?」
「えっと、科学者です。」
「それはどうして?」
「…原発の事故があったから。ああいうことが起きないようにするために、僕は科学者になりたいんです。」
 これでいい。これこそが人生だ。
 嫌なことがあったあとには必ず良いことがある。それをまさに表現してくれたこの福島の小学生に感謝。
 夜は常磐ハワイアンセンターにとまり、フラガールのショウを見ました。その迫力、今までにもましてすばらしいステージでした。
 そしてその観客の多さ。いわきはがんばっています。全国の皆さんも、こうやっていわきに来ることで応援してくれています。ハワイアンセンターのスタッフの皆さんの笑顔とやる気、ちょっとした「一声をかける」姿勢に感動しました。
 困難を乗り越えたからこそ出てくる人の優しさ。
 今こそ、福島の浜通り(海沿い)に行くと感動します。
 そして昨日は浪江町の「大堀小学校のつどい」でした。
 波江はまだ全域が避難区域で、誰も住むことはできません。でも、そこにも人が生きてきた歴史があるのです。今日は今は誰も通えていない大堀小学校の同窓会に呼ばれたのです。いわき市でのステージでした。
 浪江町は今二本松市に役場機能を移していますが、散り散りになってしまいました。だからこうして集まろうとがんばっているのです。
浪江町立大堀小学校2014.7.19 - 05.JPG
「大堀小学校のつどい」
 福島の原発事故は「今」の出来事です。現在進行形です。だからみんなできちんと考えなければならない。忘れてはならないのは、現在進行形だからです。
 この日のステージはあえて「世界でがんばる子どもたち」だけで構成しました。
 そこにも「困難があるから笑顔がある。」「乗り越えた先に勇気がわく」ということを感じてほしいと思いました。
 今は、歌える子どもたちがどんどん減っている大堀小学校の校歌が感動的でした。
「むかしから そのむかしから 学校の
 やねも お空も つんぬいて
 大きくのびた かきの木は
 みんなの そだつ 目じるしだ
 遠い道 夕やけ雲の お山から
 海まで つづく たかせ川
 あゆも かじかも かにさんも
 みんな なかよい おともだち
 おじいさん おとうさん かあさんも
 べんきょう したのは この学校
 わたしも あなたも あとついで
 みんなで ぐんぐんのびるのだ」

公演終了後、会食にも同席させていただきました。
 さて、これからラオスです。
 JICAとともにやっている「なんとかしなきゃプロジェクト」で「ラオス篇」をつくるためです。
 28日の朝には帰国していますが、ガザの状況次第ではその後エジプトへの渡航も検討していかなければなりません。
では、行ってきます!
桑山紀彦

福島の今」への4件のフィードバック

  1. いってらっしゃい!!!
    毎度のことながら、無事に帰国されるのを待っています!!

  2. 大堀小学校の校歌♪♪♪、本当に地域とともに歩んできた学校だったんだなとわかります。素晴らしい歌詞ですね。
    ラオス、気をつけて行ってらしてください。

  3. 大堀小学校のつどいに、お邪魔させていただきました。
    パンフレットに書いてあった校歌の歌詞に感動した私は、保護者の方なのかな?と思いながら、隣にいた方に、「素敵な校歌ですね。むかしからとか、つんぬいてとか、初めて見る内容です。」と話すと、「あゆも、かにさんも・・・まるで日本昔話の世界です。」とおっしゃいました。
    まったくその通りだと思いました。
    開会式で、校長先生だと知りましたが、子どもたちの声が響かない学校が、どれほどさびしいものなのか、話されました。
    平成22年度のPTA役員さんたちが、実行委員をされていると聞きました。

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