ガザ現場報告~宗貞NO.6「紙粘土細工への挑戦と工夫」

 占領が続くガザ地区に暮らす子どもたちの心のケア(Psychosocial Care Program)は、ガザ地区ラファ市の国境付近にある2校から全120名の子どもたち(小中学生)が参加しており、ファシリテーターたちと毎日充実したワークショップを展開しています。4月4週目からいよいよ紙粘土で立体造形物作りに挑戦することになりました。

 後に控えるジオラマ制作プログラムは、紙粘土で造形物を作り水彩絵の具で彩色するのですが、紙粘土などガザの子どもたちにとっては未知のものです。だから触れてほしくて導入開始!まずは前段に現地スタッフも制作に取り組みました。

 和やかな雰囲気の中、自然な笑顔で紙粘土をコネコネ

 ですが問題発生。購入した紙粘土は、日本の紙粘土にくらべて水分含有量が多いようで、とてもやわらかくてベタベタしており、手にまとわりついて非常に扱いづらく成形しづらい。粘土板からも剥がれず、造形物を作っても重力に負けてクニャ~と変形してしまう。人間は二本足で立てられないし動物や植物も首が下がってしまい建物も曲がります。これは大変だぁ~と思っていたら、一方まずまずの紙粘土や乾燥して固くなってしまっている紙粘土も出てきました。

 う~ん、品質やムラもガザオリジナル。

 しかしスタッフは、ビニールから紙粘土をうまく剥がすコツやなど、それならそれなりにと良い方向を見い出していきます。質が悪くて上手く作れないと「楽しめない」ことも分かったから、「楽しめる」プログラムへと前向きに思考しながら作る彼らの姿…さすがです。日本ならとイメージすれば、違う商品を購入する、苦情を入れる、返品交換する、諦めるなどネガティブばかりでしょう。

 子どもたちが制作した作品たちを乾燥中

 そんな大人たちの展開するプログラムでは、子どもたちも案外めげませんでした。当たり外れのように品質ムラがある紙粘土を混ぜてほどよい固さの物を作り出したり、やっぱりコネコネは笑顔です。中には上手く作れないからと集中できずに飽きる子どももいましたが、新しいことをやれるのは嬉しいもので感触はまずまずでした。

 「持ち込むのではなく現地にある物を使うことの大切さ」

ガザ地区・ラファ事務所 宗貞 研

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